今回の北京五輪取材のため、日本に対して発行されたIOCパスは新聞・雑誌などの活字メディア用と放送権者用、それぞれ約350枚程度だと予測されているが、その配分方法はどうなっているのだろうか?
「活字メディアの場合、どの社に何枚という配分は、日本新聞協会・日本雑誌協会を通じ、事前に大会の取材意向調査を実施した上で数を調整し、JOCではそれをもとに配分しています」(JOC事業広報部)
つまり、どこの社が何枚プレスパスを得るのかを決めているのは、JOCとメディア間で入念な協議をふまえて決められているというのだ。
ただ一方では、このような話もある。
「結局、プレスパスが何枚配られるかは、新聞社、出版社の力関係。まさに談合ですよね。全国紙や大手出版社がパスを独占し、当然、小さな社や我々フリーの立場には回ってこない。だから、選手のインタビューなどは中国政府に直接パスを出してもらい、独自に取材するしかない状況です」(フリーのスポーツジャーナリスト)
また、こういったプレスパス取得の談合問題以外にも、もうひとつ大きな問題が、中国政府発行のプレスパスによって引き起こされている。
「マスコミは北京五輪を取材するプレスパスが欲しいから、対中報道が弱腰になっている」。
五輪が近づくにつれ、インターネットなどでこんな話をよく目にするようになった。その理由として考えられるのは、スタジアム内で競技を中継・報道するだけでは、五輪報道は成立しないため、北京の街頭や競技場周辺での雑感取材が欠かせないからである。こういった取材には、IOCパスだけでなく、中国政府発行のパスも必要なのだ。
「競技結果だけでは、紙面はつくれない。社会部などからの応援記者が競技場外の取材をするのですが、応援記者用に中国からパスを出してもらうため、上層部から『中国を刺激するような記事は掲載しないように』ときついお達しがありました」(全国紙運動部記者)
このように、画面や紙面を五輪報道で埋め尽くすために、中国に目配せをしなければいけないのである。
「たとえば、日本国内での中国人の犯罪などが、見事に新聞で報道されなくなった。載ったとしても、ベタ記事レベルですよ」(前出・記者)
もちろん、こういった背景には日本政府の対中融和政策も影響している。それに従う格好で、五輪終了後までは中国を叩かないという雰囲気が、報道の現場に蔓延しているのだ。
談合めいた“プレスパス配分調整”、紙面や画面を北京五輪で埋め尽くすための“自主規制”。ここまでくると、もはや五輪自体、それほど大々的に報道するべきものだろうか、という素朴な疑問が拭いきれない。
(若松和樹/「サイゾー」8月号より)
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