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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.643

男尊女卑社会に鉄槌を下す孤高のバッドナース!医大の闇『プロミシング・ヤング・ウーマン』

文=長野辰次(ながの・たつじ)

男尊女卑社会に鉄槌を下す孤高のバッドナース!医大の闇『プロミシング・ヤング・ウーマン』の画像1
キャリー・マリガン主演の復讐サスペンス。米国のアカデミー賞脚本賞を受賞している。

 もうすぐ30歳になる独身女性のキャシーは、かつては医大生だった。学内でも成績優秀で、将来は一流の医者となり、輝かしい未来が待っているはずだった。だが、ある事件をきっかけにキャシーは大学を中退。その後、彼女は女を性欲の吐け口としてしか見ない男たちに怒りの鉄槌を下すことになる。今年の米国アカデミー賞で脚本賞を受賞した『プロミシング・ヤング・ウーマン』(原題『PROMISING YOUNG WOMAN』)は、今なお男尊女卑の考えが根付く保守的な社会に闘いを挑む女性の復讐サスペンスだ。

 昼はカフェのウェイトレスとして働くキャシー(キャリー・マリガン)。夜になると男たちの目を引くような衣装に着替え、クラブやバーに出没する。終電も過ぎ、酒に酔って足もとがおぼつかない様子の彼女に、紳士を装った男が近づき、「タクシーで送ろう」と優しく声を掛ける。キャシーをタクシーに乗せた男は、さも当然のように自宅へと向い、寝室に連れ込む。

 意識のない女性を相手にセックスしようとする男が、ベッドで横になったキャシーの股間に顔を近づけると、キャシーはドスを効かせた低い声でこう言う。

「おいッ、何をやってんだ!」

 キャシーは酒には酔っておらず、真顔だった。女性を自宅に強引に連れ込み、性行為に及ぼうとする男たちを、自分が撒き餌になってお仕置きするのがキャシーの生き甲斐だった。女仕置人キャシーに遭遇した男たちは、下半身が使い物にならなくなってしまう。

 主演のキャリー・マリガンは、『17歳の肖像』(09)や『わたしを離さないで』(10)などで確かな演技力を見せ、注目を集めた英国女優。童顔のイメージがあったが、『ドライブ』(11)では子連れの人妻を演じ、英国での婦人参政権運動を題材にした『未来を花束にして』(15)に主演するなど、多彩な役に挑戦してきた。出演作選びに優れた女優だ。本作でも童顔なルックスと男たちを恐怖に陥れる女仕置人というギャップが、面白い。

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