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1年経ってもインドに学校が建っていない!?

巨額の売上金にBPOも注目 TBS「チャリティーTシャツ」1,200万円の行方は?

akuma.jpgTBS『悪魔の契約にサイン』公式サイトより

 テレビで話題のトピックを複眼的な視点で読むメディア・ウォッチャー今一生が、「こいつはギモンだ!」とモノ申したのは……。

 昨年、TBSは『悪魔の契約にサイン』というテレビ番組(既に打ち切り)の企画で「インドに学校を建てる」ためにタレントの若槻千夏をセミヌードにさせ、それをプリントしたチャリティーTシャツを販売した。だが、昨年2月18日の最終回の放送直後、TBSは寄付先だったセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンから「この募金活動のサポートを辞退したい」と告げられたことを番組ホームページで発表した。つまり、一部が寄付に回されるはずのTシャツの売上総額1,200万円は宙に浮いてしまったのだ。

 このプロジェクトには放送時から多くの疑問があったことは以前の記事に書いたが(記事参照1記事参照2)、新たな寄付先探しを始めてから既に1年が経過した現在(2010年2月4日時点)も、インドに学校は建っていない。それどころか、番組ホームページの内容は、この間、一度も更新されなかった。チャリティーのためにTシャツを買った人だけでなく、視聴者をもバカにした構えだ。

 そこで、寄付金の今後の扱いについて発表する時期や、寄付金の会計上の処理について株主に対して説明する機会の有無、寄付金を実際に取り扱う社内の責任者についてTBSに尋ねたたところ、あまりにも素っ気ない回答が返ってきた。

「学校建設について、受け入れ先は決まっております。詳細については、先方との合意に基づき、諸々の手続きが完了した段階で、開示することになっています。近く当社のホームページ上で公開する予定です」(TBS総務局広報部)

 以上がすべてで、Tシャツを買ってくれた方々や視聴者、TBSの株主に対しても、一言もお詫びの言葉はなかった。公共の電波で呼びかけて集めた巨額の寄付金について1年間も何ら説明しなかったこと自体、おかしなことではないか? 在日外国人支援団体での8年間ボランティアとして活動し、『こんな募金箱に寄付してはいけない』(青春出版社)などの著書を多数執筆しているAll Aboutの「ボランティア」ガイドの筑波君枝氏はこう言う。

「寄付目的で集めたお金の用途は、きちんと公表すべきでしょうね。単にいくら集まりましただけではなく、何にどう使いましたと説明するのは当然の責任。そこに何か問題が発覚すると、寄付した人は『だまされた?』と、とても裏切られた気持ちになるんだと思うんです。問題にならなくても『ちゃんと使われてないらしいよ』という噂だけで、『だから寄付なんてしないほうがいいんだ!』と寄付行為そのものの信頼を失いかねません。そういう意味でも、きちんと公表するのが集めた側が果たすべき責任です」

 一方、放送への意見や苦情、放送倫理上の問題に対して、自主的に独立した第三者の立場から対応する放送界の自律機関である放送倫理・番組向上機構(BPO)の事務局は、次のようにコメントした。

「昨年春、予定していた寄付先から断られた後、視聴者の方々からTBSに対する疑問や批判のご指摘がこちらへ届きました。そのため、BPOの放送倫理検証委員会に報告するため、事務局としてTBSに問いあわせたところ、『約束したことを実現するよう新たな寄付先を探し交渉中である』との回答を得ました。その後、2回に渡ってTBSに対して同様の連絡を入れていますが、その時点では同じような回答でした。2月12日に開催される定例の放送倫理検証委員会にこの件を報告するかどうか未定ですが、BPO事務局としてはこの一件を忘れているわけではありません」

 「インドの子どもたちのために学校を建てたい」という趣旨に賛同してTシャツを買った方々からの信頼を取り戻すには、TBSは多くの疑問に対して明快な回答すべきだ。1,200万円のうち、いくらを寄付するのか。寄付されない分の金を何に使ったのか。誰が責任をもって建設後の学校の運営費(教員の人件費、光熱費、教材費など)を賄うのか。寄付金が有効に使われている事実を公表する番組を作るのかどうか……。

 そうしたことを市民が注視することが、寄付行為への信頼を日本に根付かせる。

 TBSが今後自社ホームページで発表するはずの「詳細」を信じるか信じないかは、あなた次第だ。

TBS『悪魔の契約にサイン』HP
<http://www.tbs.co.jp/akuma-sign/>

今一生(こん・いっしょう)
ライター・編集者。1997年「CreateMedia」名義で編集した『日本一醜い親への手紙』(メディアワークス)がベストセラーに。99年に発表した『完全家出マニュアル』(同)で造語した「プチ家出」は流行語に。著書に『親より稼ぐネオニート』(扶桑社新書)、『社会起業家に学べ!』(アスキー新書)、『奪われた性欲』(マイコミ新書)など多数。「放送文化」(NHK出版)でドキュメント番組批評を連載中。<http://www.createmedia.co.jp>

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最終更新:2010/02/05 11:00
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