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取材拒否! 日本ユニセフ協会「児ポ法早期改正を求める署名」に賛同する連合の不見識

 日本ユニセフ協会(以下、ユニセフ協会)が呼びかけている「児童ポルノがない世界を目指して」国民運動。その一環として行われているのが、所持の禁止を含めた児童ポルノ法の早期改正を求める署名活動だ。この署名活動に、日本最大の労働組合のナショナルセンター「連合」が賛同し、参加の組合に署名を求めていることに非難の声が挙がっている。

 もちろん、どんな個人にも団体にも、政治的な主張を行うことは自由である。とは言え、連合の支持政党である民主党、社会民主党はいずれも「児童ポルノ」の所持禁止を含めた法改正には慎重な姿勢を示している。支持政党とは立場を異にするくらいだから、それなりの理由があるのだろうか? 連合に取材を申し込んだところ、帰ってきたのは驚くべき答えだった。

 最初に取材を申し込んだのは、10月中旬。数日後、かかってきた電話で、次のような言葉を告げられた。

「申し訳ないのですが、現状で特に見解を持っていないため、お話しすることがない……」(連合企画局)

 現に署名用紙が傘下の組合に回っているというのに「見解」がないのは、奇妙なこと。その点については、

「ユニセフ協会さんから、頂いたものを流しているだけです」(同)

 とのことだった。これでは「内容も吟味せず、右から左へ流している」のと同じではないかと、さらに問いただしたところ「まあ、そうですね……」と、ちょっと困惑している様子。また、特に連合内部で検討を行ったこともないという。問題にはならないのかと、さらに詰問すると、担当者はしばらく無言になってしまい、筆者のほうが「ちょっと、話し合ってから連絡下さい」と、助け船を出すハメになってしまった。

 それから2週間。まったく連絡は来なかった。そこで今月1日になり、こちらから連絡をしたところ、ようやく「明日までにお返事します」とのこと。そして、電話で告げられたのは……

「今回の取材はお断りします。議論を呼んでいる問題ではありますが、連合内部で議論をしているものではないので、ちょっとお答えすることはできません」(同)

 そろそろ春闘の準備で忙しいのだろうが、いったい2週間、何をしていたのだろうか。それでは、前の電話で「右から左へ流している」現状を肯定したことを、記事にしてもよいのか聞いたところ、困惑しながら「あれは、(企画局担当者の)個人的見解ですから……」と、話す。

 また、集めた署名の取り扱いについては「特に(署名を)呼びかけているわけではないと思うのですが……」とのことで、集めている署名の数や取り扱いについて尋ねたところ「折り返しご連絡します」との回答だった。

 数時間後、今度は「ご取材の申し込みにつきまして」というタイトルでFAXが送信されてきた。その文章をそのまま紹介しよう。

 (財)日本ユニセフ協会が呼びかけています、「国民運動『児童買春・児童ポルノ禁止法』の早期改正を求める署名活動」につきましては、連合第11回中央執行委員会(2010.08.19)におきまして、子どもの人権擁護をめざすという連合の政策要求と同主旨であるとして、賛同することを決定したところです。

 その上で、まず現状としましては、文書にて各構成組織に対し、署名の呼びかけを行っております。

 ただし、その署名数につきましては、各組織から直接、(財)日本ユニセフ協会に郵送することとしており、連合として、数の把握はいたしておりません。

 連合としては、児童ポルノを撲滅するという、大きな方向性について賛同したところであり、ご依頼いただきました詳細な取材に関しましては、お断りさせていただきたく存じます。

 この文章、いろいろとおかしい。「連合第11回中央執行委員会(2010.08.19)におきまして」と書いているのだが、連合は「児童ポルノを見ない、買わない、持たない、作らせない緊急アピール」には、5月の時点で賛同している(http://www.unicef.or.jp/osirase/back2010/1005_14.html)。

 残念ながら、慌てて作成した文書であることが垣間見えてしまう。また「ご依頼いただきました詳細な取材に関しましては、お断りさせていただきたく存じます」と書いてしまうあたり、やはり「見解」はないのだと考えるしかない。通常、連合は「取材は対面で」が基本で、筆者も幾度か訪問したことあるのだが、今回は電話では口を濁しFAXで回答。このあたりからも、彼らの内情が透けて見える。

 労働運動や市民運動など社会運動の現場では、さまざまな署名活動がごく日常的に行われている。そのため、内容を吟味もせずに「断ってもアレなんで、名前だけでも書いておく」行為は、よくあることだ。おそらくは、本当に日常的なルーティンの中で行われた行為なので「見解」などなく、困惑しているのだろう。

 会話の中では「ネットではいろいろ騒がれているみたいですね」というセリフも飛び出したので、ヤバいことになってしまったことも十分に分かっている様子。「児童ポルノ」は、本業(労働運動)とは、別問題なので、理解が浅いのは仕方がないにしても「見解」を考えるなり何なりの対策を取ろうともしていないのは、呆れるばかりである。
(取材・文=昼間 たかし)

子どもたちの笑顔のためにユニセフと歩んだ50年―日本ユニセフ協会半世紀

最近たるんでるんじゃないの?

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最終更新:2010/11/05 21:00
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