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永久に不滅? プロ野球選手400名の引退名言集『プロ野球最期の言葉』

puroyakyusaigono.jpg『プロ野球最期の言葉』(イースト・プレス)

 大道典嘉(巨人)、村松有人(ソフトバンク)、矢野耀大(阪神)といった選手たちが引退を表明した2010年オフ。また、小瀬(オリックス)のように若く、将来を嘱望されながら、自殺ともいわれる謎の転落死を遂げた選手もいた。プロ選手の生活は、いつ、どんな形で終わるかわからない。栄枯盛衰、盛者必衰がプロ野球界の常だ。

 そんなプロ野球選手の散り際の言葉を集めたのが『プロ野球最期の言葉』(イースト・プレス)。「Number」(文藝春秋)などに寄稿するスポーツジャーナリストの村瀬秀信氏が、1943~2010シーズンに引退したプロ野球選手の引退時の言葉を紹介した本だ。「巨人軍は永久に不滅です」の長嶋茂雄、「王貞治のバッティングができなくなった」王貞治などスーパースターの言葉から、無名の選手の一言まで、総勢400名の”遺言”を一挙掲載している。巻末には江川卓の引退会見全文も収録されていて、肩の痛みと数奇な野球人生の苦悩がつづられている。

 充実、後悔、寂寥、完全燃焼。引退時の思いは人によりさまざまである。中でも印象に残ったのが、2000年に横浜に入団し、4年で戦力外通告された中野渡進の言葉だ。


「嫌いなコーチに『家で火がついたら僕のせいですから現行犯で捕まえてください』と伝えました」

 入団2年目に63試合に登板し、中継ぎの柱として活躍したが、酷使がたたって肘を故障。歯に衣着せぬ物言いも災いして二軍で干され、契約更改で球団幹部に食ってかかって問題児とされる。2003年オフ、球団内の派閥争いに巻き込まれる形で戦力外通告された。なんともやり切れぬ選手生活だ。上記の言葉にもそんな思いがまざまざと表れていて興味深い。現在は、国分寺「もつ鍋わたり」のオーナーとなり、地元の名店として人気を博している。

 ファンに愛された長嶋茂雄、求道者・王貞治、また不運の中野渡など、引退時のその一言に、その人の野球人生のすべてが詰まっていると言っても過言ではない。皆、必ずしも華やかな幕引きではないが、カーテンコールの瞬間には心揺さぶられるのである。
(文=平野遼)

・村瀬秀信(むらせ・ひでのぶ)
1975年、神奈川茅ヶ崎市出身。02年よりフリーライターとして活動。本書が処女作となる。

プロ野球最期の言葉

ヒーローたちの夢のあとさき。

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最終更新:2010/11/16 11:12
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