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妖怪小説家・田辺青蛙の突撃レポート!

祝「怪遺産」認定! 妖怪文化が生き続ける街・岩手県遠野市

kaiisan01.jpg第3回怪遺産認定式の様子。

 「遠野物語」が発刊されてから今年で100年目。物語の舞台となった岩手県遠野市では、年間を通しさまざまイベントが行われています。過日、作家の京極夏彦氏、荒俣宏氏、高橋克彦氏がそんな「遠野物語」の世界観を紐解く「妖怪セミナーin遠野」が開催されました

 「遠野物語」は1910(明治43)年、遠野出身の大学生だった佐々木喜善が柳田國男に語ったふるさとの伝承を、柳田がまとめて記した伝説集です。

 遠野には「遠野物語」に記されている、妖怪などが出没した場所が未だにたくさん残っています。ただ、今回訪れて初めて知ったのですが、「遠野物語」に記されていない不思議な話もまだまだ、遠野にはあるようです。

 まずは、「遠野物語」に出てくる聖地を巡るスタンプラリー「怪フィールドワーク」に参加しました。チェックポイントに設置されたスタンプをぺったんぺったんと押して集めていくと、後日郵送で認定証がもらえるという催しです。

 朱色の布が鮮やかな縁結びの卯子酉様や、飢餓の犠牲者を悼んで義山和尚が一人山奥で彫ったと言われている五百羅漢岩などを見て回りました。天候はあいにくの雨でしたが、まだ紅葉前の山の手前で、黄金色の稲穂が雨に打たれて頭を下げる様子は綺麗でした。

kaiisan02.jpgちなみに遠野の「伝承園」では河童情報を募集中
らしく、優れた河童情報を提供してくれた方は
記念品が貰えるそうです。

 翌日は、世界妖怪協会(会長・水木しげる)が選んだ「怪遺産」の認定式へと向かいました。

 「怪遺産」とは、妖怪文化の普及に貢献したと土地や、文化、地域などを対象に認定するもので、今回で3回目。過去には、鳥取県境港市と徳島県三好市山城町が認定されています。

 式典には協会から作家の高橋克彦さん、荒俣宏さんや京極夏彦さん、妖怪研究家の多田克己さんらが出席。本田敏秋遠野市長に認定証と日本物怪観光の造形作家・天野行雄さん作成の楯が手渡されました。

 「目に見えない世界の更なる発展を」という協会の言葉に対し、本田市長は「河童は川を、天狗は山を大切に、座敷わらしは家族との絆をと、さまざまな形で物語を通じて交流してきました。今後も妖怪と気迫で街作りをしていきたい」とコメント。

 京極さんは「妖怪の伝承を生かした町づくりをしている。百点満点で賞を差し上げたい」、荒俣さんは「遠野は今も妖怪が湧き続ける土地、妖怪との百年以上もの付き合いがあるこの場所がいつか世界遺産にも選ばれるかも」と、お話されていました。

 NHKの連続ドラマ小説『ゲゲゲの女房』は放映を終了しましたが、まだまだ妖怪ブームは続きそうですね。

 次回は遠野の座敷わらしについてお話します。
(取材・文=田辺青蛙)

tanabe_prof.jpgたなべ・せいあ
「小説すばる」(集英社)「幽」(メディアファクトリー)、WEBマガジン『ポプラビーチ』などで妖怪や怪談に関する記事を担当。2008年、『生き屏風』(角川書店 )で第15回日本ホラー小説大賞を受賞。綾波レイのコスプレで授賞式に挑む。著書の生き屏風、共著に『てのひら怪談』(ポプラ社)シリーズ。2冊目の書き下ろしホラー小説、魂追い(角川書店)も好評発売中。

水木しげるの遠野物語

日本妖怪史上最強の黄金タッグ!

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最終更新:2010/11/15 18:00
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