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日本最大手のシンクタンクが株主総会を前に右往左往?

続報! 幹部が強制わいせつ疑惑の野村総研が被害者女性を逆提訴!

nomura062001.jpgY田氏が副支社長として勤務していた野村総研上海支社の受付窓口。

「嫌だと言ってるのに無理やり部屋に上がり込まれて押し倒された」

「仕事の話と呼び出されたら酒を勧められ、帰してもらえなかった」

「酒を勧められ、飲んだら急に意識を失った。気付いたら裸にされていた」

 これらはいずれも、日本を代表するシンクタンク「(株)野村総合研究所(以下、野村総研)」北京社上海支社副総経理(副支社長)のY田氏による強制わいせつ行為に関する、複数の女性からの証言である。

 2007年12月、Y田氏が取引先の広告代理店営業担当(当時)のA子さんに強制わいせつ行為を働いた事件については、当サイトで過去2回にわたり報じてきたが(12)、記事を読んだという関係者から、新たな証言が複数寄せられている。

 「いきなり抱きつかれて性行為を求められ、なんとか断ったが今もトラウマになっている」という日本人女性は、「顛末を詳しく書かれると自分が証言したと特定されてしまい、報復されるのが怖い」とおびえながら、「あんな人間が社会的地位に守られながら平然と暮らしているのは絶対に許せない」と怒りをあらわにした。

 また、日本航空や中国東方航空のキャビンアテンダント(CA)からも、「マンションに強引に上がり込もうとして抱きつかれ、断ると玄関で無理やりキスされた」などの証言が数多く寄せられている。以下は、あるCAたちの証言だ。

「とにかくCAに片っ端から声を掛けるので有名でしたけど、『CAなんて低学歴の低所得者だ』とバカにしてましたね。酔わせてタクシーで送るといって、部屋に上がり込んで襲うというのがパターン。大学のレイプサークルと同じで、やることが幼稚なんですよ」(20代の中国東方航空CA)

「被害に遭った子たちは『タクシーに一緒に乗ったおまえが悪い』とか言われるのが怖くて相談できない。実際、同性の先輩から『誘ったんでしょ』と言われた人もいたようです。20代の若い子たちは『野村総研の茶髪のエロおやじには気をつけろ』と言い合ってましたね」(30代の日本航空CA)

 被害女性たちの友人有志らで組織する「野村総合研究所(野村総研)のわいせつ、セクハラ被害者を救う会」(以下、救う会)は、これまでこうした情報の中から一次証言をまとめて文書化し、Y田氏本人と野村総研に対して「事実か否か」の照会確認を通知し、事実でないと主張する場合は期限内に回答するよう求めてきたが、いまだ回答は一度もないという。仮に女性たちの証言がすべて虚偽で、Y田氏が潔白であるならば、なぜ公の場で反論しようとしないのだろうか。

 この点について、筆者は野村総研に対して2度にわたり電話でコメントを求めたところ、「当人同士で行き違いがあった。社としてはコメントを差し控える」(2010年8月、女性広報担当の回答)、「弁護士と協議中なのでコメントは差し控えたい」(2011年4月、同広報)と、具体的な説明はないまでも、事実関係そのものは否定しなかった。

 静観の姿勢を崩さないかに見えた野村総研だが、ここへきて突如動きを見せ始めている。まずは5月20日、「救う会」が運営するブログ「野村総合研究所(野村総研)のわいせつ、セクハラ被害者を救う会」をサーバー管理しているプロバイダーのライブドア社に対し、名誉毀損を理由にサイトの削除を要求。ライブドアがこれを拒否すると、今度は5月26日にサイト管理人らの情報開示とサイトの閉鎖を要求した。「救う会」側の一人が、あきれながら言う。

「プロバイダー責任制限法に基づいて当方の情報を開示しろと言っているらしいのですが、もともと我々は連絡先を野村総研への文書に明示して公開質問を行っているわけで、それに答えもしないで何を今さらという感じです。自社の幹部が性犯罪を繰り返しているのに対処もせず、こちらが照会確認で公に反論の機会を与えているのに、それをも放棄して名誉毀損だという。株主総会が6月23日にあるので、『やることはやってる』という株主に対するアピールなんじゃないですか」

nomura062002.jpg野村総研は内部統制の基本方針として
「法令遵守体制の実効性を確 保するため(略)必要な諸活動を推進」する
としているのだが……(同社HPより。下線は編集部)。

 「救う会」では直ちに、

・当方は最初から連絡先を明示して公開で質問している。名誉毀損というなら照会確認に答えないのはなぜか。

・連絡先を明示しているのに当方に連絡せず、プロバイダーに抗議するのは不当な嫌がらせである。反論するのならば当方に対して訴訟を提起せよ。

 などの趣旨をまとめた文書を通知した。

 すると野村総研は、「救う会」の一人Bさんと、なぜか被害者の一人であるA子さんを相手に、1,000万円の損害賠償を請求する民事訴訟を提訴。以下は訴状に記された1,000万円という金額の根拠となる部分の抜粋である。

「(略)原告(編注:野村総研)に発生した有形無形の損害は、現時点で原告が把握している事実関係に基づくだけでも、少なくとも1,000万円を下らない。したがって、被告らは、原告に対して、不法行為・共同不法行為に基づく損害賠償として、少なくとも1,000万円を連帯して支払う義務を負っている」

 これについて、「金額の根拠があいまいで意味がわからない」と一笑に付すのは、企業の性犯罪事情に詳しい都内法律事務所のT氏だ。

「この前段に辛うじて1,000万円の根拠らしきことが書いてあるのですが、野村総研が『株主や顧客等へ対応を余儀なくされ、原告の業務が妨害された』からとしか書いていない。であるなら、被告側は、原告の株主である野村ホールディングスなどに、『野村総研が1,000万円の損害が出たと言ってますけど、お宅はどんな対応を迫ったのですか』と聞くべきでしょうね」(この点を「救う会」に確認したところ、「すでに野村総研の主要株主に対して質問をまとめた公開通知書を送付済み」とのこと)

 またT氏は、訴状の中で野村総研がY田氏の潔白を、決して積極的に主張していない点にも注目する。

「野村総研は被害者側の主張に対して『事実無根だ』という反論を一切していません。これだけ一次証言がそろってしまうと立証されるのを恐れてできないのでしょう。そこで苦し紛れに、『事実はどうあれ、まだ刑事罰が決まっていないのに、決まったかのような誤解を与える表現は名誉毀損だ』というニュアンスで反論をしてるだけなんですが、その時点で『やりました』と言ってるようなもんなんですけどね」

 さらに、数多くいる被害者の中からA子さん一人を抽出して提訴した点にも首をかしげる。

「訴状によれば、『救う会』のBさんが運営するウェブサイトが野村総研の名誉を毀損したというのですが、このサイトにA子さんはまったく関係していません。Bさん一人を訴えるならまだしも、なぜA子さんを引っ張り出したのか。立場の弱いA子さんを精神的に追いつめるのが目的でしょう」

NRI0401_01.jpg「嘉華中心」は05年に完成した上海の高級オフィスビル。
野村総研上海支社はこの29階にある。

 それにしても、野村総研といえば、官公庁や各産業のトップ企業を顧客に持つ日本最大手のシンクタンク企業。就活学生の人気企業ランキングでは毎年上位を占めるなど、学生からの信望は極めて厚い。しかし、これまでの姑息とも言える一連の対応を見る限り、日本を代表する企業としての矜持は見えてこない。

 これについて、「ランキングなんてものに左右されずに、学生さんはしっかりと企業体質を分析した方がいい」と言うのは、日本のブラック企業の事情に詳しい「(株)ヴィベアータ」代表取締役で企業アナリストの新田龍氏だ。

「今回の野村総研のやり方は、典型的なブラック企業の手口の一つです。A子さん一人を狙い撃ちしたのも、弱いところから攻めていくという常とう手段。そもそも、社内での違法行為を放置して、証拠不十分なのに逆ギレして個人を提訴なんて、仮にも一部上場企業がやることじゃない。明らかな犯罪隠蔽だし、大企業の権威をかさに着たどう喝行為。今回の件も氷山の一角でしょう」

 折しも、この記事を作成している19日現在、Y田氏が上海へ赴任する前にあるアジア圏の国で、性的事件を起こしていたとの証言が届いている。筆者は既に関係者と接触を図りながら事実関係を確認中である。詳細が判明でき次第、続報として公開していきたい。
(文=浮島さとし)

挑戦し続ける野村総合研究所

最大手の名が廃る。

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最終更新:2013/09/12 18:00
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