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性犯罪者を野に放った流通大手イオンの企業責任とは?

 話題のあの芸能人や識者も多数リツイートするサイゾー新ニュースサイト「Business Journal」! 今回はそんな「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます!

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■「Business Journal」掲載記事(一部抜粋)
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性犯罪者を野に放った流通大手イオンの企業責任とは? – Business Journal(5月22日)

post_161_20120521.jpg問題から目を逸らし続けるイオン。
(「同社HP」より)

 複数の女性スタッフたちに長年にわたり強制わいせつ行為を繰り返し、問題が発覚すると勤務先の動物医院から現金を盗んで逃走するという、とんでもない50代の獣医師については、以前、姉妹サイトである「日刊サイゾー」で報告した。獣医師はその後、大手ペットショップ「P」の群馬県高崎市の支店に潜り込み、獣医として何食わぬ顔で勤務していたが、前述の記事が出た直後に「P」を退職して再び逃走。現在は行方不明であることがその後の取材でわかった。

 また、獣医師は「P」を辞める直前、かつて一緒に働いていた複数の女性スタッフらにメールを一斉送信し、「おかしな記事【編註:上記「日刊サイゾー」の記事】が出たが事実無根。上司と相談して名誉棄損の訴訟を起こすか検討中なので、自分がいかに真面目な獣医であるかを弁護士に証言してほしい」と懇願していたことも発覚。ところが、この懇願メールを受けたすべての女性スタッフが、この獣医師から過去に性的嫌がらせや強制わいせつ行為を何度も受け続けていたため、「自分のやったことを忘れてしまったのか。一体全体何を考えているのか。頭がおかしいとしか思えない」(メールを受けた女性スタッフの一人)と、関係者は怒り心頭だ。

 ペットショップ「P」は、動物病院やペット用品販売などを全国展開する総合ペットショップ。流通大手「イオン」のディベロッパー事業部の直営下にあり、資本金の3億円は全額がイオンの出資。店舗のすべてがイオンのショッピングモール内にあるなど、両社の繋がりは極めて密接だ。その獣医師が「P」高崎支店に勤務していた数カ月の間は、イオンを訪れた買い物客が獣医師と接触する機会も多くあったはず。さらに、過去に多くの女性スタッフが被害を受け続けたのと同様に(うち一人はPTSDで退職)、高崎支店で新たな女性スタッフの被害者を生む可能性も十分考えられた。関係企業が事態を把握しながらこれを放置するのは、企業の「善管注意義務」の観点からも大きな問題であることは明らかだ。

 こられを踏まえ、筆者は今年2月、イオン本社に一連の事実を伝えた上で、「事実究明をして必要な措置を講じる予定はあるか」などの見解を求めている。

 これに対し、イオン本社は法務部ではなく広報部が対応し、「Y氏(獣医の名前)は獣医紹介会社を通して『P』に勤務しており、弊社や『P』とは直接の雇用関係にないから回答する立場にない。質問があれば紹介会社へしたらどうか」とした上で、ただし「紹介会社の社名は取引先なので教えられない」と回答。「実態調査をする予定もない」と、あくまでも完全放置の立場を示した。さらに、こうした回答を電話ではなく文書で求めると「できない」と拒否。できない理由も「答えられない」。その後のすべての質問にも「コメントする立場にない」を繰り返した。

 また、この数日後に、Y獣医師が勤務していた「P」高崎支店の店長に見解を求めたところ、「そんな話、イオン本社から何も聞いていない」と驚いた様子。イオン本社が、直接の現場となっていた高崎支店に確認の連絡すらしていないことが判明。筆者への”公約”通り、事実究明も含めて本当に何の措置も講じていなかったことが明らかになっている。

「当社は無関係」を繰り返す、当事者意識の欠如

 このようにすべてを放置し続けた結果、Y獣医師は再び逃走して行方不明になったわけだが、これは常習的な性犯罪者(および窃盗犯)を再び野に放ったことを意味する。これほどコンプライアンス重視が叫ばれる今の時代に、新たな犯罪が生まれる可能性を認めながら、一流企業と言われるイオンはなぜ何もしなかったのか。今回のY獣医師の逃走を踏まえて再度イオンに見解を求めた。質問の概要は以下の通り。

(1)前回の回答で示された見解(「直接の雇用契約を締結していないのでコメントする立場にない」)は今も変わっていないか。
(2)イオン高崎店の買い物客が獣医師と接触することに問題を感じなかったのか。
(3)常習性のある性犯罪者である獣医師を野放しにしたことで、新たな犯罪が発生する可能性を生んだことに責任を感じるか、感じないか。
(4)獣医師は逃亡前に過去の同僚である複数の女性スタッフらにメールを送信している。その中に「上司と相談して名誉棄損の裁判を検討している」旨の記述がある。イオンもしくはペットショップ『P』はこうした助言を獣医師にしたのか。
(5)上記一切を含め、この件に関して貴社は企業コンプライアンスの概念に沿った真摯な対応をしたと考えているか。

 これに対し、イオン広報からの回答は以下の通り(電話回答)。

(1)ご指摘の獣医師とは雇用契約を結んでいないので、コメントする立場にないという見解については変わることはない。
(2)当社の認識している範囲で、ご指摘の不安や、問題を感じさせる言動は特段なかった。
(3)ご指摘の獣医師の過去の振る舞いや事実関係については、当社は確認できないため、可能性の是非についてはお答えできる立場にない。
(4)そのような事実はない。
(5)本件に関し、そもそも企業のコンプライアンスに抵触するような事実がないと認識している。

 事実関係の調査を一切しないままに「確認のしようがない」「当社は無関係」を言い続け、最終的には「そもそもコンプライアンスに抵触する事実すらない」と言い張るイオンの対応には呆れる以外ない。お世辞にも誠実とは言えないこうした一連の対応に対し、同社内部でも一部で批判的な声が上がっている。前回の記事を読んだというあるイオン社員は、「あの対応は酷過ぎる。誰が指示したのか」とご立腹だ。

「直接の雇用契約がないから無関係だなどという説明が、今の時代に通用するはずがない。善管注意義務の観点からも言い訳のしようがない。先日、同僚4人と話しながら『あれはない』とみんな憤慨していた」

 また、筆者と知己のある某公安関係者も、「大企業のコンプラ対応としては稚拙すぎ」と呆れ気味だ。

「私はよく企業の法務部から講師を頼まれて、危機管理やコンプラ対応について講演していますが、今回のイオンの対応は典型的な”やっちゃダメな例”として教科書に載せてもいい話ですね。あのガサツな対応は、ちょっと信じがたい」

 常習的な性犯罪者であり、かつ窃盗犯でもあるY獣医師は、今も獣医紹介会社を通してどこかの動物医院に潜り込み、何食わぬ顔をして日常を過ごしている可能性が高い。その一方、被害者女性の一人は今も精神的なショックから立ち直れず、社会復帰が完全にはたせていない。この事実を関連企業はどう見るのか。猛省と再認識をあらためて求めたい。
(文=浮島さとし)

※このほかにも「Business Journal」には、ビジネスパーソンを刺激する記事が満載!ぜひご覧ください!

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最終更新:2012/05/25 07:00
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