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名物会社「フリップサイド」の倒産で表面化した、コンサートビジネスの行き詰まり

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 ここ5~6年の音楽業界では、CDの売上低下を補うように、コンサートビジネスが活発化している。中堅の歌手やバンドが、年2回のコンサートツアーを行うのは当たり前となり、コンサート会場で販売されるグッズも数多く企画・開発されてきた。しかし、チケットの売れ行きに異変が起きているという。あるイベント関係者が解説する。

「ここ1~2年で、チケットが瞬時に売れてしまう公演と、いつまでたっても売れない公演が二極化する傾向にあるんです。人気の夏フェスや、Mr.Children、AKB48などのチケットは熱心なファンでも入手困難な状況ですが、中堅バンドになると6~7割も売れればいいほうで、開催日間際のディスカウント販売も当たり前になってきています。そのため、人気公演をめぐって、コンサート企画会社やチケット販売会社が熾烈な争いを繰り広げています」

 そんな中、音楽業界ではよく知られたコンサート企画・運営会社である「フリップサイド」が9月26日、二度目の資金ショートを起こして経営破綻したと報じられた。

 メディアの報道では、松山千春や中島みゆきなどを手がけてきたと報じられたが、2000年以降の同社はDIR EN GREYなどのビジュアルバンドや、Jポップ関連の大型公演も積極的に手がけていたという。

「フリップサイドは豪腕で知られる高山昌芳社長の個性が前に出た会社で、スタッフはその意向に忠実に従っているという印象でした。大物バンドや歌手からの信頼も厚かったのですが、ここ数年で生じたイベンター(コンサート企画運営会社)の業態変化に順応できなかった部分もあるのでは」(レコード会社関係者)

 近年に音楽業界で起きた変化とは、大手レコード会社や有力事務所によるコンサート企画とチケットの卸販売が一般化したことだという。

「エイベックスを筆頭に、多くのレコード会社がコンサートビジネスに進出し、従来のイベンターを制作会社として起用するようになりました。この場合、チケットの売れ行きにかかわらず制作料が入ってくるため、安全なビジネスではあるのですが、大きな利幅は望めません。また制作請負だけでは、大きなコンサートを企画するための資金も稼げない。フリップサイドはあくまでもコンサート企画にこだわり、“下請け”をほとんどやらなかったことが苦境につながったのではないか」(前出のイベント関係者)

 一部の人気公演だけが“金のなる木”となっている現状の音楽業界。レコード会社をはじめとする有力プレイヤーには、有力公演を取り合ったり、囲い込んだりするだけでなく、有望な若手や中堅の発掘にも力を入れてもらいたいものだ。
(文=島未知也)

最終更新:2012/10/01 08:00
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