本多圭の「芸能界・今昔・裏・レポート」

故・牧伸二さんに弟子の泉ピン子が線香一本上げに来ないワケとは

ounkoizumi.jpg『みんな悩んでる ピン子のツン
デレ人生相談』(光文社)

芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、縦横無尽に話題の芸能トピックの「裏側」を語り尽くす!

 ウクレレ漫談で一世を風靡した牧伸二さんが自宅近くの多摩川に身を投げて自殺を図ってから3週間が経過したが、弟子の泉ピン子がいまだに線香一本どころか、お悔やみの言葉さえ寄せていないという。一部マスコミによると、弟子時代に牧さんから受けた屈辱の日々を許せないからだというが、ピン子が女優になる前から知っている筆者にとっては、逆恨みとしか思えない。あらためて、ピン子の人間性を垣間見た気がした。

 浪曲師を父に持ったピン子は、芸能界に憧れて高校を中退。三門マリ子という芸名で劇場の前座歌手をしている時に、ピン子の父親が役員を務め、牧さんが所属していた佐藤事務所に所属。牧さんの弟子になって、ギター漫談家としてデビューした。

 漫談家としては売れなったが、その後、日本テレビの情報番組『ウィークエンダー』のリポーターとしてブレークしたことで独り立ち。その頃に筆者は取材でピン子と知り合った。ピン子は「雨の時でも傘を差すことが許されず、牧さんの荷物持ちをさせられた。ドサ回りで北海道のキャバレーに行った時は宿も用意されてなくて、キャバレーの楽屋に泊まらされた。夜な夜な、キャバレーの経営者が夜這いに来るんじゃないかと震えながら寝ていた。キャバレーのステージに立っても『ブス、引っ込め!』とヤジが飛び、料理を投げつけられた」と、筆者に屈辱の日々を語った。

 しかし、後から知ったことだが、ピン子は親しくなったマスコミやテレビ関係者に同じような話をして、同情を買っていたようだ。ピン子に限らず、売れない時代は誰もがそれなりに苦労している。新人歌手が地方のキャバレーでキャンペーン中、酔客に罵声を浴びせられて泣いていた姿を、何度か目撃したことがある。

 それを、牧さんにイジメられた、牧さんは何もしてくれなかったと恨んでいるとしたら、筋違いだ。当時の事務所のスタッフに聞くと、「牧さんは一度もピン子をイジメたことはない。人をイジメるような人ではない。かといって、人の面倒を見る人でもなかった。中学の1年後輩だった故・立川談志さんが『牧は徳がないからダメなんだ』と言ってましたが、そういう人なんです。ピン子の逆恨みですよ」という。

 その後、ピン子は女優として遅咲きするや、売れない時代の反動か、ブランド品を買いあさり、贅沢三昧の生活。すべて事務所からの前借りだった。その額、なんと3億5000万円といわれた。事務所が「これ以上、貸せない」というと、借金を残したまま後ろ足で砂をかけるように独立。これには、牧さんも激怒したという。

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