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KDDI憎し!! ソフトバンクが総務省でブチ切れ騒動!?

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 7月29日、ソフトバンクの孫正義社長は周波数の追加割り当てをめぐって、総務省を行政訴訟する準備を進めていることを明らかにしました。総務省がUQコミュニケーションズ(KDDIグループ)に周波数を割り当てるという日本経済新聞の報道を受け、孫社長は怒り爆発。「電波の割り当ては元総務省の電波部長が天下りしている先の企業に出来レースで決まっているんですか」などと抗議したとのことですが果たしてどうなることやら。サイゾーでは2013年の1月号ですでに孫社長のKDDIおよび総務省への怒りを取り上げていました。

■今回のピックアップ記事
『KDDI憎し!! ソフトバンクが総務省でブチ切れ騒動!?』(2013年1月号NEWS SOURCEより)

201205_gairon01.jpg『ソフトバンク 新30年ビジョン』(ソフトバ
ンククリエイティブ)

「AXGPと同じだというこのデータは本当か?」(SB)

「同じ国際標準を採用しており、同じになるはずだ」(UQ)

「AXGPには我々独自の技術が入っていて国際標準のままではない。だから同じのはずがない」(SB)

「少なくとも、干渉に関するデータは同じになるはず。違うという根拠がわからない」(UQ)

 11月22日、霞が関は総務省内の会議室。KDDIの子会社であるUQコミュニケーションズ(以下、UQ)とソフトバンク(以下、SB)、それぞれの担当者が強い口調でやり取りをし、場の空気は非常に重くなった。

 その会議は、携帯電話など電波利用における通信技術の国内利用許可を下す「情報通信審議会」の分科会「携帯電話等高度化委員会」。UQはWiMAXによるデータ通信サービスをより高速化するため、新規格「WiMAX Release 2.1」の利用許可を総務省に申請している。総務省では、携帯電話会社の技術者や大学教授などで構成する委員会で技術検討を行っており、この会議がまさにそれ。通常ならばあくまでも技術的な確認をする場であり、激しいやり取りなど起きようはずもない。にもかかわらず、UQ側の説明に対し、SBの担当者が強烈に噛み付いたのだ。その場では、総務省の担当者が別途UQの主張を検討する場を設けることを提案して収まったものの、いきなり難癖を付けられた形のKDDIサイドは終始困惑。だが、一方のSB側にしてみれば、KDDIに対して圧力を掛ける動機は明白に存在したのである。

「社内では今、完全に”KDDIシフト”が敷かれていて、KDDIに勝つためならなんでもやれという雰囲気。だからこの発言も、同社の足を少しでも引っ張るためだと思いますよ」と語るのは、あるSB関係者。

「要は、iPhone5での競争に負けたのがきっかけ。うちの孫正義社長がメディアを通してKDDIを攻撃したりキャッシュバック増額競争を仕掛けたりしていることは知られていますが、そのほかにもこうして、ユーザーに見えないところでKDDIに対してプレッシャーをかけているわけですよ」(同)

 これまでも孫社長は、ライバルたちを攻撃してきた。近いところではプラチナバンド獲得の際。900MHz帯電波を手に入れるため、同帯域を持つドコモやKDDI対してSBだけが持たないことの不当性を繰り返し訴えたことは記憶に新しい。また昨年には、NTTが持つ固定回線インフラを分社化する「光の道」構想を政権与党民主党にロビイングし、NTTや総務省に対して強くプレッシャーをかけてきた。

 しかし、それらSBの圧力もこれまでは政策決定や行政方針に対してというレベルでのもので、冒頭で述べた分科会のような場ではあり得なかった。というのも分科会に参加するのは各社の幹部級などではなく技術者のため、彼らならではの”仁義”や”親近感”もあり、激しくやり合うようなことはなかったのだ。だからこそ今回の激しいやりとりに、SB以外の委員はあっけにとられたのである。

■ソフトバンクの総務省軽視!?

 従来SBは、行政側に圧力こそ掛けるものの、国の立場や決定は尊重してきた。だがここにきて、総務省の軽視とさえいえる態度を取り始めている。その一例が冒頭の会議。そしてそのもうひとつの例が、10月に発表されたイー・モバイル買収だろう。

「今回の買収劇の裏には、孫さんのKDDIへの対抗心が強くあるようです。というのも、実はKDDIもイー・モバイルに買収を持ちかけていたとの噂がありましたが、企業買収によって新たな電波帯域を手に入れることは総務省の電波行政方針にそぐわないため、KDDIは諦めたらしいのです。ところが孫社長は、それをやってのけてしまったわけです」(証券アナリスト)

 イー・モバイルが持つユーザーと電波帯域を手に入れた上、KDDIの鼻をあかすことができたこの買収は、孫社長にとってまさに一石三鳥だったというわけだ。

 だが、やはりトップにはドコモが居座っている。だからこそ、というべきか、孫社長が下した決断は予想を超える巨大なものだった。イー・モバイルの買収から2週間後に発表されたのは、米第3位の携帯電話会社「スプリント・ネクステル」【1】買収。買収金額は約201億ドル(約1兆5700億円)と、かつてのボーダフォン買収に匹敵する巨額投資であり、これによってSBは、なんと世界第3位の携帯電話事業グループを形成するにいたったのである。

 日本を飛び出し、世界に打って出るというかねてからの目標を達成する。その偉業実現を前にして、総務省への配慮などもはや不要なものと孫社長は考えているのかもしれない。

「しかし、実はSBは一般に知られているよりも中国企業との結びつきが強いため、米当局がこの買収を認めない可能性もまだ残されています。こうした事態を避けるためにこそ、企業の海外進出に際しては通常、行政による支援が欠かせません。大企業の海外進出は、市場のルールをめぐる国家対国家という側面もありますからね」(前出アナリスト)

 だがSBは、それらを振り切って海外を目指しているかのように見える。その裏には、「国の支援など無用」という、孫氏の”無頼精神”が潜んでいるのだろうか。

(三森黒介)

【1】「スプリント・ネクステル」の買収
この買収劇に対する業界内の評価はネガティブなものも多い。その主な理由は2つ。ひとつは、米国と日本の携帯電話事業の違いである。ほぼ全人口に行き渡った日本とは異なり、米国ではまだ契約者数増加の余地が大きい。しかし、日本よりも国土が広くユーザー層も多様な米国では、日本以上にインフラ投資が難しいといわれており、日本での営業ノウハウがどこまで通用するかは未知数なのだ。そして2つ目が「iPhone依存」の問題。日本国内のSBユーザー数増加は完全にiPhoneに依存しており、もし仮にアップルが方針転換をしたりiPhone自体の求心力が落ちたりした場合、SBの勢いは一気に削がれてしまう可能性は高い。もしかしたら今回のスプリント・ネクステル買収は、iPhone頼みの危うさを自覚するがゆえの、孫社長の打ち手なのかもしれない……。

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最終更新:2013/07/30 07:30
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