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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.239

テレビでは見せない“レア蜜”のお味はいかが? 壇ミーツ・石井隆=ハードコアエロス『甘い鞭』

amaimuchi01.jpg壇蜜主演第2作となる官能サスペンス『甘い鞭』。「ファンは観ないで。チビっちゃうから」と壇蜜が語るほどハードな世界が待っている。

 テレビではお見せできない壇蜜をお見せしましょう。メディアごとにフェロモンの噴出量を巧みにコントロールする壇蜜。相手の期待値を上回る、大盛りサービスが人気の秘訣だ。最近はメジャータレント化して肌の露出は控えめになってしまった壇蜜だが、久々に生まれたまんまの姿をさらしているのが主演映画第2作となる『甘い鞭』。“調教”をテーマにしたデビュー作『私の奴隷になりなさい』(12)がソフトに思えるほど、本格的な緊縛プレイ、鞭責め、ロウソク責め……とハードなSMシーンに挑んでいる。

 大石圭原作の『甘い鞭』の中で、壇蜜は2つの顔を持つ女を演じる。昼は不妊治療専門のエリート女医・岬奈緒子として白衣をまとい、夜は会員制SMクラブの人気M嬢・セリカとしてボンテージファッションに身を包む。白い柔肌がドSたちの心を惹き付けて止まない。奈緒子がM嬢になったのには理由があった。17歳の夏、高校生だった奈緒子(間宮夕貴)は隣家に住む男(中野剛)によって拉致監禁され、1か月にわたって陵辱の限りを尽くされた。命からがら監禁部屋から自力で脱出した奈緒子だったが、そのときに感じた奇妙な味が32歳になった今も忘れられずにいる。あの奇妙な味の正体を確かめたくて、ハードなSM世界に身を投じたのだ。ある夜、真性サディストと評判の客(伊藤洋三郎)の相手を務めることになったセリカ/奈緒子は、今までにない胸の高まりを感じる。口の奥から、甘い味が漂ってくる予感がした。

 本作のメガホンをとったのは石井隆監督。『死んでもいい』(92)の大竹しのぶ、『ヌードの夜』(93)の余貴美子、『夜がまた来る』(94)の夏川結衣ら、実力派女優たちの迫真の演技が脳裏に焼き付いて離れない。『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』(10)の佐藤寛子の熱演も記憶に新しい。『花と蛇』(04)は団鬼六の原作小説を“性のアミューズメントパーク”へと大胆にアレンジすることで、既成の女優とは異なる杉本彩の魅力を引き出してみせた。では壇蜜の場合はどうか? 昨年9月、『私の奴隷になりなさい』がクランクアップした後、間髪入れずに『甘い鞭』の撮影が始まった。人気に火が点いた壇蜜のスケジュールを縫っての撮影で、トラウマを抱えた女医という難役の役づくりもままならなかった。そんな壇蜜に対して石井監督が取った手法は、ドキュメンタリーの素材として壇蜜をカメラに収めるということだった。

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