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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.259

野球漫画ルーキーズがドキュメンタリー映画に!? 球児を救うはずが借金地獄『ホームレス理事長』

homeless_rijicho01.jpgNPO法人ルーキーズを立ち上げた山田豪理事長。ルーキーズの運営費を調達するため、理事長みずから金策に走り回っている。

 落ちこぼれの高校球児たちが熱血教師のもと甲子園を目指す野球漫画『ROOKIES』はテレビドラマ化、さらに映画化され、大ヒットを記録した。だが、フィクション上の存在であるはずの二子玉学園高校野球部を地で行く野球チームが実在することはご存じだろうか。愛知県常滑市で活動するNPO法人ルーキーズは諸事情から高校をドロップアウトした球児たちに「再び野球と勉強の場を」与えることを目的に2010年に設立されたクラブチーム。全国から集まったルーキーズの選手たちは午前中は高卒資格の取得を目指して勉強し、午後は廃校のグランドに移動してみっちりと汗を流す。人気漫画にあやかって命名されたこのチームに密着取材したドキュメンタリー映画が2月15日(土)より劇場公開される。タイトルは『ホームレス理事長−退学球児再生計画−』。えっ、ホームレス? 落ちこぼれ球児たちが更生していく汗と涙と感動のドキュメンタリーじゃないの。こちらの先入観を思いっきり裏切る想定外のドラマがスクリーン上で繰り広げられる。製作したのは『平成ジレンマ』(11)『死刑弁護人』(12)など一筋縄で済まないドキュメンタリーを次々と放っている東海テレビだ。

 おはようございます。朝、あいさつを交わしながらルーキーズのメンバーをカメラが映し始めると、いきなりカメラに向かってガンを飛ばし、つかみかかろうとする新入部員がいる。不用意に近づく相手に噛み付こうとする野獣さながらの眼光が光る。この子たちが野球を通してどう更生していくのか、ワクワクするオープニングだ。やがてカメラは昼休みにひとりぼっちでお弁当を食べている少年を捉える。愛知県の野球強豪校に入ったが、自分だけ練習メニューを外されて球拾いばかりさせられたので1年で退部し、そのまま中退した。親の勧めでルーキーズに入ったものの、ここでもハブられている状態らしい。いじめられっ子が不良ぞろいのチームにどう溶け込むのか、ますます期待が高まる。だが、この少年はいきなり一塁からホームスチールを狙うかのような大暴走を見せる。試合に遅刻した少年は警察に伴われて現われた。沖縄の県立高校を甲子園にまで導いた実績を持つ池村英樹監督に、少年が遅刻したわけを説明する。その理由とは「昨晩、母親とケンカして刃物を持ち出し、自分で自分の手首を切ろうとしました」。そこまで聞いた池村監督は少年の頬を往復ビンタ。ビンタビンタの9連発。2013年に東海エリアでローカル放送された本作は、体罰シーンがあることからフジテレビは全国放送を見送ったが、劇場版ではそのままノーカットで流れる。

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