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田原総一朗夫人を看取った主治医が監修——“がんに不安を感じた”人、必読の書『がんに不安を感じたら読む本』

gannnifuanwso.jpg『がんに不安を感じたら読む本』(光文社新書)

 もし自分ががんになってしまったら? あるいは、自分の大切な人ががんになってしまったら? 健康に暮らしている時には、そんな可能性があることすら忘れているかもしれない。だが、その宣告はある日突然やってくるかもしれないのだ。その時に、以前から「がん」という病気に対して知識を蓄え、心構えをしていたのと、そうでなかったのでは、がんに対していかに懸命に対処できるかが変わってくるのではないだろうか。今回紹介する本は、その、いわば「がんリテラシー」を高めておくには格好のテキストとなる一冊だ。

 本書『がんに不安を感じたら読む本』の医療監修を担当するのは、昭和大学病院ブレストセンター長の中村清吾氏。乳がん治療界のオピニオンリーダーとして知られる中村氏は、ジャーナリスト田原総一朗の夫人である故・田原節子さんの主治医も務めた。田原氏は夫人を看取った後も、折に触れ講演などで中村氏との闘病エピソードを明かし深い信頼を寄せている。

 そして同書の著者である本荘そのこさんは、週刊誌記者をしていた2004年、35歳のときに乳がんであることが発覚。がんの進行度合を表すステージはIIIまで進んでおり、本荘さんは、手術、抗がん剤、放射線と、がんの三大治療法のすべてを身をもって経験した。

 本書では、本荘さんの生々しい闘病体験がリアルな筆致で蘇るだけではなく、週刊誌記者として取材した、がんと闘う医師や患者たちの多彩なエピソードが紹介されている。

 いまや、がん医療は日進月歩の時代といわれるが、何がどう進化したのか──。かつてのがんが見つかったら即手術という時代から、現代非手術の時代へと進むがん医療の革新がつぶさに記されていることも読みどころともいえよう。

 本書では、中村清吾氏が率いるブレストセンターでの乳がんの最先端治療の様子が克明につづられ、また、アンジェリーナ・ジョリーの告白でにわかに注目を集めた、がん遺伝子についての考察も加えられている。

「私はいままで自分のがんのことをあまり周囲に話さずに来たのですが、この本を書き始めてから、不思議なことに何人かの男性から乳がんについて相談を受けました。自分の妻が、あるいは親しい人が、あるいは姉や妹が乳がんになってしまって、といったものなのですが、男性が何かしてあげられることは、と模索しても、女性はかえって負い目を感じてしまったり、難しいですよね。そのあたりの距離感をつかむためにも、ぜひ男性にもこの本を読んでほしいし、もちろん実際に苦しまれている女性の方や、そのほかあらゆるがんに直面している人も読んでいただきたいです」(本荘さん)

 この本には、これまでのがん関連本ではスルーされがちだったが、実は当事者にとっては最も気になるあることについても、詳しく書かれている。それは、がん治療にかかるお金にまつわる問題だ。

「闘病に経済的な問題はつきものです。日本の国民健康保険制度は確かに充実していますが、やはりそれだけでは賄えない部分があります。例えば、自由診療の部分とか、通院にかかるタクシー代、セカンドオピニオン、代替医療、さらには脱毛に対応するためのかつらの費用などもかかります。私は幸運にも、多額のがん保険に入っていたので、1,000万円近くを受け取ることができました。一回の飲み会の費用くらいで月々のがん保険には十分手厚いものに加入できますので、そういう備えも大切だということは強調しておきたいです」

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