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週刊!タレント解体新書 第2回

ベッキーはなぜテレビから必要とされ続けるのか 『モニタリング』(5月15日放送分)のワイプ術を徹底検証!

41HCpriAOlL.jpg『風とメロディー』(EMIミュージックジャパン)

「バラエティタレント」の、地味ながらも優れた仕事ぶりを考察する連載。

 ベッキーの職業は「タレント」である。そう言い切ってしまっても異論はないだろう。確かに映画やドラマに出演することもあるし、別名義で音楽活動も行っているが、しかし「女優」や「歌手」という肩書はしっくりこない。やはり「タレント」なのだ、ベッキーは。「タレント」という言葉の定義は難しいが、ここでは仮に、どのポジションでもこなすことができ、かつ一定以上のプラスの効果を番組に与える存在、としよう。テレビにおける、ユーティリティプレイヤー。それが「タレント」である。

 「タレント」は、特殊なキャラクターや、目に見えて分かりやすい芸を持っているわけではない。むしろ、そういった余計な要素は「タレント」には邪魔であり、空気のようにテレビ番組のバランスを取りながら支える存在、それが「タレント」なのだ。そうである以上、常に代替可能な存在であることを余儀なくされるわけだが、そこには明らかな能力の差、優劣が存在する。ベッキーが、テレビにとって当たり前の存在となって長い。つまり、彼女は「タレント」という戦場で勝ち残り続けているのだ。では、なぜそれができているのか? ベッキーはなぜ、テレビから必要とされ続けているのだろうか?

 その秘密は、5月15日に放送された『ニンゲン観察バラエティ モニタリング 関東VS関西徹底比較2時間スペシャル』(TBS系)に隠されていた。

 と、『モニタリング』の話をする前に、ベッキーの現在のレギュラー番組を確認してみよう。週1のレギュラー出演番組は現在6本。『ありえへん∞世界』(テレビ東京系)、『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』『中居正広の金曜日のスマたちへ』(TBS系)、『にじいろジーン』(関西テレビ)、『天才!志村どうぶつ園』『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)。5月14日から20日までの1週間で放送された、このすべての番組を自分は視聴してみたのだが、そこで驚くべきことに気付いてしまった。これらすべての番組において、ベッキーはスタジオでVTRを受ける、いわゆるワイプ出演が主な役回りだったのだ(※注『世界の果てまでイッテQ!』は今回、イモトアヤコのエベレスト登頂断念特番だったため除外するが、基本的なレギュラーではスタジオでVTRを受けるのがベッキーの役回りである)。

 確かに現在のテレビ界において、スタジオでVTRを受けるという形式の番組は少なくはない。だが、6本ものレギュラー番組を持ちながら、クイズ番組で回答するわけでもなく、トーク番組でしゃべるわけでもなく、ロケに出るわけでもない。そんな「タレント」は、やはり稀有なのではないか。そしてその事実はつまり、スタジオでVTRを受けるならベッキーだ、という番組制作者からの信頼があるということにほかならない。ではなぜ、ベッキーなのか? ベッキーは果たして特別なのだろうか? 結論から言うと、ベッキーは果たして、特別なのであった。『モニタリング』におけるベッキーの対応力は、明らかにほかの「タレント」とは一線を画していた。

 『モニタリング』とは、簡単に説明すると、街行く一般の方々やタレントにドッキリを仕掛けてその素の反応を楽しむという番組だ。その構成上、VTRを見たスタジオの出演者がどうリアクションするか、あるいはツッコミを入れるかが大きなキモとなる。ブラックマヨネーズやハリセンボンなど、瞬発力に長けた出演者もそこに配置されている。しかし、そういった才能ある芸人さんにまったく引けを取らないどころか、むしろ圧倒してしまうほどに、ベッキーのワイプ術の能力は高い。

 もちろん、ベッキーの基礎能力の高さは誰もが認めるところだろう。ほかの出演者の邪魔にならない程度に、オーソドックスなツッコミをVTRに対して的確に入れるタイミングの妙。あるいは、時に大きな声を上げてリアクションすることで、CM前のアオリとなる映像を提供しておくソツのなさ。そのレベルは極めて高い。しかし、ベッキーのすごさはそんなものではなく、彼女のワイプ術は異次元のレベルに達していたのだった。それは番組内の「ガソリンスタンドにて100円でセクシー店員が窓ふきしてくれたら……」というVTRを受けたワイプで明らかとなった。

 このVTRは、言うなれば「スケベな男の様子を笑う」というのが主軸である。VTRの内容を聞いたベッキーの最初のリアクションは「イヤだー!」という恥ずかしそうな叫び。そう。ベッキーは清純派なので、その声は欲しい。お茶の間の罪悪感を、その声が打ち消してくれるからだ。同じく出演者である俳優、笹野高史が興奮したため「落ち着いてお父さん!」と注意する。これも同系列のリアクションである。ベッキーはつまりここで「エッチなものを見たがる男を(あくまで軽く)軽蔑する」という立場に立ってリアクションをしているのだ。お茶の間的には、「年頃の娘」としての反応である。

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