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山岳映画『アルピニスト』と『神々の山嶺』同日公開 狂気以上の“映画館で見る価値”

文=ヒナタカ

山岳映画『アルピニスト』と『神々の山嶺』同日公開 狂気以上の映画館で見る価値の画像1
C)2021 Red Bull Media House. All Rights Reserved.

 まるで示し合わせたかのような「同日公開」だ。何がって、ドキュメンタリー映画『アルピニスト』と、アニメ映画『神々の山嶺(いただき)』のことである。

 この「断崖絶壁や過酷な環境に挑む登山家もの」という大きな共通点がある2作品が、7月8日より公開されているのだ。今の時期にぴったりの涼しくなれる内容であるし、何より映画としてのクオリティがとてつもなく高いので、幅広い世代におすすめしたい。

 それぞれ全く異なる「クレイジー」だが「それだけじゃない」登山家へのアプローチがされた内容でもあるので、その「違い」を楽しむために合わせて観てみるのもおすすめだ。さらなる魅力を記していこう。

『アルピニスト』:一歩間違えば死ぬ挑戦で、大切なものを手にする若き天才の物語

山岳映画『アルピニスト』と『神々の山嶺』同日公開 狂気以上の映画館で見る価値の画像2
C)2021 Red Bull Media House. All Rights Reserved.

『アルピニスト』はカナダの若き天才アルピニストのマーク・アンドレ・ルクレールに密着したドキュメンタリー映画だ。劇中で主に示されるのは、山の斜面を自分の足で登る一般的な登山ではなく、世界有数の岩壁や氷壁、つまりは断崖絶壁を「命綱なし」で登っていく様。言うまでもなく高度な技術を要するし、一瞬の判断が死に直結する過酷な挑戦なのだ。

 いや、過酷と言うのも語弊があるかもしれない。なぜなら、マークはその挑戦を心から楽しんでいる、それどころか「生きがい」や「アイデンティティ」をも手にしているからだ。劇中では彼が子どもの頃にADHDと診断され、小学校では周りになじめなかったが、登山に挑むことで「自分が自分になれた」ということも語られている。何より、その朗らかな笑顔や親しみやすい人柄から、側から見れば狂気の沙汰そのものの挑戦であっても、彼にとっては人生の喜びそのものなのだと伝わってくる。

 また、マークはその挑戦以外でも変人ぶりを見せつけるので、そのユニークさに笑ってしまう。例えば、彼は世界中の名だたる登山家から称賛される一方で知名度はほとんどないのだが、それは名声を求めない欲のなさだけでなく、スマホを持たずSNSもやらないことも理由になっている。その「なぜスマホを持たないのか?」に対する問いの答えが「まさか」すぎて面白いので、ぜひ映画本編を見ていただきたい。

 その他にも、文字通り一歩間違えば死ぬ挑戦をする理由について、喜びや楽しみだけでない複雑な価値観が、マーク本人だけでなく有識者の意見も交えて示されているので、それもまた面白く見られるだろう。決して単純に言語化できない、断崖絶壁を攻略する興奮、または恐ろしさ、そして、それを超える感動を映し出していることが、この『アルピニスト』の意義だ。

 何より、断崖絶壁を攻略する様はアクション映画のようなハラハラがあり、辺り一面が雪景色に覆われた過酷さと美しさを併せ持つ光景は、スクリーンで観る価値が絶対にある。高所恐怖症の方は要注意ではあるが、その「ヒヤッとする」印象も含めて楽しむといいだろう。クライマックスには意外な展開が待ち受けていて複雑な心境にもなるかもしれないが、観終わった頃はこの映画のさらなる意義がわかるはずだ。

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