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【バック・トゥ・ザ・80'S】Vol.16

小さい誌面にディープな情報がみっちり詰まった「ケイブンシャの大百科」今昔物語!

keibun04.jpg大ヒットを記録した

■全盛期を迎えた80年代初頭

 冒頭でも述べた通り、「ケイブンシャの大百科」が扱う題材は非常にバラエティに富んでいたわけだが、それらはいかにして企画・編集され、どのくらいのペースで出版されていたのだろうか?

「時期によってばらつきはあったんですけど、だいたい月に4冊出していました。ほぼ週刊でしたね。編集は実質10人くらいで、年間50冊くらい出していたので、一人の編集者がだいたい年間で3~4冊を担当していました。売れていない本でも3~5万部は刷ってて、キャラクターものになると10万部くらい刷っていましたね。どの本も、ほぼ即重版がかかっていました。どんな本でもそこそこ売れているから、時々変な本が出てもそれなりに売れるんです。こちらとしても、とにかくコンテンツが欲しくて、常にネタを探していました。面白い話とかネタが編集部に入ってきたら、すぐに『それやろう』ってなるんですよ(笑)。だから大したマーケティングとかしていませんでした」

keibun05.jpg珍品中の珍品
keibun03.jpg水野晴郎がポリスのコスプレを披露

 なんと豪快なエピソードだろう。出版不況と言われて久しい昨今では、とても信じられない状況である。ちなみに「変な本」の中には、『エチケット・マナー大百科』『ユン・ピョウ大百科』『おりがみ大百科』『水野晴郎の世界のポリス大百科』など、タイトルを見るだけで興味が惹かれるものも多々。中には、いろいろな生物の排泄物を紹介する『ウンチの大百科』や、かなり時代を先取った性教育の大百科『からだなぜなに大百科』など、かなりエッジなものもあった。そんな「変な本」の中で、黒沢さんが携わった一冊が『忍者・忍法大百科』だ。

「当時、大百科は320ページ埋める必要があったんですが、忍法をネタにしても普通にやると埋まらないんです。まず伊賀忍者、甲賀忍者って忍者を紹介して32ページくらい。残りの300ページくらいをどう埋めるかというと、もう編集がでっち上げていくわけです。この本の場合は、忍者のコスプレをしてフォトストーリーを作ることになったんです。パーティ用のコスプレ衣装を用意して、僕の大学時代の後輩を呼んで、いきなり『これを着ろ』って命令していました(笑)。そのストーリーですか? もちろん僕たちで書きました」

 その他、『怪獣プラモ大百科』では円谷プロ監修の『ウルトラQ』公式フォトストーリーを編集部で作ったり、『アニメアイドル大百科』では当時まだ晴海の東京国際見本市会場で開催されていたコミックマーケット会場に出向き撮影したコスプレイヤーの写真を掲載したりと、黒沢さんはかなり好き勝手に大百科を制作していたという。

 ちなみにこの頃、映画評論家・町山智浩のような後のビッグネームも、編集者・ライターとして大百科に関わっていたという。このように個性的な人物が子ども向けに本格的な書籍を作り続けていたのが、80年代の「ケイブンシャの大百科」だったのだ。

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