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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.307

韓国で起きた女子中学生集団暴行事件の映画化! セカンドレイプが怖い『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』

HANGONGJU01.jpgヒューマントラストシネマ渋谷で開催中の「未体験ゾーンの映画たち2015」の注目作『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』。韓国で大ヒットしたインディーズ映画だ。

 土中のバクテリアたちが分解した養分を吸い上げた草花がやがて美しい花を咲かせるように、実録犯罪映画は現実社会に起きたおぞましい事件を養分にして観る者の心に刻み付くような美しい作品を生み出す。ガス・ヴァン・サント監督は1999年に起きた“コロンバイン高校銃乱射事件”を『エレファント』(03)として再現し、石井隆監督は1997年に起きた“東電OL殺人事件”をモチーフに『人が人を愛することのどうしようもなさ』(07)を撮り上げた。実録犯罪映画とは人間の心の闇に咲いたトリカブトであり、彼岸花である。韓国映画『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』もまた、忘れがたい実録犯罪映画の一編に数えられる。『ハン・ゴンジュ』は2004年に発覚した“密陽女子中学生集団性暴行事件”を題材にしたものだ。

 携帯電話で呼び出された女子中学生が、延べ40数名の男子高校生に集団レイプされたこの事件。被害少女は「強姦したことをネット上でバラす」と脅されて、複数回にわたってセックスを強要された。事件発覚後も、加害者たちのほとんどは未成年者ゆえに実刑が下ることはなく、逆に被害少女の個人情報がネット上で晒され続けた。セカンドレイプ地獄に陥った被害少女は重度のうつ病を患い、引っ越しと転校を余儀なくされた。

 地方都市・密陽で起きたこの事件がきっかけで、韓国では他にも未成年者による性暴行事件が多発していることが明るみになった。韓国映画界のクリエイターたちはこれらの事件に触発され、次々と問題作を手掛けている。韓国の閉鎖的な社会性を性暴行事件の温床として描いたホラー映画『ビー・デビル』(10)、加害者側の家族の視点から事件を見つめた『ポエトリー アグネスの詩』(10)、さらには被害少女の母親が加害少年たちへの報復に立ち上がる復讐バイオレンス『母なる復讐』(12)などが日本でも劇場公開されている。これら3作品は、『ビー・デビル』が事件を知りながらも無関心を決め込んだ友人、『ポエトリー』が加害者の暴走を止められなかった保護者、『母なる復讐』が少年法に泣き寝入りせざるをえない被害少女の母親、とそれぞれ異なる立場から事件にアプローチしていた。それに対し、『ハン・ゴンジュ』は被害少女を主人公に据え、彼女が事件後にどのような日々を過ごしたであろうかをクローズアップした作品となっている。

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