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週刊!タレント解体新書 第27回

平愛梨の天然さが愛される理由とは何か? 日テレ『笑ってコラえて!』(5月20日放送)ほかを徹底検証!

51TVVA647PL.jpg『あい・たい―平愛梨1st.写真集』(彩文館出版)

 5月24日に放送された日本テレビ系『スクール革命!』で平愛梨は、自分には兄妹がいるから周りの空気を読んでしまう、と発言した。それを聞いてスタジオは、文字通り変な空気になる。「あまり感じないけどね」「現場では生かされてる?」と訊ねられた平愛梨は、はにかみながらこう答えた。

「現場では、やりたい放題やらせてもらっちゃって……(照)」

 まさにこの言葉は、平愛梨の立ち位置を的確に指し示している。いわゆる「天然」と呼ばれる種類のタレントではあるが、その言動を予測することが難しいため、かなり自由な位置に置かれることが多い。そもそも『スクール革命!』にしたって、この「やりたい放題やらせてもらっちゃって」という言葉を生かすということは、平愛梨の自由さを許しているということにほかならない。逆に言えば、素材の味が野趣に満ちているためヘタな調理をしたら良さを殺してしまう、平愛梨とはそういったタレントである。

 彼女の自由さは20日に放送された『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』(同)の冒頭でもまた、いかんなく発揮された。番組中に突然、深夜から翌朝までひとつの駅近辺の飲み屋をハシゴするという「朝までハシゴの旅」コーナーへの出演を発表された平愛梨は、誰もが予期していなかった行動に出る。号泣するのだ。「朝までハシゴの旅」へ行きたくない、という理由で。

 平愛梨は、涙を流しながら切々と告げる。

「私、人としゃべれないんですよ」
「基本、疑問がないんですよ、人に対して」
「友だちも、三瓶さんくらいで」

と、根っからの人見知りであることをカミングアウトする。この辺り、すでに平愛梨の真骨頂であるといっていいだろう。行きたくないのは分かる。人見知りだというのも仕方ない。だがそこで、泣く、という誰も思いつかないような行動に出てしまうのが平愛梨だ。それはもう「天然」というジャンルを超えている。素っ頓狂な人間の言動を見るというよりも、どちらかと言えば、何をするのか分からない野性動物を楽しむという感覚に近い。作為的かどうかを考える暇も与えないほどに、行動がトリッキーなのだ。

 結局、平愛梨は「朝までハシゴの旅」へと出かけるのだが、その中から印象的な、そして対照的な2つの発言を取り上げてみたい。どちらも「マリ子の部屋」という飲み屋を訪れての発言である。

【1】
(ママのマリ子が63歳だという話を聞いて)
「63歳まで人生過ごされて、一言で言うと、なんですか?」

【2】
(ディレクターから「マリ子さんに何か相談してみたら?」と問われて)
「このポン酢、どこで買ったんですか?」

 どちらもかなり面白く、個性的な返しであることは間違いない。【1】に関しては、63歳という人生の長さを一言でまとめさせようとするアバンギャルドさ。初対面の人間からこんな質問をされるとは、さすがのマリ子さんも思っていなかっただろう。そして【2】に関しては、もはや相談ですらない。しかも平愛梨が気にしているポン酢は、一目見ただけではっきりと分かるが、どこにでもある普通の味ぽんである。マリ子さんも「スーパー」と答えるのだが、ほかにどんな答えを期待していたというのだろうか。

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