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タブーを突破する男たちの覚悟──映画『木屋町DARUMA』

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 裏社会でもがく男たちの生き様を、熱く深く描き出した問題作『木屋町DARUMA』。原作は四肢を失いながらも借金の取り立て稼業で生計を立てる男を描いた丸野裕行の同名小説(Kindle版電子書籍にて購読可)。メガホンをとったのは、映画監督で俳優の榊英雄。『誘拐ラプソディー』で日本映画批評家大賞新人監督賞を受賞、また『捨てがたき人々』ではKINOTAYO現代日本映画祭批評家賞を受賞している。

 物語の主人公は、かつて京都木屋町を牛耳る組織を束ねていた勝浦茂雄(遠藤憲一)。彼は、5年前のある事件で四肢を失った。今では、ハンデのある身体で債務者の家に乗り込み、嫌がらせをして回収する捨て身の取立て稼業で生計を立てていた。仲間の古澤(木村祐一)から世話を命じられた坂本(三浦誠己)の助けを借り、次々仕事をこなしてゆく毎日。

 そこへ、真崎という一家に対する追い込みの仕事が入る。その家族は、かつて勝浦を裏切り、金と麻薬を持ち逃げした元部下・サトシの身内だった。勝浦は責任を取って今の身体になったのだが、事件に疑問を感じた坂本が過去を嗅ぎ回り始める。人生が壊れてゆく債務者を見つめながら、薄汚い闇社会でもがく勝浦と坂本は、5年前の、ある真実を知ってしまう……。

 去る9月30日、筆者がロフトプラスワンで企画した『コミックばかり読まないで』(イースト・プレス)の出版記念トークライブに足を運んで頂いた千田浩司氏から急遽、千田氏が宣伝に携わる映画『木屋町DARUMA』の初日舞台挨拶取材を依頼された。

 そして公開日の10月3日、満席の渋谷シネパレスにて『木屋町DARUMA』は封切られ、万雷の拍手をもって念願の初回上映を果たした。

 これに先立つ初日舞台挨拶では、遠藤憲一、三浦誠己、武田梨奈、木下ほうか、そして榊英雄監督の各氏が登壇。撮影から実に2年半という年月を経ての劇場公開を前にして、榊監督からは安堵の表情が見てとれた。

 舞台挨拶では、監督が俳優ということもあってか、出演俳優陣が実にリラックスしたトークを心がけていたのが印象的だった。

 その中でも、主演の遠藤憲一さんからは「こんなエグイ、ヤバイ映画を誰が観るんだと思っていたら、こんなにお客さんが来てくれた。ありがとうございます」という思わぬ本音が語られ、狂気のヒロインを好演した武田梨奈さんからは、男臭い撮影現場で遠藤憲一さんに父性を感じ、木下ほうかさんからは思わぬ母性を感じとったというエピソードが披露され、問題作の上映を控えて緊張感の漂う客席からも笑い声が漏れ伝わってきた。

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