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「もう、カラダを売っても生きられない」“熟女”風俗嬢の売春格差 『熟年売春 アラフォー女子の貧困の現実』

zyukunen0309『熟年売春 アラフォー女子の貧困の現実』(ミリオン出版)

 風俗業界では26歳から上を熟女とし、60歳越えを超熟女、超熟と呼んで分け、熟女好きや一部の客に向けて売り出している。

 本書『熟年売春 アラフォー女子の貧困の現実』(ミリオン出版)は、その熟女~超熟の層にいる風俗嬢のリアルな実態に迫った191ページにわたるルポである。

 著者である中村淳彦は、これまで性産業に切り込んだ数多くの著書で知られる人物。本書は、中村に「お惣菜も買うお金もない」という53歳の風俗嬢から電話が入ることからはじまる。

 中村は、その風俗嬢にインタビューをする。風俗系求人誌をめくって、手当たり次第に風俗店に応募する毎日だという女性。50代になってしまったら、新たに受け入れてくれる店舗などあるはずもないが、本人いわく「熟女というジャンルがあるから大丈夫」らしく、まだまだ自分が稼げると信じている。現在の収入は、風俗嬢の時に懇意にしていたお客の相手をする月5万の収入と、テレホンセックスのバイトが1分30円。10分で300円ほどにしかならない。最低限の生活すらままならないという。

 33年間風俗嬢として働いたこの女性は、男性経験が1人しかなく最後に好きになったのは勤務先の店長。猛アタックをしたが拒否された。その理由を女性は「インポとしか考えられない」と断言する。多くの風俗嬢は、男性からさまざまな知識や社会性を吸収して、独立したり結婚したりとが貧困になることを避けるが、この女性の場合20歳から業界に入り、長くいたことで他の働き方も知らず精神的にも未熟なままなのだ。

 後半では、住宅ローンを払うために風俗嬢になった主婦が登場する。本書の中でもいわれているが、性産業で働く中高年の女性は、真面目で家柄が堅いことが共通点だという。この主婦も、厳格な両親のもとで育ち、結婚の条件として「持ち家であること」を両親から迫られ、35年のローンを組んだ。

 しかし、直後に夫の経営していた喫茶店が廃業したために、鶯谷で働くことを決意。仕事をはじめてから多い時では1カ月50万以上稼いだが、今では1日に1人つけばいいほうだという。日給は6,000円~1万2,000円で、当然客がつかなければ収入はない。

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