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イスラム教徒でもない人が……見当違いの「ホームグロウン・テロ」捜査は、なぜ起こる?

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 とある千葉県内のトルコ料理レストランに8月上旬、こわばった顔の男たちがドカドカと踏み込んだ。彼らは警視庁公安部の捜査官で、店主のパソコンやスマートフォンを任意で押収。店主への聴取などはなかったが、営業中に客の目の前で起こった出来事に、店主は憤っている。

「陰謀容疑だというのに捜査令状はナシ。当然あるわけがない。何もしていないんだから。やましいことがないからパソコンもスマホも差し出したけど、営業中に来るなんてひどい。お客さんに誤解を招くでしょう?」

 この店主はインドネシア人で、疑われたのは中東テロ組織とのつながりのようだったというが、「おそらく過去にイランやトルコに住んでいたことがあって、仕事でシリアに行ったこともあるからでは」と話す。

 テロリストとの関わりはなく、実際に後日、パソコンやスマホは返却され、それも捜査官が休日に非番でやってきたというから、捜査の成果はゼロだったということ。

「妻は日本人だし、日本に10年以上も住み、そもそも私はイスラム教徒でもないんです」

 そう話す店主は、過去にもこうした迷惑な捜査を受けたことがあるのだという。

「9.11米同時多発テロの後の正月、ジャカルタの親族が来日したときにも予告なく刑事が自宅に踏み込んできたんです。そのとき、過去にシリアに出入りしたことを聞かれましたが、私は仕事でシリア名産の石鹸を買いに行っただけで、ほかに持ち帰ったのはゴマとピスタチオの入った伝統クッキーだけ。逆にこんな私なんかを調べるほどテロ対策はずさんなのかと、不安になります」

 この話には軍事ジャーナリストの青山智樹氏が、テロ関連捜査で警察が情報錯綜に振り回されている原因を解説する。

「テロ組織のISISは最近、世界各地の志願兵を募集していますが、組織のメンバーやイスラム過激派の信奉者でない者が仕事を請け負っているんです。テロ組織が別の組織に仕事を依頼するテロネットワークができていて、たとえばオウム真理教は世界で初めて化学テロを起こした団体として海外でも知名度が高く、過激なテロ組織がオウム残党に連絡を取りたがっている話があったりするほど。そうなるとISISとまったくつながりを持たない無関係なところを、いきなり疑っしてかかってくることも出てきます」

 実際、中東の反米テロ組織が、南米を拠点に反米活動を続けている連中と、主義主張を超えた反米一致で協力しているというウワサもある。アメリカに入国するのに中東系の人種だと警戒されるが、南米のラテン系であれば入国しやすい利点があるという話だ。ISISに関しても世界各地で直接組織に関与しない自主的な同調テロが相次いで「ホームグロウン・テロ」として恐れられるようになっている。

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