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スキャンダルくすぶる防衛産業【3】やっと始まった合理化

 10月29日、防衛省のCXエンジン納入に関わる接待疑惑で、守屋武昌・同省前事務次官の証人喚問が国会で行われた。今後は、山田洋行元専務に接待された守屋氏の違法性が問われることになるが、そのほかにも防衛省が抱えるスキャンダラスな構造に国民の厳しい目が向けられることになるだろう。特に、防衛省を中心にした日本の防衛産業の「無駄遣い」体質は、問題だらけだ。この「無駄」の部分が利権と化し、防衛省やそのOB、そして商社や兵器メーカーなどが群がっている。

 では、その無駄遣いの実態とはどのようなものなのか? 「サイゾー」本誌では、今回の疑惑が大々的に報じるられる前に、専門家たちに集まってもらいこの問題を詳しく語ってもらっていた――。

[座談会出席者]
清谷信一(司会) 軍事ジャーナリスト/自衛隊装備調達ウォチャー
A…大手総合商社航空部門担当
B…中堅商社防衛部門担当
C…軍事専門誌記者

重い腰を上げた防衛省

B ところが、現在の防衛政策では、MD(ミサイル防衛)に1600億円近くも膨大な予算を喰われている。で、これがその他の装備調達費を圧迫しているわけです。ですから、これまでのような冗漫な調達は難しくなってきている。もはや背に腹は代えられないところまで来ています。防衛省の予算計画である「平成20年度防衛予算概算要求」を読みましたけど、「効率性と優先度を踏まえた防衛力整備の推進」の掛け声のもとに、装備の一括調達実施を掲げています。つまりは「まとめ買いで単価を抑える」という単純なことですよね。これを去年から始めたというのは画期的ですよ。

 たとえば、P-X次期固定翼哨戒機を4機分一括調達したことで、141億円も削減できるし、F-15戦闘機を32機分一括改修しただけで、230億円も削減できると発表した。防衛省自ら、今まで、これだけの無駄遣いをしてきましたと自白したようなもんですからね。

A この改革には、僕も驚いたよ。割高での調達をダラダラと長年続けて業界の安定を図ってきたわけだけど、それでは自衛隊を機能させるのに、必要な装備数が揃わないということに防衛省もやっと気づいたんだろうね。前述した無線機と同じく、人員に対して、装備が足りないということなんだけど、それによって人が余ってしまう。顕著な例が、陸上自衛隊の偵察ヘリコプターだよね。前任のOH-6は250機配備されていて、1機につき乗員2名、計500名、予備を入れれば1000人近い搭乗員を抱えてきた。ところが、後継機のOH-1は、調達価格が高いこともあって年に2~3機ずつしか調達されない。制式化から10年で、やっと20~30機に達したくらい。調達数が少なく、部隊の縮小もせざるをえないので、パイロットが余っちゃって、各基地で庶務や人事なんかをやっている。このままでは、せっかく高い金をかけて育てた搭乗員が、年間規定飛行時間に達せずに失職してしまう。AH-64アパッチに至っては、1機100億円もするでしょ。陸上自衛隊の航空機予算は200億円くらいだから、アパッチを2機買ったら、他はすべて諦めなきゃならない。だからといって、各セクションとの予算の兼ね合いもあるし、いきなり航空機の予算だけを300億円に増額することはできない。だから60機調達する予定だったが、13機で打ち止めになった。まあ、以前だったら、そのままズルズル調達を続けていただろうね。

B 調達価格が高いから数が揃わない。数が揃わないから調達コストが下がらず、余計に機数が揃わない。悪循環ですね。

C 現場も、一佐以上の人は現状で満足しているのかもしれないけど、二佐、三佐の人たちは、これではイカンと業務改革を考えている。その表れが、今回の一括調達の実施なんでしょうね。

 現場の隊員も、がんばってますよ。冬でも、セーターも支給されていない。スコップも先が丸くなっても使い続けて、使用後は柄が折れないように油を塗って布にくるんでしまいます。もう、いじましいくらい節約してる。防衛費の無駄遣いを減らし、装備の調達をスマート化することで、組織としての効率化と即応性を上げることはこれからの課題になるでしょう。このあたりの問題を把握している石破茂さんが防衛大臣に返り咲いたし、防衛省・自衛隊には、さらなる行革を断行してほしいですね。
(山﨑龍/構成)

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最終更新:2008/06/17 19:14
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