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コミュニティーノートは「口汚くないクソリプ」? リベラル系記者から漏れる不満

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Twitter社CEOのイーロン・マスク氏(写真・GettyImagesより)

 ツイッターの運営上の混乱に乗じ、メタ(旧フェイスブック)が7月5日に投入したスレッズ(Threads)。開始5日で1億人超の登録者数を集めるなど「ツイッター超えも時間の問題」などと注目を集めた。
 
 しかしそれから10日も経たないうちに、世間の関心は急速に冷え込んでいる。イーロン・マスクは15日、ツイッターの全世界での利用時間が回復していることを投稿。特に利用が長いのは日本で、1人あたりでは米国の約3倍にのぼるという。
 
 ツイッターの巻き返しを支えたのは何か。少なくともここ数日の話としては、マスクの投稿前日にリリースされた新機能「コミュニティノート」の盛り上がりが、日本ユーザーの利用時間の伸長に貢献しているのかもしれない。
 

絶妙なリリースは「スレッズ対策」だったのか

「コミュニティノート」は、誤解を招く可能性のある投稿に対し、ユーザーが「ノート(注釈、注記)」の形で指摘を追加できる機能だ。これまではユーザーがリプライや引用リツイートの形で誤りを指摘することもできたが、それを進化させたものだ。
 
 ひとつのツイートに対しては、複数のノートを投稿できる。利用者はそのノートが役に立ったかどうか「はい」「少し」「いいえ」で評価し、さらにその理由についても選択して回答できる。
 
 そして「さまざまな視点かつ十分な数の協力者」から評価が集まると、当該ツイートにノートが表示されるしくみになっている。
 
 このような機能はスレッズにはもちろん、他のSNSにはない。リリースは以前から予定されていたのか、それともスレッズ対策で急遽行われたのかは分からないが、絶妙なタイミングだったといっていいだろう。
 
 一般的にSNSに対しては、匿名アカウントがデマや誹謗中傷を投稿する卑怯な行為が問題とされがちだ。しかし現在この機能でやり玉にあがっているのは、これまで“権威の象徴”とされていた新聞やテレビ、政治家による実名投稿である。
 
 東京新聞の望月衣塑子記者や日本共産党の志位和夫委員長、毎日新聞や東京新聞、朝日新聞の公式アカウントによる投稿に対し、「ツイートに記事内の重要な情報が欠けています」などのツッコミが入っている。
 
 しかしこの手のアカウントではノートの指摘に反応をせず、無視を決め込んでいる場合がほとんどだ。
 

共産党の小池書記局長は「ノートごと投稿を削除」

 NHKニュースの公式アカウントが投稿した記事リンクにも容赦なくノートが付けられ、表示は1,500万回を突破。記事を掲載するサイトでも「アクセスランキング」の1位になっている。
 
 この記事は「マイナンバーカード 本人希望で廃止 4割近くが自主返納」と題するもの。ノートによると「本ツイートに含まれる記事のタイトルの「4割」の母数は「総返納件数(247件)」ですが、明記されておらず「総発行件数」と誤認する恐れがあるので注意が必要です」とのことだ。
 
 多くのユーザーが「見出し詐欺」などと同調しているが、ノートがつかなければここまで注目はされなかっただろう。
 
 なお、ツイートから2日経った現在でも、NHKは反応を示していない。ここまで大きな話題になったのであれば、自らの釈明を記事の末尾に入れてもよかったのではないだろうか?
 
 一方で、ノートの指摘に反応を示す人もいる。日本共産党の小池晃書記局長は、保険証によるなりすまし被害が発生しているとする河野太郎大臣の発言を批判する報道を引き、「確かに聞いたことありませんね」と投稿。
 
 しかし、小池氏の選挙応援演説を行った人物が会長を務めていた団体が、偽造保険証を使った野球場の施設利用登録証詐取の疑いで逮捕者を出した過去がある旨のノートがつくと、小池氏は断りなく自らの投稿を削除してしまった。
 
 リプライやリツイートであれば元ツイートが削除されても指摘が残るが、コミュニティノートは元ツイートごと削除されてしまい、投稿の証拠が消えてしまう。
 
 もっとも、即座にスクリーンショットを撮って証拠を残して再投稿する人もおり、逆に「消すと増える」状況になっていると言えなくもない。
 
 また、鳩山友紀夫(由紀夫)元首相は、投稿のソースが「偽情報である」とノートで指摘を受け、「事実を確認できずお詫びして撤回する」と謝罪。しかしその投稿で付け加えた情報にも再び誤りとのツッコミが相次ぎ、「追加の情報が必要である」という新たなノートもつけられている。

「嫌がらせに使われる」と苦言する津田氏のツイートにも

 ここまで見てきたように、コミュニティノートの指摘を受けて話題になるツイートには、いわゆる「リベラル系」「政府批判」の投稿やアカウントが少なくない。
 
 この状況に対し、ノートが「リベラルへの攻撃に使われている」と不満を漏らす人たちがあらわれている。神奈川新聞の柏尾安希子記者は、次のようなツイートを連続投稿している。
 
「コミュニティーノートって、見ている限り口汚くないクソリプって感じですね。」
「コミュニティノート支持の人々を見ていると、ああやっぱりなと。」
  
 沖縄タイムスの阿部岳記者はノートの利用者の属性について、自身の解釈を踏み込んで書き込んでいる。
 
「なんか客観を装っているけど(略)ただの匿名ネトウヨコメントが公的な装いで表示されていて、まさに今のツイッターを煮詰めた感じの素敵な新機能です。」
 
 ジャーナリストの津田大介氏も、ノートが健全な形で使われていないと苦言を呈している。
 
「なんでモデレーションもろくに機能してない日本のツイッターで、匿名でほぼ自由に書ける形で導入したのか。嫌がらせに使われるに決まってるだろ。」
 
 モデレーションとは、投稿内容を管理者がチェックしたり、別の読者が評価付けをしたりすることを指す。しかし、コミュニティーノート自体がそのような機能を内包している解釈もできなくはない。
 
 案の定、津田氏の投稿には「コミュニティノート機能についての誤解も含まれています」という以下の指摘とともに、しくみの解説とソースのリンクがノートに貼られている。

 

うじいえひでお@hujiie(ライター・編集者)

ライター、編集者。1967年生まれ。出版社、ネットメディアなどを歴任。

Twitter:@hujiie

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うじいえひでお

最終更新:2023/07/21 08:00
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