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【第11回】小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談

鳥居みゆきさんの至言「やりたくないこと、やらないだろうな、ってことをやるの」(中編)

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前編はこちら

──第一回の放送でも、「ネット社会が嫌いだ」っておっしゃってましたね。

 そうなんです。わたし、昔、もう外に出たくなくて家にひきこもってたんですけど、ひきこもってるくせにネットが使えないから、これは本格的にダメだと思って。

──もう自分の中にこもるしかないですもんね。

 そう、ほんとにこもってる人なんていないよ! だって、ネットあるんだから。ねえ? ずるいですよね、わたしは究極のひきこもりでしたもん!

──精神的な逃げ場がないと思いつめていく一方ですしね。でも、やっぱり自分の深層心理の中にこもるほうが、絶対、そのあと生まれるものが深いような気がします。

 そうなんですよ、マトリョーシカみたいに。

──マトリョーシカは、どんどん開けても大したものは生まれないような……。話を戻しますけど、Gyaoジョッキーって、チャットで進んでいくじゃないですか。私、あれが苦手で毎回心が折れました。

 見てなかったんですよ。縦に読んでったら、ぜんぜん意味がわからないくて。

──縦読みじゃないですよ! チャットってリアルタイムで顔の分からない人がいっせいに書き込むわけじゃないですか。私、10の適当な言葉より、1の「老けた」とか「まじ無理」とかマイナスな言葉が目に付いちゃう性質なんですよ。

 そうなの? 占いとか見てても、アンラッキーが出るまで見るでしょ。

──あ、自分が納得いくのが出るまで見ちゃうかも。逆に普通の結果のはすぐに忘れます。当たらないよ、とか言って。

 それマゾですよ、マゾ。

──ええー!

 でも、それじゃないと自分が生きてる感じがしないんでしょ。わたしもそうなの。

──それでチャットも見ないんですか?

 見ても傷つくだけでしょ。でも、傷ついてる自分がほんとは好きなんです。だから、しょうがないじゃないですか。それに、その書き込みを自分が見てる時点で、それが悪口だったとしても、自分のほうが上じゃないですか。だから、なんとも思わない。

──なるほどー。あと、これもDVDの中でおっしゃってたんですけど、「人の話を聞いたら、聞いただけみじめになってバカを見る」って、これすごく共感してしまって。

 あ、今のこの取材の感じと一緒ですね。

──マジすか。

 はい。ふはははは。

──あははは(つられ笑い)。確かに、人から言われて初めて「私はみじめだったのか」って、気づくことってありますよね。聞かなきゃ普通でいられたのに! みたいな。

 ありますよねー。わたしが普通に電車に乗ってたら、子供が近づいてきて、お母さんが、「やめなさい、そういう人に近づかないで」って言われる感じと一緒ですか?

──あー、なんか似た感じかも……。

 違います。

──違ったか。

 あ、あれですか。コンビニってシャッターあるじゃないですか、でも24時間営業だからいつ閉めるんだろうって思ってたんですよ、あれって何のためなんですかね。

──なんでですかねー。

 すごい不思議ですねー。あとあれですね、なんかジャケットとか買うと絶対ついてくる、予備のボタン、あれって、絶対どっかいっちゃいますよねー。

──絶対なくなりますよねー。

 仕方ないから自分で縫い付けてったんですけど、そしたら着たとき、不自然な場所にボタンがあるんですよ、もう、変に見えるんじゃないかなと思って!

──あの、たぶん変だと思いますよ。

 ね! あれ困りますよね!

──ほんとですね。このDVDでも、鳥居さんが途中からあきらかに飽きてるときとかあるじゃないですか。

 はい!

──あれはすごい分かりやすいですよね。

 うふふふ! じゃ今も分かっちゃってるのかなぁ、ふはははは!

──わかりますけど頑張ってください! あの、昨年出されたDVDの『故・鳥居みゆき告別式』の話になるんですけど、暗い部屋に、鳥居さんがひとりでいて、明日からがんばろう! ってダイエット商品買ったり、タモリさんから電話かかってきて、「いいともー!」って言ったあとに、首吊るっていうコントは、やっぱり、自分が一番幸せなときに地球も終われ、みたいな願望ですか?

 そうです。

──なんかこう、私も幸せな瞬間に人生を打ち止めにしたい願望っていうのが昔からあって。

 そうなんです、尻子玉と一緒で。

──シリコ……? 河童の?

 (聞かずに)そうなんです。一番いいときにやめるんです、わたし。お腹いっぱいに食べると苦しくなるから、いちばん美味しいときにやめるみたいに。

──うんうん、それ、わかります。それで……。

 でも、それはカレーだけ。

──カレーだけですか。

 カレーは超苦しいの。

──好物のカルボナーラは?

 カルボナーラはお腹いっぱいまで食べちゃう! ダメねえ~(ほがらかに)。

──あはは。

 カレーは美味しいときで終わらせていきたい。じゃないと、カレー食べたときに、ハヤシにすればよかったーって思うじゃん。それはちがうんだ。

──カレーは好物のままでとっておきたいんですかね。鳥居さんの短編小説集『夜にはずっと深い夜を』でも、『いちゃつき心中』って、カップルがいちゃつきながら心中する話があったじゃないですか。私、あれが一番好きで。

 お!

──すごくいい状態の、「死ぬほど幸せ!」って時にポックリ逝って人生勝ち逃げしたい、って気持ちが強いんですよ。鳥居さんはどういうときに、幸せを感じますか?

 カニ食べてるとき。

──あー、カニは幸せですねー。

 ずわい。

──ずわい限定ですか。

 形たらばの味ずわい。

──カニ食べてるとき死ぬほど幸せですか。

 ……カニ食べてるとき黙ってるもんね。もうちょっとしゃべりながら……でもカニ……わたし、シザーハンズが好きで、手がカニになったらいいな、と思って。

── あれはカニじゃないですよ!

 あ、そっか。あの人、超いい人なんですよね。あんなにいい人なのに、手がハサミって超おもしろくない?

──あはははは!

 あんなにいい人なのに手がハサミなんですよ!

──ふっふっふっ。

 売れないアイドルなのに手がハサミとか!

──えっ、私?

 手が! ハサミ!

──えっと、手がハサミは、一回おいといて相談なんですけど……。

 うん。

──今まで割とツイてない人間だったんですけど、だんだん低所得なりに仕事が安定したりして、ささやかな幸せっていうのを日常的に感じてきて、いつか自分がもっと満たされた場合のことを考えるのも怖くって、なんかこう、いつも不幸になる準備をしている気がして……。

 わかりますよ、幸せだと、不安になるんでしょ?

──不安になるし、書くものも面白くなくなったりとか、発信していくものもみんな同じになっていって、読むほうも飽きちゃうし。「幸せ」っていうのに、なりたいんですけど、なっちゃいけないみたいな気持ちがすごい強くって。

 それは人それぞれじゃないですか? わたしは幸せって感じたことは、一度もありません。

──一度もですか。

 カニ食べてるときしかない。でもね、カニアレルギーなんですよ。

──それは幸せだけど死にたくなりますね。

 でも、分かります。調和を取ろうとするの。「これだけいいことがあったから、悪いこともこれだけなきゃおかしい」って思ってる自分がいるってことでしょ。違いますか?

──はい、その通りです。中島みゆきの歌みたいに、不幸は必ず幸せの後ろについてくるものじゃないですか。それが怖くて幸せに浸れない。

 だから、不安な要素が見えてないと不安になるっていうことでしょ。

──そうですね、得体の知れないものより、分かりやすい不安要素がいっこあると、安心するのかも……。

 作ればいいんですよ。

──不安要素をですか?

 部屋が、超、ドロがすごいとか。

──ドロですか。鳥居さんはどんな不安要素を抱えてますか?

 そうですねー。洗濯機がいま壊れてて、洗濯してると水が漏れてくるんですよ。だから、それで滑って前歯とか折ったら、治療費いくらくらいかかるかなーと思って。前歯一本10万だとしても、そうとうかかるなって。

──もうちょっとかかりますよ。

 だからやばいですよね、早く歯医者探さないと……。

──前歯折るのは決まってるんですか?

 折るでしょ、そりゃ! 洗濯機壊れてるんだもん! 水がすごいんですよ!
後編につづく/取材・構成=小明)

●鳥居みゆき(とりい・みゆき)
1981年、秋田県生まれ。07年前後に、白いパジャマでテディベアを抱えた「マサコ」キャラでブレイク。以降、テレビ、映画、ラジオなど幅広い活動を続けている。3月25日にDVD『鳥居みゆきの社交辞令でハイタッチ「表ワースト」編』『鳥居みゆきの社交辞令でハイタッチ「裏ベスト」編』(Contents League)発売。

●小明(あかり)
1985年、栃木県生まれ。02年、史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。
ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/

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最終更新:2018/12/19 15:05

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