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【祝!キングオブコメディ決勝進出】

お笑い評論家・ラリー遠田が見た「キングオブコント2010」準決勝レポート<2日目>

koc20100830.jpg左上から、イワイガワ、カリカ、ザ・ゴールデンゴールデン
ザブングル、さらば青春の光、我が家

・8月30日(月)2日目

 2日目の一番手はものいい。コンビニバイトの面接という設定で、面接をする店長役の吉田サラダが、積極的にボケまくるウザキャラを演じる。自分でボケて自分で「おいおい!」とツッコむのは、「違うか!」でおなじみの彼が発明したとっておきの新フレーズだった。

 この日目立っていたのは、非吉本芸人の健闘ぶりである。吉本興業が主催するこの大会で、彼らはアウェイであるという負い目を感じさせず、見事にネタをやりきった。松竹芸能所属のさらば青春の光は、会社の先輩と後輩の会話のネタ。「インスパイア」「ポテンシャル」など、覚えたての単語をすぐに連発してしまう先輩を、後輩が徹底的にからかう。ワタナベエンターテインメント所属の我が家は、骨折で自宅療養中の杉山裕之が欠場する中で、それを逆手に取って、入院中の杉山に野球部の監督と部員役の2人が手紙を書くというネタを披露した。

 ケイダッシュステージ所属のハマカーンは、浜谷健司が絵本から出てくる妖精を熱演。最後のオチが見事に決まった瞬間、客席からは大きな拍手と笑い声が聞こえた。太田プロダクション所属のトップリードのネタは、ドリンク配達をする「ヨクルトのおばさん」が、ひょんなことからアクション映画のような世界に入り込んでしまうというもの。たった4分のコントで一本の映画を見たような後味を残していた。

 また、トリオ勢はこの日も大活躍。ザ・ゴールデンゴールデンは、きたざわひとしの不細工な顔面をフルに活用したネタで、うねるような笑いの波を起こしていた。インスタントジョンソンは、カラオケの合いの手がおかしい2人のサラリーマンを、じゃいとゆうぞうが熱演。お調子者のゆうぞうとマイペースなじゃいの暴走に、客席からは温かい笑いが漏れていた。クマの人形を通じてしか他人とコミュニケーションを取ることができない少年同士の心の交流を描いた鬼ヶ島のコントは、最後に待ち受ける意外なオチが見事に決まっていた。

 さらにこの日は、少し変わった設定のコントで勝負する芸人の姿も目立った。カリカは、スーツ姿の男が、伝説の剣を引き抜いたせいで不細工な姫に結婚を迫られる、というコントを見せた。姫を演じる家城啓之が、上から目線で勘違い発言を連発するたびに、林克治がイライラする様子が笑いを誘っていた。

 チーモンチョーチュウは、コンビニに客が入ったときに流れる音楽がずっと鳴り止まず、徐々に仰々しい演奏へとエスカレートしていくというネタを演じた。2人はほとんど何もしゃべらず、音楽だけで構成された思い切った形のコントだった。また、カナリアは、ネタの冒頭でポーズを決めて静止する2人の姿が現れ、その状況に至るまでの説明が音声で流れるという一風変わった構成のネタを披露していた。

 そして、このジャンルのスペシャリストとして触れないわけにはいかないのが、今年に入ってからテレビでも人気上昇中の野性爆弾。鳥を見つけるために森に出かける男の話。台詞や設定の一つ一つが、筆舌に尽くしがたいナンセンスに彩られている。制限時間オーバーを示す効果音と照明転換すらも生かそうとする異様なネタで、見る者を圧倒した。

 そんな中で意地を見せたのが、前年ファイナリストのしずる、ロッチである。しずるは、演技力と構成力にさらに磨きをかけ、コント職人として完全に一皮むけた。このとき見せたネタは、池田のお調子者っぽいキャラクターを生かしたもので、導入からオチまでがきっちり構築されたお手本のようなコントだった。ロッチも、シンプルな設定ではあるが、2人の醸し出すどこかほのぼのした空気感が生かされたネタを演じて爆笑を勝ち取り、この日のトリ(最後の出番)という大役をまっとうしていた。

 こうして2日間の戦いが終わった。決勝進出者の顔ぶれを改めて見てみると、準決勝で爆笑を取っていたメンバーが順当に選ばれていることがよくわかる。決勝8組はいずれも劣らぬ強豪揃いで、熱戦が期待できそうだ。
(文=お笑い評論家・ラリー遠田)

●「キングオブコント2010」決勝進出者(ネタ順)
TKO
ロッチ
ピース
キングオブコメディ
ジャルジャル
エレキコミック
ラバーガール
しずる

キングオブコント 2009

今年はキンコメかね?

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最終更新:2018/12/10 19:14
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