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B’z、CD売上たったの693枚! が証明した音楽業界の強さ?

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B’z、CD売上たったの693枚! が証明した音楽業界の強さ? – Business Journal(5月16日)

post_140_20120517.jpg「さよなら傷だらけの日々よ」(VERMILLION RECORDS/B’z)

さまざまなテレビ番組や雑誌などでもお馴染みの購買/調達コンサルタント・坂口孝則。いま、大手中小問わず企業から引く手あまたのコスト削減のプロが、アイドル、牛丼から最新の企業動向まで、硬軟問わずあの「儲けのカラクリ」を暴露! そこにはある共通点が見えてくる!?

 オリコンが発表するCDシングル・デイリーランキングで、ちょっとした「事件」が起きた。2012年4月23日、3位にランクインされたB’zの「GO FOR IT,BABY -キオクの山脈-」が、なんと一日で693枚しか売れていないというのだ。CDが売れなくなって久しいというけれど、さすがに枚数の少なさは多くの人にとって衝撃的だった。しかも、2位の「to the beginning」(Kalafina)でも927枚だった(ちなみに、1位の「祈り ~涙の軌道」<Mr.Children>はさすがに5891枚売れていた)。

 日本の人口を1億2800万人とすると、693人は0.00054%にすぎない。それほど低い比率であれば、なんのためのヒットチャートだろうかと思う人がいてもおかしくない。実際に、ネットを中心に同じような疑問が呈された。

 CDや音楽ビデオ(DVD)などの年間音楽ソフト総生産金額(音楽配信は除く)は、バブル末期の1990年には3877億円だった。同年は「おどるポンポコリン」(B.B.クィーンズ)、「浪漫飛行」(米米CLUB)が大ヒットした。そこから右肩上がりに同金額は伸び続け、98年には6074億円に至った。「誘惑」(GLAY)、「夜空ノムコウ」(SMAP)、「my graduation」(SPEED)が売れた年だ。バブル崩壊は92年といわれているものの、CD売上は伸びていたのだ。

 98年をピークとし、05年には4222億円となり、11年には2819億円にまで落ち込んだ。もちろん、「音楽配信の広がりによりCD売上が下がった」という見方もできるだろうが、その有料音楽配信の売上金額は、07年755億円→09年910億円と上昇を続けたものの、11年には720億円と必ずしも順調ではない。

 しかし、これらのデータはあくまで市場全体の数字に過ぎず、個別の楽曲売上が必ずしも同程度の影響を受けるわけではない。例えば、こういう数字を拾ってみた。オリコンが発売している歴代の雑誌(「オリコンウィークリー」「オリコンウィーク・ザ・一番」「オリコンスタイル」「オリ★スタ」)から、消費者の財布の紐がもっとも緩むといわれている、12月クリスマス商戦期間の売上を抽出した。特にトップ10のうち、1位と10位の週間売上枚数について、以下に記す(記載枚数は「週間売上枚数」)。

【85年】
1位:スターダストメモリー(小泉今日子) 61,030枚
10位:娘よ(芦屋雁之助) 20,810枚

【90年】
1位:クリスマスイブ(山下達郎) 83,690枚
10位:シングルアゲイン(竹内まりや) 20,980枚

【95年】
1位:たぶんオーライ(SMAP) 312,690枚
10位:幸せをつかみたい(広瀬香美) 59,470枚

【00年】
1位:Next 100 years(J-Friends) 317,590枚
10位:LOVEマシーン(モーニング娘。) 41,380枚

【05年】
1位:Anniversary(KinKi Kids) 355,439枚
10位:青いベンチ(サスケ) 12,145枚

【10年】
1位:Gift~白~(関ジャニ∞) 116,814枚
10位:まもりたい~White wishes~(BoA) 5,062枚

 となっている。98年が確かに市場全体としてのピークだったかもしれないけれど、それがただちに個別CDの売上に、支配的な影響を及ぼすわけではないことが読み取れる。もちろん、音楽ソフト総生産金額全体は低下しているものの、ほしい曲があればCDを買う層は、まだかなり存在しているのだ。

 10年の「まもりたい~White wishes~」(BoA)の週間売上5,062枚は低いと感じるかもしれない。実際、5,062枚を7日で割ると、一日あたり723枚にすぎない。

 しかし、例えば本稿執筆時の最新データでいえば、週間シングルランキングでは1位の「祈り ~涙の軌道」(Mr.Children)は一週間で174,409枚も売れているし、10位の「Neverland」(FTIsland)も28,219枚売れている。

 こう考えると、B’zの「GO FOR IT,BABY -キオクの山脈-」が一日で693枚しか売れていないとしても、この枚数ゆえにオリコンランキングの存在意義を否定するのは早計だろう。このランキングは、ある時点での楽曲の栄枯盛衰をきわめて面白く抉りだしたデータだ。実際にオリコン誌を35年分ほど眺めていると、その歴史的資料価値の高さに瞠目した。

 ところで、この「B’z事件」は、宣伝媒体としてのヒットチャートの可能性を示唆したようにも感じられる。1000円のシングルなら、1000円×700枚=70万円をつぎこめば、運しだいでは日本のトップ10に入る。しかも、著作権使用料やアーティスト印税分を差し引けば、60万円ほどで可能だろう。アメリカの有名なアーティストであるアンディー・ウォーホールは、「15分間は誰でも有名人になれる」といった。とんでもない。15分間ではなく24時間、有名人になれる。

 今回、85年からの傾向を見てきたが、ウィークリーで10位に入るために自分買いするとすれば、CDシングル(1000円)であれば500万~6000万円用意すればいい。そこで社歌をCDにして販売したらどうなるだろう。自社のパンフレットが全国各地のCDショップに陳列される。この金額なら払えるという経営者もいるだろう。社歌販売が低迷する音楽業界を活性化させるかもしれない。もちろん、半分は冗談である。

 ただし、資本主義社会ではすべてが宣伝媒体化する。これは新たな宣伝手法か、あるいは悪質なステマ【編註:ステルスマーケティング。消費者に宣伝と気づかれないかたちで広報を行うこと】になるのだろうか? そういえば、「GO FOR IT」とは「頑張れ」という意味だった。

 音楽業界、頑張れ。
(文=坂口孝則)

※このほかにも「Business Journal」には、ビジネスパーソンを刺激する記事が満載!ぜひご覧ください!

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最終更新:2012/05/17 07:00
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