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【特集】AKB48 27thシングル選抜総選挙

AKB48の強さは「メッセージ力」 総選挙を行う真の理由の裏に潜む“承認欲求”の真実(後編)

 努力し、成長を続けるメンバーたちによる総選挙は見る者の心を鷲づかみにする。マーケティングに「エンゲージメント・リング」という発想がある。人々の心を揺り動かし、物事を「自分ごと化」するもので、ファンが自ら参加して順位が決まり、メンバーが壇上で思いのたけを語る総選挙のように、ここまで人間の感情が揺さぶられるようなイベントを見てしまうと、ファンはメンバーたちに共感と連帯感を感じずにはいられない。選抜総選挙は単なる人気格付けを超越して、メンバーを成長させ、さらにファンとメンバーの間にある絆を深めるような人間の情動に響く、年に一度の“涙の祭典”となったのだった。
 

■総選挙後、メンバーブログに起きた“聖地現象”

 総選挙でメンバーたちが語った嘘偽りない言葉は、同性である女性たちにも刺さった。「なんでこの人たちはこんなに泣いているのだろう?」……そんな疑問からAKB48に興味を持ち、メンバーたちに“共感”してファンになった女性が増えたのだ。

 男性ファンのみならず、女性ファンの共感も得た結果生まれたのが「聖地現象」。メンバーたちが、総選挙を終えてファンへの感謝のメッセージを綴ったブログには、膨大なコメントが寄せられ、それが1年を経過した今でもファンが、その投稿にコメントを続け、いつしか聖地と呼ばれるようになっている。昨年2位になった大島優子は「皆さんの愛は私の身体にじゅうじゅう染み渡っています。(中略)だから一緒にまた歩いてくれませんか?」と綴り、彼女の言葉に感銘を受けたファンがコメントを記し、そのコメントに別のファンが共感して、さらなるコメントを書き、次第にファン同士が日々の生活の苦悩や喜びを吐き出す場所となり、やがては、そのコメント欄を通じて知り合い、一緒に握手会に参加している例まであるのだ。そのほか、昨年の総選挙で「なぜか7人までで切られてしまうことが多くて……」と“神7”への苦悩を初めて吐露した柏木由紀や高城亜樹、北原里英のブログで聖地が発生。また、指原莉乃のブログ更新100回目の投稿やNMB48・山本彩が誕生日に18歳の決意を綴ったブログも“聖地”となっており、メンバーのブログのコメント欄が一種のSNSとして機能しているのだ。ほかのアーティスト、タレントには見られない自然発生的なこの現象は、メンバーのメッセージ力が共感を生み、もたらしたAKB48ならではの共同幻想なのだろう。

■嫌われる勇気を持ち、個性をさらけ出す……AKB48の最終目標

 AKB48グループの特徴は、AKB48や姉妹グループ、そしてノースリーブスなどの派生ユニットなど、レコード会社が各社に分かれ、メンバーも各芸能プロダクションに分かれて移籍している点。AKB48本体を運営するAKSを中心としながら、複数の芸能プロ、レコード会社と協力し、協調しながらプロジェクトを進めているようなグループは、異例の存在だろう。だが、秋元康氏は関わる団体が多い中で、積極的にNG事項を無くし、メンバーたちのありのままの姿をファンに見せようと取り組んでいる。メンバーのGoogle+の投稿をスタッフの検閲をなくし、同サイトと通じて、AKB48内に美術部、演劇部などの部活をスタートさせるなど新たな個性が発揮させる場を作っている。

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