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ラジオ批評「逆にラジオ」第17回

等身大の感覚を生きたまま届ける『久保ミツロウ・能町みね子のオールナイトニッポン0』

 よく笑いや面白さについて語るときに、人は「共感」という言葉を頻繁に持ち出すけれど、相手の共感を得るためにはただ面白い感覚や発想があるだけでは駄目で、自分の中に発見したその「感じ」を的確に言語化できなければならない。言葉を通じて相手に届かなければ、共感は完成しない。

たとえば芸人のラジオを聴いているときに、「言いたいことの根っこにある感覚はなんとなくわかるし面白いんだけど、なんかもっとふさわしい言葉がある気がする」と思うことが時々ある。また反対に、アナウンサーのしゃべりを聴いていると、「言葉のチョイスは確かなんだけど、その根底にある感覚が普通すぎる」と感じることがある。もちろんそういう人たちは、それでも感覚が抜群だから言葉が追いつかなくても面白かったり、逆に言葉だけの力でねじ伏せる剛腕の持ち主だったりする場合もあるのだが、やっぱり入り口(鋭敏な感覚)と出口(言語化能力)が高次元で両立しているのがベストな状態であるのは間違いない。時に「反応」を「はんおう」と読み違えてみたり、「泥酔」を「どろよい」と覚え間違えていたりというお茶目な「萌えポイント」を持つ久保と能町だが、こと感覚を言語化する能力においてはいまのラジオ界でも突出したものがあり、そんな2人の言葉がリスナーの共感を獲得しているのは、当然の結果であるといえる。

とはいえ、4月から時間帯が早くなることによって、「インディーズバンドがメジャーと契約したときの不安」のようなものを漠然と感じているリスナーも多いかもしれない。だが、久保は番組内で昇格する事実を発表した際、「この時間だから聴いてくれた人がたくさんいるのを知ってます」「寂しいのは、この時間帯を去ること」と、リスナー目線の感覚を言葉にすることを忘れなかった。この感覚とそれを言語化する姿勢がある限り、リスナーがさらに近づくことはあっても、2人のもとを離れることはないだろう。
(文=井上智公<http://arsenal4.blog65.fc2.com/>)

「逆にラジオ」過去記事はこちらから

最終更新:2013/03/15 12:00
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