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白い髪に白い肌……差別を受け続けるアルビノ患者の日々とこれから『アルビノを生きる』

arubino.jpg『アルビノを生きる』(河出書房新社)

 表紙には、白い肌と、サラサラの白い髪の子どもたちの写真。透き通るようなその外見は「まるで天使みたい」という比喩がピッタリだ。あたかも北欧の子どもたちと見紛う彼ら、しかしこの子どもたちはれっきとした日本人であり、「障害者」である。

 ジャーナリスト・川名紀美による著書『アルビノを生きる』(河出書房新社)は、生まれつき色素が足りないアルビノたちの生活に密着したノンフィクションだ。

 アルビノは、正式には「白皮症」と言われ、1~2万人に1人の割合で生まれる遺伝性疾患。白い肌、白や金色の髪の毛、そして青や茶色などの目を持つ。外見的な特徴だけでなく、メラニン色素が足りないために、弱視の症状が現れたり、強い日差しを浴びるとやけどによって皮膚が腫れ上がる。また、一部には、血が止まりにくくなったり、肺線維症(肺が硬くなり、呼吸不全が起こる)となる「ヘルマンスキー・パドラック症候群」という症状に苦しめられる患者もいる。
 
 外見的な特徴からいじめを受けたり、偏見のまなざしを浴びる。弱視から勉強についていけない。アルビノ患者たちの人生には、さまざまな障害が待ち受けている。しかし、本書が明らかにしているのは、そのような負の側面ばかりではない。この10年ほどで、アルビノ患者を取り巻く環境は大きく変わりつつある。インターネットや、患者たちの集まりを通じて、アルビノの人々がアルビノとして前向きに生きようとする姿こそが本書の特徴だ。
 
 中でも精力的に活動を行っているのが、本書でも中心的に描かれている石井更幸。アルビノ患者として千葉県の袖ヶ浦市に生まれた石井は、インターネットサイト「白い旅人」(http://www.geocities.jp/nizaemon77310/)を運営し、当事者としてアルビノの情報を精力的に発信している。オフ会も定期的に開催し、孤独に生きてきたアルビノ患者たちに情報交換の場を生み出した。

 子どもの頃からクラスメイトによるいじめを受けてきたり、不利な就職を強いられてきた石井。祖父は、彼が生まれた時に「世間に対してみっともねえ」と言い放ち、次兄は弟を「白ブタ」と呼んだ。石井は、大人になって、親族が彼を「潰す」ことを検討していたと知らされる。しかし、持ち前の好奇心で南極旅行にまでチャレンジ。アルビノであることを誇りに思い、「アルビノでよかった」と自分を肯定しながら生きている。

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