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インターネットがなければ陸の孤島と化す……単なる“椿事”に終わらない! 田舎でケーブルテレビがなくなる怖さ

※イメージ画像

 いきなりテレビが見られなくなった。

 インターネットが普及した今となっては、そんなに不便ではないかもしれない。それでも、昨日まで視聴していたテレビ番組が一切見られなくなるとすれば、それは確かに不安である。

 そんな由々しき事態が、長野県の佐久穂町の一部で起こっている。先月15日から、ケーブルテレビ会社「佐久高原ケーブルビジョン」が町や加入者に無断で放送を中断したのが原因だ。

 このケーブルテレビ会社の主な事業は、山間部にあり放送電波を受信しにくい地域への、地上波テレビ番組の配信。加入世帯数わずか650世帯にすぎない同社では、かねてより事業継続のための資金繰りが困難であると表明。当初は、佐久穂町と施設の無償譲渡で合意したものの、佐久穂町側は高額な施設維持費を理由に譲渡受け入れを撤回。ケーブルビジョン側は、年末から放送の中断を宣言していた。

「これは他人事ではなく、人口減の時代に突入したことで事業の継続が困難になるケーブルテレビ会社は、これから増加すると思います」

 そう話すのは、ある地方ケーブルテレビ局の関係者だ。長野県をはじめ、山間部が多くテレビ電波を受信しにくい地域では、ケーブルテレビの普及率が高い。

「地域の独占企業といえば、安定した収入が見込めると錯覚しますが、たいていの地域では加入世帯が減ることはあっても増えることはありません。わずか650世帯の契約数で、よく放送を維持していたと思いますよ」(同・地方ケーブル局関係者)

 近年、ケーブルテレビ会社が破綻した例としては、2014年の栃木県の「真岡ケーブルテレビ」がある。この会社の場合、加入世帯数は約3,000世帯あったが、それでも事業の継続はかなわなかった。放送設備を24時間維持するためには、機材はもちろん人件費にも膨大な金額が割かれる。人口減に伴う加入世帯の減少で、同様のケースが起こるのは想像に難くない。

 もちろん、テレビが見られなくなっても、特に問題を感じない人も多いだろう。問題は、同時にインターネットも利用ができなくなってしまうことだ。

「地方の山間部では、ケーブルテレビ会社が提供するインターネット回線を利用するケースが多いのです。そうした地域は、そもそもほかにインターネット回線が皆無のところも多い。NTTの光回線はもちろん、ADSLにすら対応していないところもあります。もしも、ケーブルテレビ会社がなくなれば、完全に情報から隔絶されてしまうわけです」(同)

 インターネットさえあれば、一定の情報は得られる。Amazonや楽天などが利用できれば、生活必需品をはじめ、あらゆる商品が宅配され、都会から遠く離れた山奥でもある程度は不便なく暮らせるはず。でも、そこにこそ意外な落とし穴があるのかもしれない。
(文=是枝了以)

最終更新:2018/02/03 21:00
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