引っ越し費用も敷金・礼金・仲介手数料もゼロの賃貸住宅「OYO LIFE」とは
消費者の意識が「所有」から「利用」に変化しているといわれる昨今。商品を購入せずに、レンタルしたりシェアリングしたりするニーズが高まってきている。その対象は、アクセサリーから服、車、家具、オフィスなどさまざまな商品に広がっている。
思えば私たちは、住居については昔から賃貸が多かった。住居の賃貸に関しては、すでに定額制のサブスクリプションを利用してきたともいえる。しかし、賃貸住宅には敷金や礼金、仲介手数料が発生するため、引っ越し代もバカにならない。
そんな賃貸住宅業界で、引っ越しにかかる費用が不要で、より軽やかに住居を借りることができるサービス「OYO LIFE」が始まった。
「OYO LIFE」では、まるでホテルに泊まるような気軽さで住居を借りることができるという。いったいどのようなサービスで、従来の賃貸と何が異なるのだろうか。
ホテルベンチャーの新たな挑戦
「OYO LIFE」を展開するのはOYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN株式会社。OYOはインド発のホテルベンチャーで、今やインド最大級のホテルチェーンに急成長している。インド国内では350都市で10万以上の客室を展開し、中国では171都市に8万以上の客室を展開している。
同社には、ソフトバンクビジョンファンドが100億円以上の投資をしていることでも注目されている。ところがOYOは、日本の市場ではホテルではなく、「ホテルのような」ビジネスモデルを展開し始めた。
通常の引っ越しは電気やガス、水道などの煩雑な手続きを伴うが…
賃貸住宅というビジネスはかなり古くからある。ところが、この賃貸住宅は、近年広がりを見せているサブスクリプションモデルとはほど遠い面を持っている。それは、手続きの煩雑さだ。ネットを利用して手軽に利用できるサブスクリプションとはずいぶん異なる。
賃貸住宅に入居しようとすれば、わざわざ不動産屋に出向いて書類で煩雑な手続きを行わなければならない。2年契約などの縛りがあったり、保証人も探したりしなければならない。そして、高い仲介手数料や敷金、あるいは何の意味があるのかわからない礼金といった高額な初期費用を用意しなければならないのだ。
いったん引っ越すとなれば、電気やガス、水道など公共料金の手続きも煩雑だ。インターネットを利用している人であれば、プロバイダーの手続きやモデム・ルーターの設定変更も必要だろう。
しかも、家具や冷蔵庫などの電化製品、場合によってはエアコンも移設しなければならない。家賃は現金か引き落としで、クレジットカードが使えないところも多い。とにかく賃貸住宅の引っ越しは、サブスクリプションと呼べないほど労力がかかるのだ。
家具・家電にWi-Fi完備、敷金・礼金・仲介手数料は不要
ところが「OYO LIFE」では、これらの引っ越しに関わる煩雑さが、可能な限り省かれている。
まず、なにより画期的なのは、入居の契約から退去の手続きまで、スマートフォンで済ませられることだ。不動産屋に出向いて紙の書類で手続きする必要がない。しかも保証人も不要なため、知人や家族に頭を下げてサインをもらう必要がない。
家具や家電製品もあらかじめ住居に設置されているので、引っ越し業者に頼んで運んでもらう必要がないし、転居のたびに購入する必要もない。テーブルやベッド、冷蔵庫、電子レンジ、調理器具各種、掃除機、エアコン、カーテン、鏡などは、物件ごとに若干の違いはあるが、ほぼ揃っている。
さらに、Wi-Fiも完備されているので、インターネットの設定も必要ない。また、水道や電気、ガスなどの公共料金も家賃に含まれているため、改めて個別に契約する手間がかからない。
別のメリットもある。従来の賃貸住宅の選び方では、ネットや情報誌であらかじめ候補を選んでいたとしても、最終的には家具も何もない部屋に出向いて決めるのが普通だ。
このとき入居者は、わずか数分で、この何もない部屋で自分の生活を「想像して」借りることを決めなければならい。そのため、実際に住み始めたら、家具や家電がうまく収まらず、「しまった!」と思うことも起きやすい。
ところが「OYO LIFE」では、すでに家具も家電も揃った部屋が用意されているし、なにより「3日間の試し住み」ができる。そのため、試しに住んでみてから契約するかどうかを決めることができる。
そして、従来型の賃貸住宅と最も異なるのは、敷金・礼金・仲介手数料が不要なため、初期費用を抑えられることだ(入居前の清掃費10,800円は必要)。
まさに、「ホテルを選んで宿泊するように」新しい住居を選んで暮らし始めることができる。「OYO LIFE」では、3つの部屋のタイプが用意されている。マンションタイプ(10万~15万円/月額、以下同)、戸建てタイプ(25万~45万円)、シェアハウスタイプ(4万~6万円)だ。3月現在、東京都23区のみの5000室程度ということでまだまだ少ないが、今後増えていくことは期待できる。
物件所有者から見た「OYO LIFE」のビジネスモデル
ここまで、「OYO LIFE」を借りる側の視点で見てきた。それでは、物件所有者から見るとどのようなビジネスモデルなのだろうか。
実はこちらもかなり画期的で、不動産のオーナーに対して家賃保証を行い、定期的なメンテナンスを行いながら、入居者を集めてくれるサービスとなる。しかも、このサービスは従来の不動産屋が行っていた仲介ではなく、OYOが自社で借り入れて転貸するサブリース方式を採っている。この仕組みこそが、煩雑な契約手続きを省き、スマートフォンだけで契約できる根拠となっている。
不動産屋が仲介業を行う場合は、宅地建物取引業法にのっとった重要事項説明書を対面で説明する必要があり、契約成立時には書面の交付が必要だった。ところが「OYO LIFE」は仲介ではなく、直接入居者に貸し出すため、すべて電子化できたのだ。
ただ、オーナーに家賃保証をしているため、OYO側は物件の空室をできるだけ減らさなければならない。このあたりが、このビジネスモデルが継続できるかどうかの分かれ目になりそうだ。
また、サービスエリアが今のところ東京都23区内に限られていることも、オーナーと利用者の制約になるが、これは順次拡大していくものとみられる。
旅するように暮らす
これだけ手軽に住居を変えることができれば、ライフスタイルやライフステージに合わせて次々と住居を変えることが容易になる。
人によっては、季節によって暮らすところを変えたり、いろいろな町での暮らしを体験してみたいという要望を叶えることも可能だろう。まさに、ホテルを利用するように、手荷物だけ持って住居を変えることができそうだ。
旧態依然の商習慣にあぐらをかいてきた賃貸住宅業界に風穴を空ける「OYO LIFE」。Webサイトには、以下のキャッチコピーが記されている。
“旅するように暮らすことも夢じゃない。”
自由な生活を予感させるコピーである。
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