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日刊サイゾー トップ > 社会  > リアルナンパアカデミー公判で「悪質かつ卑劣な犯行」
【wezzy】

11人もの逮捕者を出したナンパ塾「リアルナンパアカデミー」、公判で「悪質かつ卑劣な犯行」と認定

 今年3月は、日本各地の裁判所で、性犯罪事件の無罪言い渡しが連続した。

 ひとつめは12日、福岡地裁久留米支部における準強姦事件での無罪判決。スノーボードのサークルの飲み会に友人と参加した女性が、罰ゲームとしてテキーラを数回一気飲みさせられたほか、カクテル等を飲み酩酊。嘔吐の後眠り込んでいたところ、遅れて参加した40代男性が明け方、女性と性交した事件。

 ふたつめは静岡地裁浜松支部。昨年9月、磐田市で女性に乱暴したなどとして強制性交致傷罪に問われたメキシコ国籍の男性の裁判員裁判で、19日に無罪判決を言い渡している。「故意はなかった」と判断したとのこと。

 3つめは26日、名古屋地裁岡崎支部。2017年8月と9月に、娘と性交したとして、準強制性交等罪で起訴されていた父親。検察側は「娘は中学2年の頃から被告から性的虐待を繰り返し受け、事件当時は被告に抵抗することが著しく困難な状態だった」と主張。弁護側は「娘は抵抗できない状態になく、性交にも同意があった」などと主張していた。判決で裁判所は、性交について同意はなかったと認定。だが「被告は娘に長年、性的虐待等を行って精神的な支配下に置いていたと言えるが、強い支配従属関係が形成されていたとは認めがたい」と指摘。「抗拒不能の状態にまで至っていたと断定するには、なお合理的な疑いが残る」と判断した。

 最後は28日言い渡し、静岡地裁での強姦と児童買春・ポルノ禁止法違反事件。父親は当時12歳の長女を強姦した罪に問われていたが、裁判所は「唯一の直接証拠である被害者の証言は信用できない」として無罪判決が言い渡された。

 立て続けにこうした判決が報道されたことで、ネット上では怒りの声や反発等、これらに疑問を呈する反応が多く見られた。これらが妥当かはひとつひとつを詳細に検討する必要があり、現在、さまざまにそれが行われている段階であろう。だが、世の中にはまだ事件化されていないが被害に遭った女性がいる場合があり、その女性たちが“被害を訴えてもその相手が無罪になってしまうのでは”という諦めを感じてしまうような事態は懸念すべきだ。実際に過去の被害について女性たちが語ったからこそ、明るみになった事件の現状を、改めて記したい。

 

リアルナンパアカデミーから11人の逮捕者
 昨年から、女性に酒を飲ませ、酩酊状態にさせたうえ性交したとして、有料で女性の口説き方を教えるナンパ塾『リアルナンパアカデミー』(以下RNA)の元塾生や塾長らが相次いで逮捕されている。この塾には100人ほどの塾生がいると言われていた。4月12日現在、逮捕者は11人。すでに一審公判が終わっている者もいる。

 最初の逮捕は同年5月、元会社員の羽生(はぶ)卓矢(逮捕当時の年齢33・1人目)、元東京メトロ社員、根本賢(同27・2人目)。翌月、羽生が再び逮捕され、新たに元会社員、大瀧真輝(同29・3人目)が逮捕された。そして9月、塾長の渡部泰介(同42・4人目)が逮捕され、大瀧は再逮捕。10月、大阪の大学生(5人目)の逮捕と塾長の再逮捕。12月、塾長の再逮捕と、世田谷区職員の根津天亮(同24・6人目)、ブランド販売会社の役員吉岡新一郎(同28・7人目)の逮捕。今年3月、ナンバー2と言われていた自称会社役員の男(8人目)と、タクシー運転手の男(9人目)の逮捕。そして4月4日、歯科医師の沢田尚哉(同26・10人目)と、会社役員の後藤武通(同49・11人目)の逮捕、塾長の再逮捕。塾長の逮捕は現時点で4回となる。

 RNAは座学に加え路上でのナンパで、塾長のメソッドを学ぶナンパ塾だ。大阪と東京に「ハウス」と呼ばれる部屋を所有している。舞台はこの「ハウス」や近隣のホテルが多い。彼らの逮捕容疑は概ね共通している。ナンパした女性をダーツやトランプなどのゲームに持ち込み、負ければ「罰ゲーム」と称してウオッカやテキーラなど度数の高い酒を一気飲みするルールを設けて女性に大量の酒を飲ませたのち、抗拒不能になっている女性と性交する、というものだ。

 不起訴となった者もいるが(その経緯や理由は明かされていない)、起訴された者たちの公判からは、事件までの手口はほぼ同様であることがわかっている。一度の逮捕者が複数名であることからも分かる通り、彼らは複数名(2人のことが多い)でナンパし性交に至っている。性交単位は「ゲット」。一度の性交は「1ゲット」だ。上記ゲームでは互いに携帯電話などで手の内を教えあい、イカサマをして女性を負けに追い込んでいた。必ず女性を酩酊させるシステムが構築されていたのである。

 RNAにはグループチャットが存在し、全盛期は60名ほどの塾生が加入。ここで彼らは互いの成果を報告し合っていたが、性行為の様子を撮影しその動画もグループ内で共有されていた。これは彼らの理論によれば「和姦の証拠」であり、塾の教えでもあったという。またRNAでは1カ月の性交人数を競う勝負が行われることがあり、ある被害者はその勝負期間において元塾生らにナンパされ被害にあった。

 元塾生らの一審判決において、ナンパから性交までのこうした流れはRNAにおいてマニュアル化していたと、裁判所は指摘している。

「ナンパして性交することが目的のリアルナンパアカデミー構成員らは、そのマニュアルに従い性交人数の数を競い合っていた。被害者をハウスに誘い込み、同所においてマニュアル通り、ダーツ等のゲームを持ちかけ、被害者がそのゲームに負ければ度数の高い酒を飲ませることを繰り返し、飲酒酩酊させ、順次性交に及んでいた。さらに彼らは『和姦の証拠』としてその様子を動画撮影し、塾生同士で共有していた。経緯や動機、どの点を取っても悪質かつ卑劣な犯行」

 RNA関係者の最初の逮捕者、羽生の判決言い渡しの際、裁判所はこう述べたが、続く元塾生らの判決においても、同様に認定した。

 

「仲間に認められるため」ナンパし、性暴力に至る
 現在、東京地裁で公判が進行中の塾長・渡部被告は一連の起訴事実を「女性が抗拒不能になった事実はなく、抗拒不能であったという認識もなかった。他の塾生らと共謀もしていない」と否認している。だが事件を認める塾生らが次々と上記のように認定され懲役刑を言い渡される中、この主張はやや苦しくなってきたと言わざるをえない。

 逮捕の際、ひとりではなく2名の逮捕が多いのは、彼らのナンパ手法が関係している。男2、女1という組み合わせはナンパ業界では「正3」と呼ばれ、RNAではこの正3を通じて、ナンパや性交に至る流れの、技術伝承が行われることが多かった。実際にこれまでに開かれた元塾生らの公判でも、2名の被告がひとりの女性をナンパして事件に至るケースが続いている。

 元塾生の大瀧は公判で塾長について「ある種、宗教の教祖のようなカリスマ性があり、すごい人だと思っていた。女性とのコミュニケーションを円滑に進める能力とトータルスキルがすごい」と当時の心酔ぶりを語っていた。正3による技術伝承の場で塾長の姿を目の当たりにしてさらに尊敬を深めていたことだろう。そんな塾長が主催するRNAにおいて、彼らが次第に重きをおくようになったのは、ナンパによる性交人数を増やしていくことで尊敬する塾長や塾の仲間に認められることだった。その結果、彼らは女性を単なる「数」として扱うようになっていった。

「ゲット数という数だけで私を認識し、代わる代わるレイプした。心と体がめちゃめちゃになり、男性が怖くなった」

「誰にも相談できず落ち込む日々を送っていた。でも忘れられず、大きく記憶に残っていた」

 公判で被害女性たちはこのように、遮蔽の奥から陳述していた。

 公判で元世田谷区職員の根津は「100人ぐらいセックスした」と語っていた。今もどこかに、RNA塾生らの「ゲット数」競い合いの被害者がいる可能性がある。捜査はまだ続いている。

最終更新:2019/04/15 07:15
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