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『合理的にあり得ない』貴山が黒幕なのか? 涼子の過去の真相がいよいよ明らかに

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ドラマ公式サイトより

 元弁護士の女探偵・上水流涼子(天海祐希)が、IQ140の頭脳をもつ貴山伸彦(松下洸平)を相棒に、現代の“あり得ない”敵を“あり得ない”手段で成敗する極上痛快エンターテインメントドラマ『合理的にあり得ない ~探偵・上水流涼子の解明~』(フジテレビ系)。6月12日放送の第9話では、やはり涼子の過去の謎に迫る展開を見せた。

 第9話のメインストーリーとなる探偵案件は、離婚した夫婦の親権問題。元弁護士という涼子のキャリアが生かされる展開となるかと思われたが、しっかり探偵モノだった。依頼主は、5年前に半ば無理やり離婚届に判を押す形になり、家を追い出されたという澤本香奈江(入山法子)。整形外科医の元夫・安生健吾(高橋光臣)から10歳になる息子の直人(大平洋介)を取り戻したいというものだ。離婚から5年経って親権を取り戻したいという香奈江に、貴山は「なぜ今になって?」と疑問を持つが、香奈江はずっと裁判のためのお金を貯めてきたのだと答える。一度決まった親権の変更は難しく、元弁護士としても探偵としてもやりようがなさそうだと涼子は渋るが、上水流エージェンシーで押しかけ助手をやっている諫間久実(白石聖)が感情移入してしまい、勝手に「乗りましょう!」と答えて引き受けてしまう。

 香奈江は、元夫の安生には離婚前から女の影があったと主張しており、とりあえずその真相を探るため、涼子たちは安生を探ることに。すると、「俺の言うことが聞けないなら他の病院に行け!」と患者を怒鳴りつけたりすることからネットでは「パワハラ医師」として評判が悪く、息子の直人にサッカーを練習する時間もろくに与えないほど英才教育を強制する「教育虐待」の疑惑も浮上。しかし1週間にわたって身辺調査をしても、安生に女の影は見当たらなかった。

 香奈江から“チャラい男が使う香水”の匂いを感じ取った涼子は、今度は香奈江を追う。すると、ホストの勇二(木戸邑弥)と派手な格好で逢瀬をしている姿を発見。2人が入っていったラブホテルで盗聴をし、香奈江が本当に求めているのは息子の親権ではなく、息子がいずれ相続するだろう安生の財産であることを掴む。カモになる女性を騙しては店を転々としている「ホスト崩れのくず野郎」勇二の入れ知恵だった。2人の会話を録音した涼子たちは香奈江と勇二をそれぞれ公園に呼び出し、香奈江の目論見を知っていることを明かす。さらに貴山は、勇二が他の女性に対して「まもなく大金が手に入る。あの言い寄ってくるばばあから。あのばばあがガキの親権取り返したら旦那をぶっ殺す。で、あのばばあから金そっくり頂いてドロン」「青酸カリが手に入った。あれ飲ませたら一発よ」と話している録音も流す。毎話、涼子の“敵”はクズが多いが、今回の勇二も相当だ。勇二は殺人予備罪の疑いで警官の丹波勝利(丸山智己)に引っ張られていった。

 安生は直人と血がつながっていなかった。それを掴んだ涼子は安生のところに行くが、安生はすでに知っていた。そのうえで直人を我が子として愛情を注いで育てていたが、香奈江はすぐに育児を放棄して男と遊び歩き始めた。5歳になるまでは香奈江が変わることを期待していた安生は、しかし香奈江が何も変わらなかったため離婚したのだった。

 そして安生の愛情は、息子の直人にもちゃんと伝わっていた。安生のことを誤解したままの久美が「お願いします! 直人くんのこと自由にしてあげてください。彼には彼の人生があるんです。好きなことをさせてあげてください」と訴えるが、当の直人に「サッカーも、毎日勉強したいって言ったのも、全部僕だよ。お父さんは僕がやりたいって言ったことを全部やらせてくれてるだけ。だって僕、お父さんみたいなお医者さんになりたいから」と反論されてしまう。患者のためを思って時に厳しい言葉を投げかけることも、直人はちゃんと理解していた。久美が、安生の病院に潜入捜査しようとして失敗した際に「患者の言うことを信じない独善的な人」「息子の直人くんに対してもきっとかなり高圧的な態度なんだと思います」と決めつけていたことを思うと、10歳の直人より、久美のほうが子どもに見える。

 今回、久美のスタンドプレーにイラっとした人も多かったのではないだろうか。おそらく父・諫間慶介(仲村トオル)の育て方と重ねてしまっているのだろう。第9話では、諫間に就職先の手配を勝手にされ、「探偵ごっこは気が済んだだろ?」と“遊び”と決めつけられ、「これは私の人生なの。私のことは私が決めるから!」と反発していたが、だからこそ直人も安生に縛られていると勝手に感情移入し、涼子の制止も聞かずにスタンドプレーを連発し、墓穴を掘ったのだった。

涼子に洗脳をかけたのは貴山?

 しかし何といっても第9話のハイライトは、涼子が起こした1年前の傷害事件についておぼろげながら輪郭が見えてきたことだろう。

 冒頭では、涼子が被害者の椎名保(野間口徹)のもとを訪ねるも、息子の孝(本田響矢)に対面を断られ、涼子が謝罪の手紙を渡す場面があった。涼子は何度も謝罪の訪問を繰り返していたようだ。手紙には猛省の気持ちが綴られると共に、凶行に及んだ際の記憶がないこと、椎名と一度顔を合わせれば何か記憶がよみがえるのではないかとの期待も正直に明かし、一度だけでも面と向かって謝罪させてほしいとの希望が書かれていた。そして第9話のラストには、未登録の番号からメールが届き、涼子が椅子に座って催眠らしきものを受けている動画が添付されていた。動画では、「これから言う数字を聞いたあなたは、自分でも抑えきれないほどの怒りの感情が沸き上がってきます」と暗示にかける声が。数字は第7話に登場したあの「3・7・7・6」だ。涼子が何者かによって操られていた疑いが濃くなってきた。

 そこで第9話は終了。第10話に向けてドラマもクライマックスへと近づいていっているが、新たな登場人物・氷川(阿部亮平)はひとつのカギとなりそうだ。貴山は、裏社会の住人である友人・有田浩次(中川大輔)から「氷川が戻ってきたらしい。のぶりんのこと探してた。気を付けろ」と伝えられ、調査中に何者かに写真を撮られていた気配がしたことを思い出す。そして第9話終盤、氷川と再会した貴山は、「風の噂で聞いた。いま探偵やっているんだって? しかもあのお姉さんのところで。何か目的あんのか?」「過去は消せないよ。髪型変えても服替えても、お前のやった過去は一生消せないから」と言われていた。氷川の口ぶりからして、貴山は過去に氷川と「仕事」をしていたようだ。

 ここで気になるのが、涼子を洗脳していた人物のしゃべり方だ。ボイスチェンジャーで声は変えられていたが、あの話し方のトーンは貴山ではないだろうか。貴山の頭脳を持ってすれば人を洗脳することも容易そうだ。貴山が涼子の過去の事件に関わっているのだとすれば、涼子のもとで働いていることについて「しかもあのお姉さんのところで」「何か目的あんのか?」と氷川が含みのある言い方をしていたのにも納得がいく。あれだけの頭脳があるにもかかわらず、探偵に転身したばかりの涼子のもとに都合よく現れ、そのまま助手に収まっているのも、やはり理由があるのではないか。

 ただ、だからと言って貴山がそのまま黒幕かどうかは、まだ判断が難しいところだ。ひとりパソコンの前で作業をする椎名が何者かからの電話を受け、「完成には、まだ」「時間がかかって申し訳ありません」と意味深な会話をしていたのも気にかかる。椎名が狙われたのにも、何か理由がありそうだ。

 今夜放送の第10話では、氷川が動き出すようだ。予告映像では「まだ本当のゲームは終わってない」と氷川が宣言し、貴山が銃口を向けられている場面が。一方、椎名が「あなたはこれ以上この件に関わってはいけない」と誰かに警告するシーンもあった。いよいよ涼子の過去の事件の真相が明らかになりそうだが、はたしてどんな真実が待ち受けているのだろうか。

■番組情報
月曜ドラマ『合理的にあり得ない ~探偵・上水流涼子の解明~
フジテレビ系毎週月曜22時~
出演:天海祐希、松下洸平、白石聖、中川大輔、丸山智己、仲村トオル ほか
原作:柚月裕子『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』(講談社文庫)
脚本:根本ノンジ
音楽:眞鍋昭大
主題歌:ざきのすけ。「彼は誰どき」(ソニー・ミュージックレーベル)
プロデューサー:萩原崇、清家優輝
演出:光野道夫、二宮崇、倉木義典
制作協力:ファインエンターテイメント
製作・著作:カンテレ
公式サイト:ktv.jp/arienai

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2023/06/19 12:00
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