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アメフト部の不祥事に揺れる日大 猛バッシングが延々と続くマンモス大学の特殊性

アメフト部の不祥事に揺れる日大 猛バッシングが延々と続くマンモス大学の特殊性の画像1
林真理子理事長 日本大学 公式サイトより

 日本大学の薬物騒動が一向に終わらない。アメフト部の部員が薬物所持で逮捕されたのは8月5日のこと。日大アメフト部は2018年、大きな物議をかもした「悪質タックル事件」という前科があるだけに、不祥事が耳目を集めるのは理解できるが、部員の逮捕から2週間近く経っても、ニュース番組やワイドショーで不祥事が話題になり続ける状況は異例だ。

「5年前のタックル事件の時も同様でしたが、端的に言えば日大の対応が悪すぎます。こんな騒動は、きちんと謝罪してしかるべき処分を下せばすぐに収束するのに、隠蔽工作まがいのことをしたり責任転嫁をしたりと、悪手の連発。組織内の意思疎通が図れていないことが分かり、コンプライアンスへの認識の甘さも露呈して、時が経てば経つほど批判のトーンは強まっています。

 学内改革の救世主として起用された林真理子理事長も、メディア対応には慣れているはずなのに、一度は『薬物は見つかっていない』と否定してしまった。さらに会見でも明らかに不機嫌な態度を見せてしまい、これも反感を買った。騒動を終わらせるどころか、どんどんと“燃料”を投下している状態です」(フリーのジャーナリスト)

 ただ、大学の運動部の不祥事などハッキリ言って珍しくない。ほぼ同時期には、東京農大のボクシングの部員が薬物で逮捕され、こちらはこれまで3人の逮捕者が出ている。なぜ日大は目の敵にされるのか?

「事件の大きさで言えば、農大の方がはるかに深刻です。逮捕されたボクシング部員が持っていた違法薬物はかなりの量で、使用目的ではなく、販売目的で所持していた可能性が高い。使用目的と販売目的では罪の重さが全く違い、前者は初犯ならほぼ執行猶予がつきますが、後者は一発で実刑もあり得ます。

 それでも日大が叩かれる最大の理由は、タックル事件の記憶があるからですが、大学の知名度の差は大きいでしょう。日大は日本最大の大学で、全国にキャンパスが散らばっていて、付属校まで含めれば全国津々浦々に関係者がいます。当然、より多くの人が興味を抱く可能性が高いわけで、これをメディアが重視するのは当たり前です」(同上)

 一方、キー局関係者はこんな指摘をする。

「テレビ局にOBが少ないのは見逃せません。日大には芸術学部に放送学科があるので、技術畑や構成作家には日大出身者がいますが、局員や幹部にはOBがほとんどいません。早稲田や慶応なら局内にOBがゴロゴロいるので、番組を作る際に手心が加えられる可能性はありますが、日大にはそれがない。身内にOBがいないので遠慮なく叩けるという側面はあるでしょう」

 また、教育関係者は日大が置かれた特殊な事情に言及する。

「日大は学生数が最も多い大学ですが、学部ごとにキャンパスが分かれていて、実質的には単科大学が集まって『日大』を名乗っているようなもの。愛校心が非常に薄いのが特徴です。実際、日大は駅伝やラグビーなどの大学スポーツをはじめ、野球、サッカー、柔道、ウィンタースポーツなど、運動部はのきなみ強豪ですが、学生数の多さの割に応援は盛り上がりません。

 あれほど大きな大学なのに、日大出身をアピールする著名人もいません。“日芸(日大芸術学部)”は芸能界で一大派閥ですが、彼らは絶対に自分たちのことを『日大(出身)』とは言わず、『日芸』と言い張ります。愛校心が強い学生やOBが多い学校ならバッシングしにくいでしょうが、日大はそういった感覚が薄いことも、延々と叩かれる一因でしょう」(受験情報誌編集者)

 会見で「お飾り」と言われて憤慨した林真理子理事長は、膿みを出し切れるだろうか。

木村之男(芸能記者、TVウォッチャー)

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社~編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら

最終更新:2023/08/17 09:00
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