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『M-1』決勝進出者にキュウ、ヨネダ2000…“クセツヨ”だらけになった審査基準の変化

『M-1グランプリ2022』(テレビ朝日系)

 漫才日本一を決める『M-1グランプリ2022』の準決勝が11月30日に開催され、12月18日にテレビ朝日系で放送される決勝戦に進出する9組が決定した。

 過去最多となる7261組がエントリーした今大会のファイナリストとなったのは、ダイヤモンド、男性ブランコ、カベポスター、ロングコートダディ、さや香、真空ジェシカ、キュウ、ウエストランド、ヨネダ2000。ここに敗者復活戦から上がってくる1組を加えて、10組で決勝戦が行われる。

 昨年準優勝で今大会の大本命と目されていたオズワルドが敗退するという波乱となったこの準決勝。ダイヤモンド、男性ブランコ、カベポスター、キュウ、ヨネダ2000の5組が初めての決勝戦進出で、かなりフレッシュなメンバーだと言えそうだ。

「今年のファイナリストは、とにかく個性が豊か。オーソドックスな漫才スタイルのコンビは少なく、独自のスタイルを貫くタイプが多い印象です。ダイヤモンド、キュウ、ヨネダ2000などは、特に独創性が強く、お茶の間にインパクトを残すでしょう」(お笑い事務所関係者)

 今回、独創性の高いコンビが多くファイナリストに残った背景には、決勝戦の審査員の交代が関係しているとの見方も強い。

「昨年をもって、オール巨人師匠と上沼恵美子さんが決勝戦の審査員を卒業するとのこと。代わりの審査員が誰になるのかはまだわかりませんが、少なくとも巨人師匠と上沼さんは、オーソドックスな漫才を高く評価する傾向があり、逆に前衛的な漫才にはあまり点を入れていません。

 この2人が審査員にいる状況で、キュウやヨネダ2000が決勝に上がっていたら、想定よりも低い点数をつけられてしまい、その場の空気がおかしくなる可能性があったわけです。でも、今年からは2人がいないので、より新しいスタイルの漫才を決勝戦で見せることができるようになったんです」(同)

 これまでも“審査員の好み”によって結果が大きく左右されやすいと批判されることも多かったM-1グランプリ。今年からは、そのような心配も薄れているようだ。

 しかし、さまざまなスタイルの漫才が多くなったからこその難しさもある。

「現在のM-1グランプリは“競技化”が進んでいて、いかにして4分間でネタのクオリティーと、本人たちのキャラクター、そして発想の豊かさを見せるか、という点にスポットが当てられています。ただ、今年のファイナリストのメンツを見ると、それぞれの個性が強すぎて、“競技”として比較するのがこれまで以上に難しくなっているんですよね。もちろん、そういったネタを、“好み”ではなく真っ当に評価するのが審査員の仕事ですが、今回はさすがに大変すぎます」(同)

 ピン芸人であること以外に、ネタのスタイルに制限がない『R-1グランプリ』では、あまりにもタイプの違う芸人が決勝戦に進出するため、審査にブレが出るケースが多いと指摘されている。その結果、出番が遅い芸人が有利になったり、インパクト重視の“キャラ芸人”ばかりが優勝したり……といった傾向もある。

「今年のM-1は、まさにR-1のような“なんでもアリ”な空気が漂いそう。それが現在の漫才のスタイルなので、否定すべきではなく、それをいかにして正当に審査するかを考えなくてはならないと思います。今年の審査員は、ネタを事前にしっかりと予習し、ある程度シミュレーションをしておく必要があると思います。今年は審査員にとっても、これまで以上のプレッシャーがかかっているでしょう」(同)

 芸人たちの人生を一瞬で変えてしまうほどの影響力があるM-1グランプリ。重責を担う審査員たちにも注目だ。

 

浜松貴憲(ライター)

1980年生まれ、東京都出身。大学卒業後、出版社に入社。その後、いくつかの出版社を渡り歩いた末に、現在はフリーライターとして、テレビ番組、お笑い、YouTubeなど、エンターテインメント全般について執筆している。

はままつたかのり

最終更新:2022/12/03 13:00
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