日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > 徹底討論! タブー破りの『お笑い原論』(前編)
たけし、タモリ、ダウンタウン...そして、ゆーとぴあまで

徹底討論! タブー破りの『お笑い原論』(前編)

tokyopod.jpg お笑い通の間で評判のポッドキャスト「東京ポッド許可局」がサイゾーに出張! キングオブコントは”残酷ショー”、ビートたけしベンチャー説……などなど、語らずにはいられない3人が独自の視点でお笑い界を読み解く、目からウロコの「大芸人論」。

【まきた】 では、早速なんだけど、先月5日に『キングオブコント』(以下、KOC/TBS)が放送されて、結果の是非をめぐってお笑いファンの間で物議を醸した。

【かしま】 結果よりも、「勝ったと思う芸人を、芸人に言わせる」という審査の仕方だよね。

【まきた】 そもそもなぜああいった番組が登場したのかを考えてみると、戦国時代のようなマンザイブームの頃と比べて、今のお笑いが”退屈な時代”に突入していることに原因があると思う。いまや吉本興業っていう巨大なリーディング・カンパニーがあって、お笑いが常に満ちあふれているでしょ。でも、退屈だと思われたら困る人たちがいる。そういった人たちが業界を地盤沈下させないために打ち立てたのが、M-1をはじめとするコンテスト系番組という見方ができるよね。

【たつお】 今のお笑いって、「ガチじゃないってことが発覚して以降のプロレス」と酷似していて……。それこそ『エンタの神様』(日本テレビ)みたいに、テレビ的な笑いを追求して視聴率を稼ぐっていう、サイドストーリー抜きの番組が最右翼としてある。一方では、そのアンチテーゼとして、プロレス的な物語性を持った番組として、コンテスト系番組が勃興してきた。

【かしま】 そもそも『爆笑オンエアバトル』(NHK)から始まった流れだよね。この番組では客席投票というシステムだった。次にM-1で大御所が裁く方法が生まれて、KOCに至っては同じ立場の芸人たちが裁くというふうに、裁きの形態が変化してきてる。

【まきた】 最終的に「芸人が芸人を裁く」ってところにたどり着いたのは興味深い。お笑いが満ち足りてる現在、視聴者は高みの見物をする貴族でしょ? そんな状況だからこそ、より残酷なものを見たがっている、と。

【たつお】 視聴者のスタンスが「さて、お笑いでも見てやろうか」だもんね。

【まきた】 そこでネタだけ見ても、退屈でつまらない。やっぱり芸人が苦しむ姿を見てみたいっていう欲求が、視聴者の意識にあるんだと思う。そういった意識を敏感にすくいとった制作側が、ああいう”残酷ショー”という形式にした。

【かしま】 まきた局員はよく、芸人と視聴者の関係をSMの関係に例えるじゃない? 芸人がMで視聴者がS、すなわち視聴者が芸人を支配している、と。KOCにも、そういう覗き見的な楽しみがあったんだろうね。芸人に勝敗を口頭で言わせることによって、苦悩してる芸人の姿を見る楽しさ、っていう。芸人ってのはMで、虐げられる存在なんだから。でも、だからこそ、ビートたけしやダウンタウンみたいにドS的な芸人、つまり視聴者を支配する芸人が突然変異のように登場すると、視聴者は倒錯した圧倒的な刺激を感じるんだよ。

●たけしのベンチャー精神 タモリのシンデレラ物語

【かしま】 さらに、KOCですごく印象的だったのは、司会のダウンタウンの2人が、ネタごとにハケてること。おそらくスタジオにいる芸人や観客に、”本当の王様”であるダウンタウンががどの芸人のネタで笑ってるのか? というのを隠すためでしょう。

【たつお】 そうだね。ダウンタウンのリアクションを見せなかった。

【かしま】 そうすることで、審査する芸人に「あなたの率直な考えを聞かせてもらいます」って追い詰めていたという見方もできる。”超民主主義”だ。あと、KOCの審査方法は”芸人性善説”を信用したルールだよね。だって、「どっちが勝ったと思いますか?」って聞かれたら、昔のビートたけしなら「勝ったのはスターリンです!」とか、絶対ボケてぶち壊しにかかる。俺らが子どもの頃に見ていたお笑い番組には、そういった「この人、なんかやるぞ!」っていうドキドキ感があったと思うんだ。

【たつお】 そのドキドキ感って、とんねるずくらいまではあったよね。どうして芸人による”ぶっ壊し”がなくなっちゃったんだろう?
後編につづく/構成・橋本倫史/写真・早船ケン/「サイゾー」12月号より)

「東京ポッド許可局」とは……
http://www.voiceblog.jp/tokyo-pod/
●”ミスター印象批評”まきた局員(写真手前)
[得意分野]音楽、芸能、子育て [性格]思い込みが激しい [キャラ]狂ったことを言うようでいて、妙に腑に落ちる言説、主観的仮説に定評あり。
●”憎めない高慢ちき”かしま局員(写真中央)
[得意分野]プロレス、野球、政治 [性格]几帳面、自意識過剰、ガムを人にあげられない [キャラ]普通に喋ったことがなぜか偉そうに聞こえるも、弁舌は鋭く鮮やか。
●”思考のスリーポイントシューター、口先教授”たつお局員(写真奥)
[得意分野]落語、文学、アニメ [性格]生来の理屈屋、女嫌い [キャラ]”教授”のあだ名があるように一番のインテリ、アカデミックな洞察は深い。

上記3人と、謎の局長・みち(写真左)によるポッドキャスト。

漫才の殿堂 太平サブロー シロー

変幻自在。

amazon_associate_logo.jpg

【関連記事】 「偶像は死んだ」ものまね芸人・山本高広の破壊力
【関連記事】 “お笑い帝国”吉本興業をめぐる闇とケッタイな企業体質
【関連記事】 「ルネッサ~ンス」髭男爵が営業で稼げない裏事情

最終更新:2018/12/10 19:25
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

山崎製パンで特大スキャンダル

今週の注目記事・1「『売上1兆円超』『山崎製パ...…
写真
イチオシ記事

バナナマン・設楽が語った「売れ方」の話

 ウエストランド・井口浩之ととろサーモン・久保田かずのぶというお笑い界きっての毒舌芸人2人によるトーク番組『耳の穴かっぽじって聞け!』(テレビ朝日...…
写真