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巨匠エメリッヒが再び地球を滅亡の危機にさらす! 圧巻のディザスター映画『2012』

movie2012.jpg(C) 2009 Sony Pictures Digital Inc. All Rights Reserved.

 一体、何度地球を滅亡の危機に追いやれば気が済むのかと、思わず突っ込みたくなるが、それでもどうせなら劇場の大スクリーンで見たいと思わせるのが、ローランド・エメリッヒ監督の毎度の力技。『インデペンデンス・デイ』『デイ・アフター・トゥモロー』などで知られるエメリッヒ監督の最新作『2012』が公開された。

 マヤ文明の残した暦が2012年12月21日で終わっていることから生まれたとされる、「2012年地球滅亡説」に着想を得て製作された本作は、2012年、太陽の異常フレアにより放射された熱で地球の核の温度が急上昇。地球規模の地殻変動から天変地異が巻き起こり、人類が絶滅の危機に瀕する姿を描くディザスタームービーだ。

 主人公は売れない作家で、リムジン運転手をしながら生計を立てている冴えない中年男のジャック(ジョン・キューザック)。妻ケイト(アマンダ・ピート)と別れてやもめ暮らしのジャックは、子どもたちとの面会日にイエローストーン国立公園に出掛けるが、そこで「地球がまもなく終わる」と予言する奇妙な男チャーリー(ウディ・ハレルソン)に出会う。やがて彼の予言は的中し、ロサンゼルスの街が大地震に見舞われたかと思うと、大規模な地盤沈下が発生し、ロサンゼルスが街ごと海へ沈んでいく。事態をあらかじめ知ることができたジャックは、前妻と子どもたちのもとに駆け付け、ともにギリギリで脱出することに成功するが、地震、噴火、津波……次々と発生する天変地異に、もはや安全な場所はなかった。そんな時、この事態を以前から予測していたアメリカ政府を中心とした世界各国が、秘密裏に建造していた箱舟の存在を知るジャック。大陸をも飲み込む大津波から家族を助けるため、ジャックはヒマラヤの奥地にあるという、その巨大な船を目指すが……。

 エメリッヒ監督といえば、近作『デイ・アフター・トゥモロー』でも大津波などは描いたが、今回新しいのは地割れ。大規模に地盤がずれ、海岸線の形自体が変化していく様を俯瞰映像でスケール感たっぷりに表現。地面が波打つようにうねって亀裂が生じ、ロサンゼルスの街を飲み込んでいく。映画全体は大味だが、高層ビルが窓ガラスの破片や粉塵を撒き散らしながら崩壊していくその様は、「ここまで描き込むか」という驚きの緻密さ。DVDやブルーレイが発売された暁には、一時停止やスローモーションでどこまで細かく描かれているかを検証したくなる。CGアーティストたちは、さぞや気の遠くなる作業だったに違いない。また、物語が始まってしばらくは、ジャックを中心とした人物の日常のドラマに焦点が当てられているため、いよいよ崩壊が始まるとカタルシスやスペクタクルは一気に高まり、以降、怒涛のごとく訪れる地球規模の危機の連続に圧倒されっぱなし。これはやはり、劇場の大スクリーンで味わってこそだろう。近年流行の3D映画ではないが、劇場で”体感”あるいは”体験”する映画として楽しめる。

 ちなみに、ストーリーの面でも少し変化が。エメリッヒ監督作といえば、『パトリオット』や『インデペンデンス・デイ』では軍人や大統領といったヒーローが危機に立ち向かっていたが、『デイ・アフター・トゥモロー』では主人公が”普通の人”に変わった。今回も主人公は本当に普通の人で、事態に対して影響力を一切持たない。ただ家族を守ろうとするだけだ。一方で、政府側の大統領や科学者など、さまざまな立場の人間が描かれるが、彼らとて、全人類を救うというような離れ技はできない。自分たちが何をすべきか、向き合う様が描かれるのだ。もし自分がその場に居合わせたらどうするだろうか……なんてことも少し考えさせられる映画にもなっている。

 とはいえ、やはり一番の見どころはその圧巻の映像で、ディザスター映画の巨匠エメリッヒ監督の極み。ここまで風呂敷を広げたエメリッヒ監督が、今後どういう映画作りをしていくかも興味深い。2012年12月21日の地球滅亡の危機を描く『2012』は、2009年11月21日から公開。
(文=eiga.com編集部・浅香義明)

『2012』
<http://eiga.com/movie/53616>

『2012』特集
<http://eiga.com/movie/53616/special>

デイ・アフター・トゥモロー

こんな未来、想像したくない……

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最終更新:2009/11/21 15:00
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