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「男を振ったことのあるすべての女性に読んでほしい」中沢健が描く”オタクの初恋”

hatsukoigeinin.jpg『初恋芸人』風塵社

 「歩く雑誌」こと中沢健をご存知だろうか?

 バラエティー番組やライブ、あるいは街中などにおいて、身体中にイラストや文章を貼付けながら歩くという活動をしている。あの関根勤から「日本のバカトップ3」の称号も獲得した、カルトな人気を誇る人物だ。そんな彼を見たことがある人なら、きっと、彼のことを芸人だと思っているだろう。しかし、彼は元々作家になりたくて上京してきたのである。

 そんな彼の処女小説となる『初恋芸人』(風塵社)が出版され、話題を呼んでいる。はたして、そんな破天荒な活動を行う彼の描く世界とはどのようなものなのだろうか? 大槻ケンヂや唐沢俊一、唐沢なをきなど、サブカル各界から絶賛の声を集めるこの小説の魅力に迫った。

──中沢さんと言えば、まず「歩く雑誌」としてのビジュアルに目を引かれますが、この格好をしはじめたきっかけを教えてください。

「8年くらい前、上京したのと同時に始めました。作家になりたくて上京したんですが、作家志望とはいっても家でパソコンをしているだけで。せっかく上京したんだから、作家っぽいことをしたいなと思って始めたのがきっかけですね」

──作家っぽい……ですか?

「始めは小説を貼っていたんですが、みんな遠巻きに見ているだけなので、小さな活字が読めないんです。で、雑誌ということで絵を入れたりするようになっていきました」

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──普段からこの格好で出歩いているということですが。

「もう普段着ですね。ビジュアル系の人とかって、その服装が本当にかっこいいと思ってないと思うんですよ。かっこいいなら普段から着ているんじゃないかって。だから自分は普段からこういう格好をしています」

──こういう格好をしていると白い目で見られることもあると思うんですが、一番困ったことは?

「職務質問も困るんですが、入れないお店があるっていうのが困りますね。渋谷の某大手ファッションビルは完全に出禁ですね。デパートとか書店でも注意されたことがあるし、最寄り駅でも駅員さんに何回か注意されたことがあります」

 と、「歩く雑誌」の日常は波乱に満ちている。しかし、処女小説となる『初恋芸人』は、そんな生活とは180度真逆な、淡い恋愛が描かれた作品となった。

──今回の『初恋芸人』は恋愛をテーマにした作品になりました。中沢さんの普段の活動を見ていると、もっとぶっ飛んだ設定の小説になるんじゃないかと思っていたんですが。

「今まではミステリーを中心にもっと奇抜な小説を書いていたんですが、そういう話よりも恋愛をもとにした作品の方が(周囲の)反応がよかったんです。『あしたの賞』っていう賞を講談社さんから頂きました。ただ初めのタイトルは『童貞怪獣 対 電波女軍団』っていうタイトルでした。編集者に止められましたけど」

──大槻ケンヂさんが帯に書かれているように、恋愛に対してすごく純粋な作品ですね。誰もが体験したことがあるような甘酸っぱい感覚でいっぱいの内容です。

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「感想を聞くと『共感できました』っていうものが多かったのが新鮮でした。今まで僕の活動って共感されないことばっかりだったので……。今回初めて共感できるって言われています」

──普段いわゆる「恋愛もの」を読んだりはするんでしょうか?

「あんまり読まないですね。けど、僕の大好きなウルトラマンやゴジラにも恋愛描写ってあるんですよ」

──主人公が童貞っていう設定がすごく中沢さんらしいと思ったんですが、これはどういった意図から?

「例えば、ジブリの『耳をすませば』を観ても全く感情移入できないんです。自分より恵まれている奴が悩んでいるのを見ていても微妙じゃないですか。だから、僕よりもモテない設定にしたいし、なるべく多くの読者にとっても主人公が”自分よりモテない人”と思って読んでほしかったんです」

──『初恋芸人』を執筆する上で意識した小説などはありますか?

「僕、『電車男』に全然納得いかなかったんですよ。アニメと怪獣の違いはあれ、僕自身もオタクなので、電車男の設定は理解できるんです。けど、オタクであることを隠そうとしたりして、そんなのはオタクとしては認められないんです。オタクならば、女の子も好きだけどアニメも好きっていう葛藤が生まれなきゃならないはずなのに、電車男はすぐにアニメグッズを捨てられるんです。だから、そのアンチテーゼとしての意味も込めています」

──最後に、この作品をどんな人に読んでほしいでしょうか?

「一度でも男性を振ったことのある女性に読んでほしいですね。男は振られるとこんなに落ち込むんだぞ、っていうことを知ってほしいんです!」
(取材・文=萩原雄太[かもめマシーン])

なかざわ・たけし
1981年、茨城県生まれ。歩く雑誌・月刊中沢健として多くのバラエティー番組やライブなどに出演。関根勤氏からは「日本のバカトップ3」に選ばれるなどの活躍を見せる。大の怪獣オタクであり、2006年より月刊誌「フィギュア王」(ワールドフォトプレス)にて怪獣コラムも連載中。

『初恋芸人』
歩く雑誌・中沢健による処女小説。中学時代、ひどいいじめにあっていたことにより女性恐怖症になっていた童貞の芸人「ボク」を主人公に、突然現れた女性「市川さん」との淡い初恋を綴る。

初恋芸人

エスパー伊東も絶賛

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最終更新:2010/01/05 15:23
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