日刊サイゾー トップ > その他 > サイゾーpremium  > 高城剛を小林弘人が直撃!! 必聴! ハイパーすぎる「FREE」論

高城剛を小林弘人が直撃!! 必聴! ハイパーすぎる「FREE」論

1007_kobahen_2shot.jpg※この対談は、5月末、くだんの騒動で当面日本には帰国
予定がないという南フランス滞在中の高城氏と、Vidyo
http://vidyo.co.jp/)のビデオ通信システムを介して行われ
ました。

 黎明期から携わってきたインターネットをはじめ、あらゆるメディアにハイパーな視点を注いできた高城剛。最近は、ネット周辺でその名を聞くことが少なくなったが、それは彼が常に黒子に徹し、10年先のメディア世界を見ているせいなのか? そんな高城氏を、同氏とは旧知の仲で、「サイゾー」創刊編集長であり、『FREE』(NHK出版)の監修者でもある「こばへん」こと小林弘人が直撃。南フランスの地から、ネットを介して、高城流「フリー」論が展開された。

小林(以下、) 日本ではiPadが発売されて、メディアが大騒ぎしてるんだけど、高城さんはiPadいくつ持ってるの?

高城(以下、) 3台(笑)。ちょうど今、iPad用のトラベルガイドのアプリケーションをつくってて、この雑誌が出る頃にはリリースできていると思うよ。写真と音楽とテキストを融合させた、結構新しい感覚のアプリ。まずは、(高城氏の拠点のひとつがある豪州の)バイロンベイっていうところのね。

 で、どう? 80年代に誰も使っていなかったNeXT【編註:当時、アップルを離れていたスティーブ・ジョブズが手がけたワークステーション。その革新的なOSは、のちにMac OSXに踏襲された】をたくさん揃えて仕事していたり、常に最先端デバイスの消費者でもある高城さんから見たiPad像は? 

 iPadは大きさがいい。新しいデバイスは、デザインとかあまり重要じゃなくて、実は大きさが大事。iPhoneだって、みんなが知ってる携帯と大きさが違うじゃん。ひとりで使うならiPhone。iPadは、2〜3人でそれを囲んで、コンテンツを見たり聴いたりするほうが楽しい。



 なるほど。日本だと今、iPadを”電子書籍端末”というとらえ方をしてる人が多いんだよね。iPad vs Kindleとかいわれたり。両方使っている自分が思うに、まったく違うものなんだけど……。それに電子書籍端末自体はそのうち、MP3プレイヤー並みにコモディティ(潤沢品)になるので、メディアが騒ぐのは今だけだよ。でも、日本の出版社は浮き足立っているけど、どう思う?

 書籍代わりには重すぎるから、二回り小さいiPadminiが出ると思う。それに、そもそもiPadやKindleで出版社がビジネスをしていこうなんていうのは間違ってるね。それは、こばへんが監修した『FREE』もそうなんだけど、タダってことのとらえ方が根本的に間違ってて。

 確かに『FREE』は誤読されてる部分はあると思うし、あの本自体は、実はフリーよりも、もっと重要な意味が隠されている。でも、著者もそこを徹底的には言及していない。問題はフリー戦略じゃなくて、何がフリーになって、何がフリーにならないのかということ。そちらのほうが重要。高城さんはどうとらえた?

 ネットによって、本などのコンテンツが無料になるんじゃなくて、”本を売る”っていう行為がかっこ悪くなるってことだよ。例えば、ミュージシャンがライブっていう稀少性があるリアルな行為でお金を取るのはまだいいけど、いくらでも複製できるCDを売るのって、すでにかっこ悪いじゃん。だから、作家も、これからは文章書いて、それを売るっていうのはかっこ悪い。そうなったら、ユーザーの共感を得られないから、どうせ売れない。

 書くことでお金を取れないとなると、朗読会かなんかでお金を取るの?

 いや違う。僕が97年に出した『デジタル日本人』(講談社)って本があるじゃない。そこでも書いてるんだよ、「クリエイションが職業である時代は終わる」と。一番かっこ悪いのは、広告をつくったり、デザインしたりすることだよね。お金をかけずに付加価値を倍増させるような、僕がもっとも得意なところ(笑)。余計なモノ売るのが恥ずかしい時代に、それを手伝うのはもっと恥ずかしい。今後はあらゆるクリエイションについて、それがいえるわけ。Flickrとかには、素晴らしい写真いっぱいあるし。

 要はクリエイションや表現をするためのツールや機会はすべての人に行きわたったし、誰にでもそれらを生み出す感性はあるわけだから、もはやこれまでもてはやされていた割には謎だったクリエイティビティとやらは、コモディティになるってことね。

 うん。15歳ぐらいの時に、ドラマーのスタジオミュージシャンの先輩がリズムマシンを見て、「これからはミュージシャンを目指すな。絶対に食えなくなる」と言ってたのを思い出すよ。きっともうデザイン事務所とか、映像制作会社とか、10年前には花形だった会社は大変だと思うな。僕がリリースしようとしているトラベルガイドも、もちろんタダだよ。

 換金化は別に考えるってこと?

 だから、そこが間違っている。自分ちでつくって余ったものを、隣近所にお裾分けするじゃない? 今後は、そのお裾分け先が100万人いるっていう楽しい時代なんだよ。

最終更新:2010/06/17 17:27
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

水原解雇に間に合わなかった週刊誌スクープ

今週の注目記事・1「水原一平“賭博解雇”『疑...…
写真
イチオシ記事

さや香、今年の『M-1』への出場を示唆

 21日、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「賞レース2本目やっちまった芸人」の完結編が放送された。この企画は、『M-1グランプリ』(同)、『キ...…
写真