日刊サイゾー トップ > カルチャー  > 心機一転 新しい一年の始まりに見たい、上質ヒューマンドラマ

心機一転 新しい一年の始まりに見たい、上質ヒューマンドラマ

csk.jpg(C)2010「最後の忠臣蔵」製作委員会

 今年を振り返り、また新たな年に期待するこの時期。今回は人生について、大切な人について、じっくりと考えさせてくれる上質の娯楽映画を3本紹介したい。

 まずは年の瀬の定番、忠臣蔵を題材としながらも、吉良邸討ち入りの後に生き残った2人の赤穂浪士を描く『最後の忠臣蔵』(ワーナー・ブラザース映画配給、公開中)。池宮彰一郎の人気歴史小説を、テレビドラマ『北の国から』を手がけた杉田成道監督が役所広司、佐藤浩市主演で映画化した作品だ。

 赤穂浪士の吉良上野介邸討ち入りの後、大石内蔵助から命を受けた寺坂吉右衛門(佐藤)は、討ち入りの真実を世に伝え、各地に散った赤穂遺族たちの生活を助けていた。事件から16年後に京都を訪れた寺坂は、討ち入り前夜に逃亡した瀬尾孫左衛門(役所)と再会。瀬尾もまた、大石の隠し子を育てるという密命を受けていたのだった。

  親代わりの瀬尾に対し、恋にも似た感情を抱く大石の娘・可音を、桜庭ななみが清楚にたおやかに演じている。この時代の男と女の生きざまは、”日本人の心”を改めて気づかせてくれるはず。京都を中心に撮影された四季折々の風景、由緒ある神社や寺院、人形浄瑠璃が上演される芝居小屋など、日本の伝統美も堪能できる名作だ。

 続いてのおすすめは、ウッディ・アレンの監督第40作となる軽妙なコメディ『人生万歳!』(アルバトロス・フィルム配給、公開中)。05年の『マッチポイント』以降ヨーロッパが舞台の作品が続いていた同監督が、久々に故郷ニューヨークに帰ってきた。

 マンハッタンのアパートに一人暮らす偏屈な初老の物理学者ボリスはある夜、南部の田舎町から家出してきた娘メロディに懇願され、仕方なく泊めてやることに。だが世間知らずのメロディは、ボリスを「運命の相手」と思い込んでしまう。初めこそ相手にしなかったボリスもすっかりその気になり、年齢と知能指数の差を乗り越えて2人は結婚。そこへ、愛する娘を追って田舎から出てきた母親と、メロディに好意を寄せる青年が現れて……。

 他人をこきおろしてばかりなのに、なぜか憎めないボリス役を演じるのは、人気コメディアンのラリー・デビッド。無知だが純真で心優しいメロディ役は、『ダイアナの選択』『レスラー』のエバン・レイチェル・ウッド。”人生、うまくいくなら何でもあり!”という本作のポジティブな教訓に、心励まされる向きも多いのでは。

 そして3本目は、ドリームワークスによる大ヒットCGアニメシリーズの完結編、『シュレック フォーエバー』(パラマウント配給、公開中)。4作目にして初の3D作品でもある。

  “遠い遠い国”で最愛の家族に囲まれ、平和な毎日を過ごしていたシュレック。だが繰り返しの生活のなか、一日でも自由な怪物の暮らしに戻れたら、と願ったのが間違いの始まり。魔法使いのペテン師、ランプルスティルスキンの罠にはまり、別次元の”遠い遠い国”に送り込まれてしまう。そこではランプルスティルスキンが王として君臨し、怪物たちは追われる身。親友のはずのドンキーも長ぐつをはいたネコも、そして愛するフィオナ姫も、シュレックのことを全く知らない。シュレックは果たして、元の世界に無事戻れるのか。

 空飛ぶホウキに乗って繰り広げる空中チェイスや、終盤の城内で鎖を活用したバトルなど、高低差や奥行き感という3D映像の持ち味を活かしたアクションシーンは、大人も子どもも一緒になって楽しめる。だが本作のストーリーに込められたメッセージは、大切な家族やパートナーのいる大人にこそ、しっかりと伝わるはず。冒険の世界をしばし楽しんだあとは、平穏な日常のありがたみをかみしめつつ、新たな心持ちで仕事に恋に人生に向き合えることだろう。
(文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉)

「最後の忠臣蔵」作品情報
<http://eiga.com/movie/55071/>

「人生万歳!」作品情報
<http://eiga.com/movie/55716/>

「シュレック フォーエバー」作品情報
<http://eiga.com/movie/54258/>

ハート・ロッカー

2010年のうちに見ておきたい。

amazon_associate_logo.jpg

【関連記事】
師走の忙しさを吹っ飛ばせ! 痛快アクション映画で気分をリフレッシュ!
平凡な高校生デイヴは2度変身する!原点回帰のヒーロー『キック・アス』
村上春樹の超絶ベストセラーの映画化『ノルウェイの森』はどこにある?

最終更新:2010/12/31 11:00
ページ上部へ戻る
トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

『24時間テレビ』強行放送の日テレに反省の色ナシ

「愛は地球を救う」のキャッチフレーズで197...…
写真
イチオシ記事

バナナマン・設楽が語った「売れ方」の話

 ウエストランド・井口浩之ととろサーモン・久保田かずのぶというお笑い界きっての毒舌芸人2人によるトーク番組『耳の穴かっぽじって聞け!』(テレビ朝日...…
写真