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勝負と女に賭けた人生 日本初の麻雀プロ・小島武夫の「遺言」

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 昭和50年代の麻雀ブームをけん引し、豪放磊落な博打打ちとして一世を風靡した小島武夫。今年75歳を迎える彼が、初の自叙伝『ろくでなし』(徳間書店・刊)を刊行した。故郷・博多での麻雀との出会いから、名だたる名士たちとの一戦、そして数々の女性との関係に至るまで、その半生が赤裸裸に綴られている。この本の出版を記念し、日刊サイゾーでは小島プロにインタビュー。はたして、その人生に込められた哲学とは!?

■小島武夫の無頼

――初となる自叙伝の刊行、おめでとうございます。いかにも「昭和の男」といった、破天荒な人生を送られていますね。


「本当はいろいろな人に読んでもらうのは恥ずかしいんだよね。ただ、この歳になれば隠すことは何もないから。若い頃だったら、こんなにあからさまに話はできなかった。ある程度歳を取ると、恥をかいてもいちいち気にすることがなくなるんだよね。だから、気楽な気持ちで書けたかなと思います」

――自叙伝を拝読し、あらためてその人生の濃さに驚かされます。

「デタラメばっかりやってきたんだけどね。周囲に迷惑をかけても本人はゲラゲラ笑いながら生きてるんです」

――一番デタラメだったなと思うことは?

「やっぱり飲み屋ですね。普段は銀座・六本木で飲むことが多かったんだけど、座るだけで5万という世界だから、いつもっていうワケにはいかない。ちょっと懐が寂しくなってきたら新宿・渋谷で飲んで、本当に金がないときはまた銀座に戻る。銀座なら支払いが高いから、ツケにして帰れるからね。もちろんあとで支払いに苦しめられるんだけど」

――逆転の発想ですね。

「でもいくら金がないと言っても、女の子とのホテル代はちゃんと持ってるんだよ(笑)」

――著書にも「3000万円の収入で、支出が1億円」と書いてありましたね。

「いよいよ本当に金がないっていうピンチに追い込まれると、出版社から麻雀の入門書や戦術書の印税の振込があったり、競艇で大穴を当てたりするんだ。そういう運が強かったから、のほほんとしていられるんだよね」

■小島武夫の勝負論

――これまで麻雀を打ってきて、一番印象深い対局はどんな対局でしたか?

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「どれも印象深いですね。楽しくやるということもなく、ただ、一生懸命自分が持っている力を叩き出します。これで勝つとか負けるとかそう言うことは一切考えず、自分がいいと思う麻雀をするんです。麻雀っていうのは、これまで研究し、培ってきたものをどれだけ表現できるかなんです」

――つまり、小島プロにとって麻雀は自己表現の手段ということでしょうか?

「そうです。勝ち負けではなく、自分がどういう麻雀を『表現』するかが麻雀だよね。それをファンがどう評価してくれるか。戦うっていうのはそういうことじゃないかな」

――本にも「セコい手で上がってはいけない」と記されていますね。

「プロ同士の戦いなら『お前には、これは打てないだろう』という自負心を持った戦いをしなきゃならないと思います。もちろん、それで負けることもある。それはそれで自分の修行が足りなかったと思うだけです。職人と同じで、これで終わりというゴールはありません。一生が戦いだし、一生が研究。そう思わないと麻雀プロはできません」

――本には阿佐田哲也先生との思い出が随所に散りばめられています。やはり、小島プロにとって大きな存在だったのでしょうか?

「随分お世話になったよね。麻雀も打ったし、人間的にも勉強させてもらった。阿佐田先生は僕にとってはとても怖い人なんです」

――「怖い」とは?

「麻雀をやっていても、阿佐田先生が追いかけてくる時は『いつかまくられるんじゃないか』という恐怖感を与えられるんです。人間的な格の違いもあるよね。別にごつごつしたものがあるわけじゃなくて非常に柔和なんだけど、すごく説得力がある」

――阿佐田先生はどういう打ち方をされていたんでしょうか?

「懐の深い打ち方だよね。捨て牌と手牌のバランスを見ながら、一打一打、牌を模打することで表現をしているんです。相手も分かっているはずなのに、吸い込まれるように振り込んでしまうというようなね。僕は麻雀っていうのは美学だと思うんです。いくら強くても美学がないとその人の麻雀とは認められません。強い、弱いなんていうのはその場限りの結果に過ぎません」

――小島プロ自身も、若い頃と今で打ち方は変わってきましたか?

「若い頃は相手に喧嘩を仕掛ける剃刀みたいな打ち方をしていましたね。けど、歳を取ると丸みを帯びてくるんです。角が取れた『上手い』打ち方になるよね。振り込んだ相手も『これなら仕方ない』と思うような手だね」

■小島武夫と女

――本にはこれまで数百人の女性を抱いた、と書かれています。その中でも印象に残っている女性は?

「5人くらいいますね。3人は死んだけど、あと2人はどこにいるか分からない。まだ生きてるんだったらもう一度会ってみたいなと思うね。その中でも1人はつい最近亡くなったんだけど、京都の芸者だった人です。まあ、よく教育されていたよね。気遣いがよかったし、セックスもすごくよかった」

――小島プロにとって、女性とはセックスの相性が最も重要なんでしょうか?

「やっぱり男と女は肌が合うか合わないか、なんですよ。逆に、男から捨てられる女には関わらない方がいい。何らかの欠陥があるから男が逃げたんです。だから男が逃げるような女には絶対に手を出さない。けれども、あんまり男を追っかける女はダメだね。これは淫乱か不感症です」

――(笑)。

「淫乱は男がいないと身体が持たない。不感症は気持ち良くなるためにあちこちに男をつくる。こういう女は、もうどうしようもない」

――女性を選ぶ時のポイントは?

「僕は大体、付き合う時は前よりも1ランク上の女を目指すんです。だから全ての面で一番最初の女より下ということはない。女だったら誰でもいいというわけじゃないんだよ」

――そういった選び方だと、だんだん女性も少なくなりますね。

「けれどもやっぱりいるもんなんだ。それまではじっと我慢して、様子を見て、そして口説くんだよね。優しく接して『本当にあなたが好きだ』とストレートに言わなきゃいけません。斜に構えて『寝ようか』とかいってもついてこないんだよね。ストレートにグイグイ押されると女性も気持ちいいんだよ。それを受け入れてくれるかどうかの見分け方もあるんだけど、それを教えるのは難しいね……」

――74歳の現在でも「現役」なのでしょうか?

「いや、ここ10年くらいは心の中でだけに収めています。名前が知れちゃっているので、その方向でデタラメができないんだよね」

――自らの人生を振り返って、麻雀の役に例えるなら何になると思いますか?

「一気通貫じゃないかな。僕は僕なりに一生懸命自分を貫いて生きてきたから、振り向いて後悔することもないし」

――小島プロが「遺言」として若い世代に残したいメッセージを教えてください。

「『何事にも真面目にやれ』ということですね。どんなにくだらない遊びでも真面目にやらないといけません。人生にはくだらないことは絶対にないんです。今役に立たなくても、それが将来役に立つかもしれないんです」

――それは、女性関係にも言えることでしょうか?

「もちろん」
(取材・文=萩原雄太[かもめマシーン]/撮影=後藤匡人)

●こじま・たけお
1936年福岡県生まれ。日本プロ麻雀連盟初代会長・最高顧問。実力、人気ともに麻雀界トップクラスのプロ雀士。『魅せる麻雀』を信条としたその雀風は、ファンからの圧倒的な支持を集める。テレビやCS放送などメディアへの出演も精力的に行い、日々、麻雀界全体の盛り上げや若手の育成などに惜しみない努力と情熱を捧げている。

『ろくでなし 伝説のミスター麻雀、酒と女とカネの無頼75年』
囲碁の藤沢秀行、将棋の芹沢博文らと並ぶ、昭和のカリスマ勝負師が生きた、飲む打つ買うに明け暮れた破天荒な半生。貧乏のどん底から這い上がり、無頼を貫いた生きざまから、伝説に残る勝負で掴んだ「勝つための哲学」までを自ら記す。「阿佐田哲也」「桜井章一」らとの初めて明かされる勝負秘話を交え、逆境を生き抜いた「男の哲学」がここに凝縮されている!
徳間書店刊/1470円(税込)/発売中
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