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「武富士」破たんはこれからが正念場 創業一族=武井家の責任を追及する緊急集会が開催

takefuji0210.jpg「武井一族は資産を売却してでも過払い金を支払うべき」と述べる、
被連協の本多良男氏。右は同じく山地秀樹氏。

 経営破たんした消費者金融大手、武富士についての創業者一族の責任を追及する、「やろう! 1万人請求訴訟 武富士の責任を追及する市民集会」が2月5日、東京・千代田区の総評会館で行われた。主催は武富士問題などで問題意識のある弁護士などによる「武富士の責任を追及する全国会議」で、当日は被害者や法律家、マスコミ関係者など100名以上が参加し、会場はほぼ満席だった。

 武富士は、顧客に対する強引で違法な取り立てや、自社の従業員への人権を無視した対処など、数々の不正・違法行為の数々が明らかとなっている。つまり、単に企業の経営破たんという問題ではない。


 法人としての武富士については、会社更生法に基づく法的な手続きが着々と進められている。その一方で、「創業者一族に対しては、責任の追及はまったくなされていない」と弁護士の平井宏和氏が指摘した。事実、創業者一族たる武井家の面々は、会社としての武富士が破産した現在も、桁外れの資産を所有しているとされる。

 たとえば、アメリカの経済雑誌「フォーブス」が2010年1月12日に発表した「日本の富豪40人(Japan’s 40 Richest)」を見ると、ファーストリテイリング(ユニクロ)社長の柳井正氏や、ソフトバンク創業者の孫正義氏らとともに、第10位に武富士創業者の故・武井保雄氏の夫人である武井博子氏の名がある。同氏はこのランキングの常連で、以前に比べて順位を落としてはいるものの、今回もその資産は2,275億円とされている。

 この莫大な資産は、武富士の「企業活動」によって蓄積されたものであることは言うまでもない。にもかかわらず、こうした創業者たちが何らかの引責や謝罪の態度を見せているという様子は、まったく確認することができない。

 続いて、及川智志弁護士による解説と長田淳弁護士からの武富士の会社更生手続きについての現状確認が行われ、武富士側への公開質問状について、現時点で何ら回答がないことなどが報告された。

takefuji02101.jpg武富士の社会的責任を追及する新里宏二弁護士。

 これまで、武富士に対してさまざまな団体やジャーナリストなどが、説明や取材などを求めてきた。しかし、十分かつ具体的な説明が提供されたことはほとんどない。少なくとも、筆者が知る限り、そうした事実は見あたらない。

 次に、全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会(被連協)の会長、山地秀樹氏が武富士が顧客に返還すべき過払い利息に関して、再生計画の進み方によってはその返還額が大幅に減らされる可能性について触れ、「過払い金はいわば消費者から違法に取り上げたもの。にもかかわらず、その違法な過払い金が法律によってカットされてしまうのであれば、その意味が理解できない」と訴えた。この点では及川智志弁護士も、「過払い金を債権者に返さないというのは、踏み倒しと同じだ」と強調した。

 集会では、武富士破たんに際して発生した数々の問題点も指摘された。まず第一のテーマは、やはり過払い金に関することだ。武富士から過払い金の返還請求が可能と見られる債権者は、少なくとも200万人はいると見られている。しかし、武富士側の発表によれば、この1月末現在で返還請求の届出があった件数は33万人で、全体の2割にも満たない。この点について出席者から、「武富士が該当するすべての顧客に通知を送付しているかどうかが不明」という意見が出る一方、「武富士からの借り手はその執拗で暴力的な取り立てに、いまだに恐れを感じている。その恐怖から、武富士からの通知を開封できないケースも多いのではないか」という指摘もなされた。

 このほか、「債権がサービサー(債権回収業者)に譲渡されてしまった場合、どこに過払い金を請求すればいいのか」「過払い金の具体的な金額が分からない場合はどうすればいいのか」など、現実的な課題が提示された。

 また、武富士の再生計画について、元武富士の社員であり、現在は愛知かきつばたの会で相談員を務める山村和之氏は、その先行きにも危機感を示した。

「武富士のスポンサーとして複数の企業が挙がっているが、そうした会社は武富士の顧客情報をもとにいわゆる『おまとめローン』や事業者ローンに活用するのではないでしょうか。そうなれば、さらなる消費者被害につながる恐れがあります。しかも、スポンサー候補として挙がっているのは銀行なので、貸金業法での救済は難しくなる可能性が高い」

 現在、武富士の再生計画については、具体的な情報についてはほとんど公開されていない。関係者であるはずの債権者にすら、何も知らされていない状況なのだ。

 しかも、武富士が破たんした際にはこぞって報じたマスコミも、その後の状況についてはほとんど報道していない。そのマスコミだが、まだ具体的な事実関係が解明されていない早い時期から、「過払い利息の返還額の大幅カットは避けられそうにない」(「読売新聞」2010年9月29日)など、根拠のない無責任な報道を行っている。

 武富士をめぐって、今後どのような動きになるのか、現状では分からない部分が非常に大きい。その結論が出るまでは、まだかなりの時間がかかるものと思われる。
(文=橋本玉泉)

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最終更新:2011/02/12 15:00
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