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佐々木俊尚の「ITインサイド・レポート」 第34回

まだまだグローバル化は遠い!? 日本企業のアウトソースへの障害

──激変するITビジネス&カルチャーの深層を抉る!

 もはや当たり前のように使われる言葉となった「アウトソーシング」。だが日本企業においては、いまだに進んでいないところが大半だ。海外市場で勝つために欠くことができない手法を、なぜ積極的に取り入れないのか? 背景には企業のIT化のいびつさがあった──。

1103_it_ill.jpgどこが最初に崩壊するかのチキンレース!? グ
ローバル化の波はもう足元まで。

 BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)というビジネス手法がある。簡単にいえば、それまで会社の中で行っていた業務をどんどん外部に出してしまうこと。アメリカの産業界ではこのBPOがものすごい勢いで進んでいて、これが結果として中国やインドなどの新興IT国の大きな収入源のひとつとなっている。

 どういうことだろうか。わかりやすい例でいえば、パソコンメーカーは従来はサポートセンターを自社で持っていた。この社内サポートセンターを廃止し、外部に出してしまう。同じ国内だと人件費がかかるから、インドやフィリピンなど英語が使えて、しかも人件費が安価な国の企業に外注に出してしまうわけだ。

 このBPOで外部化された業務を請け負う「アウトソーシングサービス」と呼ばれる業態はビッグビジネスになっていて、国外アウトソーシングに限っても市場規模はすでに数十兆円ぐらいに達している。その牽引役はアメリカと、請負側としてのインド・中国だ。

 BPOのカバーする範囲はサポートセンターや工場だけではない。今では経理や人事、福利厚生、総務関連など管理部門の大半が含まれてきている。さらには営業や技術も外部化することは可能で、極端なことをいえば「経営判断だけの部分を会社に残し、残りはすべてアウトソース!」などということだってあり得る。社員はゼロで、役員しかいない会社になることも考えられるということなのだ。

 日本ではどうか。実は日本ではBPOは遅々として進んでいない。少し古くなるが、2008年に経済産業省のBPO研究会が報告書をまとめていて、こんなふうに書いてある。「国内において、BPOを利用して競争力向上をはかろうとする動きは未だ乏しい。また、BPOベンダー企業に着目すると、外国企業がグローバルプレイヤーの大半を占めており、日本企業が高い国際競争力を持ち得ていない状況が推察される」

 つまり日本は、企業の側が自社の業務をアウトソース化する熱意に乏しいし、逆にユーザー企業のBPOビジネスを請け負う側にも回れていないということだ。

 特にこの前者の「自社の業務をアウトソース化したがらない」という部分が非常に問題だ。報告書では、その理由を次のように並べている。原文はお役所文章なので、かなりわかりやすく超訳して紹介してみよう(原文に当たって正確な言葉を知りたい人は、http://www.meti.go.jp/report/data/g80627aj.htmlへ)。

最終更新:2011/02/23 10:30
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