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 >  >   > 世界のミヤモトが認めた名作ゲーム『ギミック!』を生んだプログラマー・酒井智巳インタビュー!

世界のミヤモトが認めた名作ゲーム『ギミック!』を生んだプログラマー・酒井智巳インタビュー!

diskarita.jpg『Rom Cassette Disk In SUNSOFT
ディスクシステム編』
(シティコネクション)

「ゲームは1日1時間!」

 と高橋名人も語っていた通り、かつてテレビゲームは一度始めたら止め時が分からなくなるほど麻薬的な魅力を放つエンタテインメントのひとつだった。

 明るいニュースを聞くことの方が少ないような気がする昨今のテレビゲーム・シーンだが、1980年代から1990年にかけて、テレビゲームは、確実に日本のサブカルチャーの中心に位置していた。

「次はどんなすごいゲームが出てくるんだ!」

 そんなあの時代の期待感と興奮をCDにパッケージして、21世紀によみがえらせるレトロゲーム専門レーベル「クラリスディスク」。

 同レーベルが6月29日にリリースした『Rom Cassette In SUNSOFT』は、『アトランチスの謎』『かんしゃく玉なげカン太郎の東海道五十三次』『リップルアイランド』など、一度プレーしたら忘れられないサンソフト製ファミコンソフトのゲームミュージックを200曲以上収録。その濃い内容で、発売直後からゲームミュージックファンのみならず、当時ゲームキッズだった一般ユーザーの間でも大きな話題となった。

 そこで今回も、前回から引き続きサンソフトが生んだファミコン末期の伝説的アクションゲーム『ギミック!』関係者から、ゲーム業界が熱く燃えていたあの時代のエピソードを聞いてみたいと思う。

 イカしたゲームミュージックを生み出した影山雅司氏に話を伺った前回に続き、本作の生みの親であるプログラマー・酒井智巳氏から『ギミック!』誕生秘話を聞いてみよう。

■サンソフトの精鋭が集った『ギミック!』

 学生時代からゲーム、プログラムに勤しんでいた酒井氏。

 昼夜問わずプログラムソースを書きまくり、画家がデッサンの練習をするがごとくさまざまな物体の動きをコンピューター上で再現することを繰り返していたという彼は、ついにはゲーム上のあらゆるキャラクターの動きを、その目で見た瞬間にプログラムに起こせるようになっていたという。そんな彼の原点は「アーケードゲーム」だそうだ。

「アーケードは長時間遊ばれるともうからないので、すぐに難易度が上がって本気でプレーヤーを攻撃してきます。しかし、それをクリアするプレーヤーもいて、前人未踏の世界を垣間見せてくれる。そういうロマンがありました。当時(80年代初~中期)は、ゲームセンターで何人ギャラリーをつけるか、というのがゲーマーの指標みたいなものだったんです。本当にうまい人ってただゲームが上手なだけじゃなくて、ギャラリーを喜ばせるプレーをするんです。いかに魅せるかを知っているんですね。僕はそういう感覚がエンタテインメントの原点だと思っているんです」

 その言葉を裏付けるように、彼が開発した『ギミック!』は腕を磨けば磨くほど「魅せる」プレーが可能となるアクションゲームだ。

 だが、ライトユーザーにはクリアすらままならないほどの高難度のために、最有力ゲーム情報誌「ファミコン通信」(現「ファミ通」。エンターブレイン発行。当時の出版元はアスキー)では低評価を受けてしまったという不遇のタイトルである。

 また、スーパーファミコンやメガドライブなど16ビットマシンの時代に移行しつつあった1992年という発売時期も、ゲームにとっては逆風となっていたようだ。

「当時、『ギミック!』は問屋がほとんど相手にしてくれませんでした。東京おもちゃショーとかに展示すると、「このゲームはスーパーファミコン用?」って聞いてくるんですが、ファミコン用だって分かると興味をなくして去ってしまうんです。僕からしたら、ファミコンで次世代機かと思うようなゲームを作ったことに対して評価してくれてもいいんじゃないかって思ったんですが(笑)」

 この言葉にもあるように、『ギミック!』はファミコンの限界を超えるべく作り上げられた意欲作だったのだ。

「当時、『メタファイト』に参加していた岩田君と駕屋君というデザイナーがすごく上手で、いつか自分のオリジナルを手がける時に参加してもらいたいと思っていたんです。それで、けっこう根回しをしましたね(笑)。彼らのチームと同じタイミングで自分のチームのゲームを完成させればメンバーに入れやすいと思って、自分のタイトルのスケジュールを調整して完成させたりしました。岩田君はすでに『バットマン』に入っていたのもありますが、『ギミック!』には駕屋君の絵柄がとても合っていたんです。また当時はすでにサンソフトを退社していた諸田君という天才的なサウンドプログラマーにも、無理を言って外注で参加してもらいました」

 と、優秀な人員を確保するために、かなりの無茶をしたのみならず、

「技術的な話をするとファミコンはキャラクターが256枚入るところがあるんですが、丸ごと切り替えると無駄ができてしまいます。2分割して128枚ずつにして、例えば主人公キャラと敵キャラというように分けて合理化する技術は出て来ていました。それを4分割の64枚ごとにすればさらに無駄が減らせるだけでなく、切り替えて背景の歯車や床のアニメーションに使えると考えてチップの仕様を決めたんです」

 と、元々優れたプログラマーであった酒井氏は、このほかにも本作にさまざまなアイデアを投入していった。またゲームミュージックに対しても並々ならぬこだわりを見せた。

「当時、PCエンジンで開発していた『アウトライブ』というゲームの音楽を聴いて、『ギミック!』の音楽は(作曲していた)影山(雅司)さんしか考えられないと思って、彼にお願いしました。ただ、影山さんのコード感を再現するにはファミコンの音数では足りないんです。絵は駕屋がいるからOK。動きは僕が頑張ればOK。そう考えた時に、曲は影山さんならクオリティーは心配ないけど、鳴らすハードの音数が足りないのはなんとかしないと。そう思った時に、拡張音源を搭載することに決めました」

「スーパーファミコンに対抗するべく、とにかく最高のスタッフが必要だった」と酒井氏も語るように、サンソフトの精鋭を多数起用し『ギミック!』は完成した。

「評価されるのに10年以上もかかっちゃった」

 当時を振り返りつつ酒井氏はそう苦笑する。

 ポップなグラフィックと、フュージョンテイストのクールなゲームミュージックが当時の一部のゲームファンの間で話題となった『ギミック!』は、今もなおレトロゲーマーの間で愛され続け、ネット上の動画サイトなどでは達人たちの「魅せプレー」が多くのギャラリーを沸かせている。

■世界のミヤモトも唸った完成度

 冒頭でも述べた通り、残念ながらヒットには至らなかった『ギミック!』だが、プレーヤーの心には大きな影響を及ぼしていたはずだ。その証拠のひとつとして意外な人物が評価していたらしい、と酒井氏は語った。

「『ギミック!』を作った後に、宮本茂さん(※注)の知り合いの方が、宮本さんが「『ギミック!』は遊べますね」って言ってたって教えてくれたんです。まず人の作品を褒めないそうですけど、「あの人がそう言うのはすごく悔しがってるんだと思いますよ」って。『マリオ』も含めたすべてのアクションゲームをしのぐものにしたいと思っていましたから、本当に嬉しかったですね」

※注 宮本茂…『スーパーマリオブラザーズ』『ぜルダの伝説』『星のカービィ』など、テレビゲーム史に多大な影響を及ぼした大ヒット作を数多く手がけるゲームクリエイター。

 世界のミヤモトが評価したというエピソードだけでなく、『ギミック!』以降、他社ゲームに本作で使用されたアイデアが流用されていたことや、動画サイトで見かけた「『ギミック!』に感動して自分もプログラマーになった」という匿名のコメントを見かけたこともうれしかった、と酒井氏は語る。時代の流れに逆らい、信念を貫き通し完成した『ギミック!』と彼の魂は、確実に業界に一石を投じていたのだ。

■攻略するのに年齢は関係ない! 酒井氏の挑戦は続く

 『ギミック!』発売後、独立した酒井氏は有限会社エレクトリックシープを設立。さまざまなゲームを開発した後、ゲーム業界からは離れライター、WEBエンジニアとして現在活躍している。また、プライベートでもバス釣り、語学、写真とさまざまな趣味をこなし、数年前からは楽器演奏を始めたそうだ。

「YouTubeを見ていて、作詞作曲と全パートの演奏をひとりでやってみたくなったんです」

 その多趣味ぶりに驚かされるが、彼は「多趣味とは違う」と言い切る。

「自分にとってはゲームを攻略するのと同じなんです。ただそれが画面の外にあるだけ。次に挑戦したいことは小説ですね」

 インベーダーゲーム時代からの生粋のゲーマーだった彼は、今は「人生」という名のゲームのイベントをひとつひとつ攻略している最中なのだ。

「当時は何でもありの時代でした。例えばアイレムの『スぺランカー』はちょっと落ちただけで死ぬんですが、デザイナーは人が落ちたら死ぬのは当然だと考えていたんでしょう。そういう自由さがあった。ファミコンが出て来たころのゲームは今ほど洗練されていなかったり、粗削りなものが多かったりしたんですが、その瞬間にしか体験できない刺激や毒がありました。どんなジャンルでも、カオスの時代がいちばん面白いですよね。ちょうどそんな時代にゲームに関われて幸せだったと思っています」

 酒井氏は、『ギミック!』時代をこう回顧しつつ、最後に「久しぶりに(ゲームの)プログラムをしてもいいかな」とつぶやいた。

 誰でも楽しめる、マイルドなゲームがもてはやされる今だからこそ、もう一度酒井氏の手掛ける「ガチ」のゲームで、生きるか死ぬかのスリルを楽しんでみたいものである。
(文=有田俊)

Rom Cassette Disk In SUNSOFT-ディスクシステム編-
 
サンソフトのファミコンディスクシステム用ゲームのコンピレーションサントラが登場!ゲームミュージックファンのみならず、かつてゲームキッズだった一般ユーザーの間で大きな反響を呼んだサウンドトラック『Rom Cassette Disc In SUNSOFT』。硬派なゲーム内容と、聴きごたえのあるゲームミュージックで、今もなお高い人気を誇るサンソフトのゲームミュージック・サウンドトラック第2弾が早くも登場します。今回は伝説的ゲームハード「ファミコン」の周辺機器「ディスクシステム」対応ゲームのサウンドを網羅! 大人気オムニバスゲーム「ナゾラーランド」シリーズ全タイトル。学習ゲーム「アディアンの杖」「スーパーボーイアラン」「地底大陸オルドーラ」。人気PCゲームの移植タイトル「メルヘンヴェール」。そして名作AVG「デッドゾーン」と忘れられないタイトルがズラリ! さらに学習ゲームB面に収録された「ステップドリル」もボーナストラックとして収録!

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<収録タイトル>
1.アディアンの杖
2.スーパーボーイアラン
3.地底大陸オルドーラ
4.ナゾラーランド創刊号
5.ナゾラーランド第2号
6.ナゾラーランドスペシャル!!「クイズ王を探せ」
7.ナゾラーランド第3号
8.なんきんのアドベンチア
9.メルヘンヴェール
10.デッドゾーン
11.B面ステップドリル

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