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交通網が大混乱でも来場者多数! 「アニメコンテンツエキスポ2012」ついに開催

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 角川書店やアニプレックスなど55社の企業が出展するイベント「アニメコンテンツエキスポ(ACE)2012」が3月31日(土)、幕張メッセ国際展示場で開幕した。アニメ業界最大級のイベントということで前売り券は売り切れ、わずかな枚数の当日券を求める人で会場は混雑することが予測されていた。しかし、会場に到着するまで、多くの人が長い戦いを強いられることになるとは、誰も予想しなかった……。

 当日の午前9時20分頃、筆者は地下鉄日比谷線からJR京葉線八丁堀駅へ向かった。そこで流れるのは無情なお知らせ。

ace001.jpg京葉線はもはや動く気配すらなかった。

 「強風のため速度を落として運転している」という旨のアナウンスが繰り返し流されているのだ。強風ならば仕方がない。ひとまず駅を出てタバコを一服。さらに、牛丼屋でゆっくりと朝食をとって駅に戻ると、事態はさらに悪化していた。いよいよ運転が中止となり、幕張メッセだけでなく、東京ディズニーランドへ向かう家族連れも多い八丁堀駅の窓口には振替乗車券を求め長い行列ができていたのである。

ace002.jpg幕張本郷駅前には次々バスがやってくるが、それでも長い行列が。

 こうして幕張メッセまでの長い旅路が始まった。八丁堀駅から地下鉄日比谷線で茅場町駅へ。地下鉄東西線に乗り換えて西船橋駅。ここからJR総武線に乗り換えるも、なかなか列車はやってこない。ようやく列車がやってきたかと思えば、「次の列車は運転を見合わせているので必ずこちらにご乗車下さい」とのアナウンスが。きっと、次の列車に乗ったまま、身動き取れなくなった人が数多くいたことは想像に難くない。そして、ようやく到着した幕張本郷駅。ここから、本来の目的地・京葉線の海浜幕張駅までは臨時バスも運行。次々とバスはやってくるのだが、長大な行列はすぐには動かない。かくて、ようやく会場にたどり着いた時には、時計は12時半を回っていたのである。

 もちろん、帰り道も事態は変わっていなかった。海浜幕張駅には、バスを待つ長い長い行列ができていたのだ。さすがに疲れ果てたのか、駅の改札周辺には萌え袋の傍らに、満足そうにぐったりと座り込む人々も見られた。

ace004.jpg電車の動かない京葉線・海浜幕張駅で戦利品を手にぐったりとする人々。

■会場は大混雑だが……

 ただでさえ都心から離れた幕張メッセ。それに加えて、遠回りを強いられてかなりの人が苦労したはず。それでも、会場内は足の踏み場もないほど大混雑であった。販売ブースによっては2時間待ちになっているところも見られた。コスプレのスペースに至っては、人が多すぎて、コスプレイヤーがどこにいるのかよくわからないほどの混雑に。出展している作品をテーマにしたメニューが並ぶ、フードコーナーは90分待ちの大混雑にも関わらず、一人で何品も買い込む人が多かった。詳細なレポートは、専門のニュースサイトなどで報じられるだろうが、ある程度の額の資金を持っていけば、十分に楽しめるイベントだったのは間違いない。

ace003.jpg会場内は大混雑で各ブース共に長い行列ができていた。

 そもそもこのイベントは、一昨年に漫画やアニメの表現の自由を侵害する可能性があると批判を浴びた「東京都青少年健全育成条例」の改正問題が発端となったものだ。

 この条例正案が可決されるに至り、小学館や集英社などで構成するコミック10社会は、東京都が主催する「東京国際アニメフェア(TAF)」のボイコットを決定。この状況の中でアニプレックスや角川書店などを中心としてACEが立ち上がった経緯がある。その後、昨年は、両イベントの同日開催が注目を集めるものの、東日本大震災によって両イベントとも中止。今年は一週間ずらした日程での開催となった。

 以前から双方の主催者共に「分裂」という見方を避け、「棲み分け」というスタンスを示していたが、そのことは会場を訪れてよく理解できた。TAFは、アニメもアニメーションも包括して扱う、ビジネスを主体にした見本市志向。対してACEは、アニメのプロモーションとファンサービスを目的としたお祭りである。都条例がきっかけだったとはいえ、TAFの低年齢・家族向けアニメやアニメーションにオタク向けまで、ごった煮でやっていた状況はうまく整理できたのは確かだろう。来年以降、今年のような別開催になるのか、あるいは再びTAFに統合されるのかはわからない。それはアニメ業界にとって、どちらが利益があるか次第であろう。先に開催されたTAFの側は、前回よりも来場者数は減ったものの、海外からの来場者数は増加するという結果となった。ACEの側も、単に来場者数だけでなく、属性なども含めて、どのような結果を示すのか気になるところだ(印象で語ると、全体的に若年層が多い印象を受けた)。

ace005.jpg海浜幕張駅から幕張本郷駅にも再び行列が。

 ちなみに、ACEで配布されたパンフレットにも、会場内の出展にも都条例や表現の自由に関するものは、一切存在しなかった。あくまで「ファンに向けたお祭り」であることを考えれば、そうしたものはなくて一向に構わない。仮に、会場内に「表現規制反対!」なんて横断幕が垂れ下がっていたとしたら、多くの来場者が無粋に感じるに違いない。

 まだ、多少不備な点も見られたが、ファンに向けたお祭り、番組改編期にあたっての総合的なプロモーションイベントとしては、大変充実したものになっているといえる。来年以降どうなるかも注目していきたい。
(取材・文=昼間たかし)

強風

春の嵐。

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最終更新:2013/09/06 15:56
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