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年間自殺者数3万人を越える現代社会への提言 自殺対策の現状を追った『希望のシグナル』

kibounosig1.jpg民間団体「心といのちを考える会」の袴田俊英さん。“縁側”のように
気軽に交流できる場所としてコーヒーサロン「よってたもれ」を始めた。

 日本における2011年の自殺者数が3万651人であることが発表された。14年連続で年間自殺者数が3万人を越えたことになる。イラク戦争で亡くなったイラク民間人の犠牲者数は戦闘の激しかった2003~2006年の3年間で約15万1000人(WHO調査)とされているからも、この数字が尋常ではないことがわかる。日本では目に見えない戦争がずっと続いていると言っても過言ではない。自殺死亡率を他国と比べてみると、リトアニア、韓国、ロシア、ベラルーシなどに続いて、日本は第8位となっている。上位にランキングされている国を見てみると、旧共産圏が多いことに気づく。日本もバブル景気に躍らされて気づくのが遅れたが、90年代以降すっかり社会の仕組みが変わってしまった。社会の変化に対応できずに孤立化し、生きづらさを抱える多くの人たちが自らの命を絶っている。そして、また苦しんでいるのは自殺者だけではない。残された家族や友人たちも、自殺者を救うことができなかった自責の念に悩まされている。これまで映画が取り上げることが稀だった、自殺対策というシリアスなテーマに正面から向き合ったドキュメンタリーが『希望のシグナル 自殺防止最前線からの提言』だ。

 日本でもっとも自殺率の高い県という不名誉な記録が95年から15年連続で続いた秋田県。その汚名を返上するため、秋田県内では各地域でそれぞれ自殺防止の取り組みが行なわれている。『希望のシグナル』はその様子を1年間にわたって記録したもの。本作において中心的な人物となっているのが秋田県藤里町で暮らす袴田俊英さん。袴田さんは曹洞宗月宗寺の住職であり、10年前に「心といのちを考える会」を設立して、会長を務めている。「自分たちにできることからやっていこう」という袴田さんたちが始めたことは一杯のコーヒーを淹れることだった。町の中心地にある交流館で週1回、コーヒーサロン「よってたもれ」を開いている。コーヒーは一杯100円。誰でもここに来れば、袴田さんや他のお客さんが話し相手になってくれ、日常生活で感じている愚痴や不満をこぼすことができる。また、他のお客さんの話を聞くことで、悩みを抱えているのは自分だけではないことが分かる。

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