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スカイマーク、パイロット強制解雇裁判で全面敗訴

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スカイマーク、パイロット強制解雇裁判で全面敗訴 – Business Journal(12月8日)

スカイマーク「Wikipedia」より

 11月14日、スカイマークの違法行為が法廷で裁かれた。それは2010年2月5日に起きた次の事件に端を発する。当時、スカイマークで機長を務めていたラッセル・ラックラン氏(50代前半、男性、仮名)はこの日、スカイマーク017便の機長として、羽田発福岡行きの便に向かうバスの中で、客室乗務員のリーダーであるチーフ・パーサー・四元直子氏(仮名)から、「カゼで体調を崩し、声が枯れている」との報告を受けた。ラックラン氏が確認したところ、たしかに四元氏の声はかすれており、ほとんど聞き取ることすらできなかった。

 これに対して重大な懸念を持ったラックラン氏は、バスを止めさせ、本日の業務を行わないよう伝えた。その理由は、「JCAB(国土交通省航空局)により認められたスカイマークの業務マニュアルと、機長としての経験によって、もし客室乗務員がしゃべることもできないのであれば、緊急状態において適切に役割を果たすことは不可能」と判断したためだ。

 しかもJCABの規則によれば、羽田空港を離陸するにあたっては、少なくとも4人の客室乗務員が確保されていることが最低限の要件のため、代わりの要員を用意し、補てんするよう、本社に依頼した。

 それからしばらくすると、なんとスカイマークの西久保愼一社長がバスに乗り込んできて、飛行機を飛ばすよう指示した。

 しかし、「安全上の理由から、このままの状態で搭乗業務を行うことはできません」と社長の命令を拒否したラックラン氏は、バスから降ろされ、事務所に連れ戻された。そして、スカイマーク会長で安全統括管理者も兼ねている井手隆司元社長の自室に連れて行かれた。

 ラックラン氏は、ことの経緯を井手氏に説明し、「話は簡単です。代わりのチーフ・パーサーを呼んでくれればよい」と述べた。すると、井手氏は「我々は交代要員など有していない。しかも、既に177人もの乗客が君を待っている状態だ。搭乗してくれないと困る」と言った。

「スカイマークは飛行機運航の安全をそこまで軽視するのか?」とラックラン氏が聞き返すと、井手氏は「彼女(四元氏)は別に病気じゃない」というので、直接、確かめた。

 四元氏の声を聞いた井手氏は「彼女が病気で、よく話せないことはわかった。ただ、チーフ・パーサーの役割は、長島(仮名)に担当させることもできるではないか」と言う。つまり、四元氏を、一客室乗務員として搭乗させようとしたわけである。

 ラックラン氏は「彼女(四元氏)は通常の搭乗業務を遂行できる体調ではありません。一体どうやって彼女に緊急時における任務が遂行できるとお思いですか?」と聞き返した。すると、井手氏は、驚くべきことにこう言ってのけた。「(緊急事態など)何も起こらないよ(Nothing is going to happen)」。

 その後、飛行機は別の機長が飛ばすことになった。ラックラン氏は帰宅させられた挙げ句、解雇された。そもそもラックラン氏の雇用形態は、パーク・グループという外資の派遣会社を通して、3年契約の更新制でスカイマークの機長をしていたが、契約途中での突然の解雇だった。解雇理由は、「業務命令に従わず乗務を拒否したこと」が主因だった。

 この解雇は違法であるとして、ラックラン氏は10年4月、地位確認と判決確定までの給与の支払いなどの損害賠償(提訴時の金額2944万円強)を求めて東京地裁に提起した。

 この判決が11月14日に言い渡されたわけである。判決文で東京地裁民事11部の白石哲裁判長は、スカイマーク経営陣の西久保社長と井手会長が、経営上の問題から原告の判断に介入したことについて、JCAB規則やスカイマークの業務マニュアルに記載の「機長の権限等に関する関係規定に照らせば、機長は、自らの搭乗する航空機の安全に関する最終的な判断権限のほか、客室乗務員を含む乗務員に対する指揮監督権限を有しているということができるから、乗務員の急病等の緊急時における当該従業員の搭乗の可否等に関する機長の判断は(略)最大限尊重されるべきである」として、スカイマーク側の言い分を退けた。そして「本件解雇は、客観的合理的理由を欠き無効である」とした。さらに、スカイマークの行為について、「全体として違法と評価すべきであって、不法行為を構成するというべきである」と断じた。

 こうして、ラックラン氏の契約期間が12年1月まで残っていることを理由に、解雇日から契約期間までに受け取るはずだった報酬約1900万円を同氏に支払うよう、スカイマークに命じた。原告の全面勝訴といっていい。

 なお、判決に対する見解をスカイマーク本社に質問したところ、「控訴中のため、本件についてはコメントは差し控えます」というのみだった。

 格安航空会社(LCC)の台頭で苦境に立つスカイマークは現在、長距離国際線に手を広げることを西久保社長が表明している。今後は価格競争に拍車がかかることが予想されるが、スカイマークの格安サービスのウラには、安全面すら二の次にしてコスト削減に血道を上げる同社の体質がある。そのことを知った上で利用する必要があるのではないか。なお、この事件の詳細は、ニュースサイト・マイニュースジャパンの12年6月18日付「スカイマーク 社長じきじきに安全無視の違法フライト命令、拒否した機長を解雇するハイリスク体質」に詳しいので是非読んでほしい。
(文=佐々木奎一)

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最終更新:2012/12/10 07:00
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