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フィルムの生産中止でデジタル化が進む映画界! “ピンク映画”と成人館はどーなるどーする?

後藤大輔監督の『熟妻と愛人 絶妙すけべ舌』。
林田義行さんは2012年に公開されたピンク映画41本の中で印象に
残った1本に挙げている。(c)OP PICTURE

 2012年の映画界を振り返る上でもっとも重大なニュースとなったのは、9月に富士フィルムが映画フィルムの生産中止を発表したことだろう。撮影用フィルムと映画館で上映するときに使うポジフィルムの生産を2013年の春ごろを目処に中止する。1月には米コダック社が破産法を申請したこともあり、1世紀にわたって続いてきたフィルム文化の終焉を感じさせる1年となった。全国の大手シネコンの多くはすでにデジタル化を完了しているが、フィルムからデジタルに切り替わることで深刻な影響を受けるのが日本独自の文化である「ピンク映画」だ。フィルムならではの質感にこだわるピンク映画界は果たしてどうなるのか? ピンク映画専門誌「PG」の編集人・林田義行さんに2012年の話題を振り返りつつ、ピンク映画とフィルム文化の今後について語ってもらった。

「富士フィルムの生産中止は、ピンク映画界にとっても大きなニュースでした。富士フィルムはピンク映画にずっとフィルム提供してきた歴史があります。フィルムの持つ質感を大切にしている作り手たちによって、ピンク映画は支えられてきたわけです。『PG』が主催してきた『ピンク大賞』にも、ここ10年ほど協賛に名乗り出ていただいていました。純然たるピンク映画にはまだデジカメは使われていませんし、いまだにアフレコが行なわれているんです。また、全国約60館の成人映画館の3分の2は今もフィルム上映を続けています。良くも悪くもピンク映画は、昔ながらの映画の撮影・上映形態をずっと守り続けている業界でもあるんです。最盛期の1980年代には年間300本近いピンク映画が作られてきましたが、2010年は年間49本、2011年は43本、2012年は41本と減少しており、ピンク映画を配給している3社のうち毎月3本の新作を公開し続けているのはオーピー映画だけという厳しい状況になっています」

 ピンク映画は失われゆくフィルム文化を守る“最後の砦”と化しているようだ。人肌のぬくもりを感じさせるピンク映画はこのまま消滅していくのだろうか。

「たしかにピンク映画には、社会から取り残されたものに対して温かい眼差しを向けた作品が多いですね。特に荒木太郎監督はその傾向が強く、上野オークラ劇場の旧館でロケを行なった『癒しの遊女 濡れ舌の蜜』(10)をはじめ、ノスタルジックな作風で知られています。安定して新作を発表しているのはオーピー映画だけになりましたが、オーピー映画に聞いたところ、富士フィルムと契約して、2013年に劇場公開される作品の分のフィルムは確保しているそうです。とりあえず、2013年いっぱいはピンク映画=フィルム作品という形が守られることになります。ただし、オーピー映画の旗艦館である上野オークラ劇場はデジタル化を見据えて、2010年にデジタル対応の新館をオープンさせています。製作本数が2012年はわずか2本だけだった新東宝ですが、他のメーカーと共同出資という形で、CS放送・DVD化を前提にしたデジタル作品をすでに作っています。近い将来、ピンク映画もデジタル化するかも知れません」

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