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“強い女”吉木りさはなぜ笑う? バスガイド体験でかいま見せたグラドルの苦悩

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。

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“強い女”吉木りさはなぜ笑う? バスガイド体験でかいま見せたグラドルの苦悩 – Business Journal(4月21日)

post_1953.jpg「仕事ハッケン伝 公式サイト」(NHK HP)より

『カンブリア宮殿』『ガイアの夜明け』(共にテレビ東京)『情熱大陸』(TBS)などの経済ドキュメンタリー番組を日夜ウォッチし続けている映画監督・松江哲明氏が、ドキュメンタリー作家の視点で裏読みレビュー!

【今回の番組】
4月4日放送『仕事ハッケン伝』(NHK)

 吉木りさは自分のことを「自信がない」と言う。さらに「ダメ人間」とも自分のことを言い切る。グラビアでブレイクし、CDデビューも果たしたタレント。僕も彼女が表紙の雑誌がコンビニで置かれていると、つい手に取って「ほほう」とその美しさに見惚れてきた。年下だけどキレイなお姉さんと表現したくなるような彼女のことをブレイク中と言っても異論はないだろう。

 しかし、このネガティブな発言はいかがなものか。

 んなアホな、と僕らは思う。と、同時に友人の女性が、彼女が苦手と言っていたことを思い出した。「全部、狙ってるに決まってるじゃない」と。「うん、そうかもね。でもいいじゃん、キレイなんだから」そう言い返したが最後、「男って結局こーゆー女が好きなのよ」と一刀両断。

 今回の『仕事ハッケン伝』(NHK)は彼女がハトバスで企画を出し、ツアーに添乗するという内容。「自分を変えたい」という彼女が勤務することになる。最近のハトバスは攻めの姿勢だ。「工場夜景ツアー」「パワースポットツアー」「オープンバスツアー」といったユニークなツアーを年間100本以上も生み、倒産寸前の危機を脱した。企画力が会社を救ったのだ。

 吉木には特別バスツアーの企画を考えることを命じられた。担当の上司も吉木に大きな期待はないように見える。奇跡の復活を遂げた彼らにとっては、グラビア上がりの美女にそう簡単に企画は出せないと見ていたのではないか。僕も同じ思いで番組を見ていた。

 が、吉木は違った。

 2〜3日の期限でプランを命じられた時、思わず笑ってしまっていた彼女だが、10個もの詳細な企画を出したのだ。これには上司の表情も緩んでしまう。企画は盛り上がり「着物でひな祭りを楽しむ」という案が採用された。

 そういえば吉木はよく笑う。人と会う時はもちろん、困難な時、インタビューに答える時も笑顔を絶やさない。でもそれを「愛嬌が良い」と判断するのには抵抗がある。僕は番組の冒頭の言葉を思い出す。彼女は「自信がない」から笑うのではないか。笑顔は他人に不快感を与えない為の術であり、自分の気持ちを隠す防御として使っているのではないか。

 なぜこんなことを考えたかと言うと、以前、何かと語尾に笑う女性と話したことがあって、気になったのでその理由を聞いたら「つらいこといっぱい経験したから、笑って誤摩化すことを覚えちゃって」と教えてくれた。僕はそんな彼女に好感を持ち、たくましいなと感じた。番組で吉木りさを見て、そんな言葉を思い出した。そして、そんな仕草が人によっては「甘えちゃって」と映るのだろう。

 でもそれは違うと思う。

 吉木がこだわった企画は、着物を着るというポイント。その理由は彼女自身にあった。中学生の頃いじめられた経験があり、そんな時に習っていた民謡と、着ていた着物が弱い自分の背中を押してくれたそうだ。だからこそお客さんにもその感動を伝えられるのではないか、と。

 ハトバスの上司だけでなく、僕も彼女に惚れてしまいそうな言葉だった。

 企画は見事に成功し、人気タレントが苦労をしている姿は、人力車を必死で追い越す姿だけしか撮影されていなかった。

『仕事ハッケン伝』ではタレントが苦労し、その中で素顔が垣間みれるような構成が多いが、今回は吉木の方から素の表情をさらけ出すように見えた。それも彼女が芸能界で得た力なのかもしれない。しかし彼女は「学生は努力で認められる。我々は努力したから偉いとは誰も言わない」と話す。苦労は客には関係ないのだ。彼女の笑顔にも苦労が詰まっているのかもしれないが、グラビアだけでは気づけなかった。ドキュメンタリースタイルの番組だからこそその理由を想像することが出来た。

 彼女が苦手なあの子はこの番組を見ても「一週間程度の仕事で花束までもらっちゃって、キー」と怒るだろう。でも僕はより好感を持った。男はやっぱりこういう女性が好きなのよ。ごめんなさい。
(文=松江哲明/映画監督)

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最終更新:2013/04/22 14:00
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